道筋
「剪芽梨さん、見つかりました!」
剪芽梨班、小森が、六角を持っているという人物を見つけた。
その人物は東京にいた。
「名前は?」
「はい、
「よし、聞き込みに與那虞と一緒に行ってくれ。」
「はい、剪芽梨さんは?」
「もう一度、京都に行く。六角の歴史を解く。」
「わかりました。行ってきます。小森行くぞ!」
「はい!」
剪芽梨の思考は、すでに銘酒殺人の糸口を捉えていた。
しかし、犯人については全くの白紙だった。
「桜の花に水仙の模様、そして六角の文字。まさしく幻の酒だ。」
小森は仁定から渡された、銘酒六角を手に感慨深げにラベルを眺めた。
與那虞も、その匂いだけでも、という思いに駆られている。
「仁定さん、この酒を警察で調べさせていただきたいのですが、かまいませんか?」
「えぇ!そ、そんな困ります。最後の残り一本なんです。これがないと明日から仕事が出来ないんですよう…勘弁してくださいよ、刑事さん。やっと手に入れた高級酒なんですから…」
仁定は、困り果ててどうしても渡せないと提出を拒否した。
しかし、ある情報を二人に教えた。
「これを手に入れるには…」
入手経路だった。
東京都のクラブに出入りするある男が銘酒六角を販売しているという情報をくれた。
すぐさま、與那虞、小森両名は、その男がよく訪れるという歌舞伎町にあるシャングリラというクラブへと向かった。
剪芽梨の姿は、再び梅宮神社にあった。
「あの掛け軸に秘められた銘酒六角の謎。それがこの事件の核心だろう。」
神社の鳥居をくぐる剪芽梨。
その時だった。
一人の老婆が境内から出てきた。
その女性は一升瓶を2本、重そうに抱え、割らないようにする為か、ゆっくりとした足取りで剪芽梨に頭を下げ、その脇を通り過ぎようとした。
「うん?あれは・・・」
瓶の頭に献酒と書かれた熨斗紙が巻かれていたがその下から除くラベルは正しく桜に水仙。
「六角?」
剪芽梨は、すぐさま老婆に声をかけた。
「すみません。大阪府警のものです。」
老婆は驚いた表情で身を固くした。
「唐突に声をかけてしまい、驚かれたようで申し訳ございません。」
「えっ、いえ。何か私に御用でございましょうか?」
剪芽梨の目は既にその理由を眼光に映し出していた。
気付いた老婆は大事そうに抱えた2本の一升瓶を剪芽梨の前に差し出すように言葉を添える。
「これでございますか?」
「そうです」
そう答えた剪芽梨は、ハッとした。
銘柄が目に入るとそこには、毛筆の黒い字体の六角ともう一つ、同じ桜と水仙の絵柄に赤い筆字で、双龍とあったのだ。
「幻が見えた」
剪芽梨の千里眼は事件解決の道筋をしっかりと見切った。
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