ストーリー展開、文章力、キャラクター設定、どれをとっても一級品の小説です。 読んで損はしないですよ。
迷宮の探索者として活躍する皇女の命を狙い、大陸正教会の暗部より送り込まれた聖女。自分の立場や目的を伏せたまま、聖女は皇女に接触をはかる。共に行動し、互いの理解を深めることで変化していく二人の関係性。その行く末にはどのような未来が待っているのか……とても読みやすく洗練された文体は、物語世界への没入を気持ちよくサポートしてくれます。特に情景や心情といった部分が生き生きと描かれる様は、まさに文章の4DX。登場人物の感情や作中の空気感、温度、匂いまで……まるでその場にいるかのように伝わってきます。
イサリカとヴァレンシアの心情が丁寧に書かれていて、読み進めるごとに2人の想いが徐々に明るみになってくる。2人以外のキャラクターにもそれぞれの思惑であったり事情があったりと、読めば読むほど続きの気になる素敵な作品です♪読んで損のない作品なので、皆様もぜひぜひご一読をm(_ _)m
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(116文字)
聖女は皇女を狙っている.....いずれそのような展開に向かっていくのだろうけど、そうとは感じないというか、そう思えない2人の関係性が見えます。お互いを知り、お互いを受け入れ、助け合える関係。イサリカとヴァレンシアの2人には、そういった関係が時が進むことに築き上げ、確かなものになっています。そうならなければ、助け合える間柄にはなっていないでしょう。狙っている、ということはいつかこの関係が壊れてしまうのかなと思うとどこかもったいないような、寂しさも感じますが。引き続き、追っていきたいと思います。
暗殺の任を受けた歪みの聖女と、迷宮を攻略する皇女の出会い。物語はそんな不穏な出会いから始まる。様々な種族、背景を持った人物は心のうちに何かを秘めて迷宮へと潜る。紡がれる言葉は古き良きファンタジーを彷彿とさせ、登場人物の個性や彼らの交流は他に足がついていて、読ませる力を持っている。迷宮の果てに何があるのか、また聖女の行く末を読み解くのが楽しみな作品だ。
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