第9話 目標と情報
浴室から出たシベリアとファンと語り合っていた。
今の状況を見て感じたこと、前いた世界と比べてこの世界はどう思うのか、この組織での目標、そして自分の家族の事など…
【7の頃から前の記憶がない。】
俺と唯一その頃に仲の良かった“
隙をついて俺と夢実はなんとか逃げ出せた。しかし途中で追手に夢実は捕まった。
なんとか逃げ切れた俺は無一文孤独で彷徨っていた。途方もなく。
そんな時恩人で父親のような存在、檜垣司令官が拾ってくれた。恩を返すためにも
ここで仕事をし続けている。
また捕まえた本人と夢実を捜すためにもここで働いている。
「名はドクター・スプラクトン。
顔には大きな傷跡があり、自身の医学で若さを保っていると聞いた。」
「それなら見つかる可能性もあるかもですね。」
「夢実さん見つかるといいな。」
「ああ。」
二人はその後明日に向けて体力の回復の為に部屋に戻った。
…そして先ほどから聞き耳を立てていた良い性格をしている奴が居るな。バレていないとでも思っていたのか。いや、フォンと話している時互いに微かな視線を感じ取っていたからワザとか。
「いやぁ、本当に君には何も隠せないや。その鋭い感覚を正夢で生かすきはないかい?」
「毎度言っているが答えはノーだ。」
「連れないなぁ。」
一か月前から度々勧誘をしてくる諦めの悪いメスガキ僕っ子…正夢の幹部:No.4
幸村・セルビア。
過去に
世間話という形で情報を交換、または俺が奢り必要な情報を等価交換する内密関係だ。そして組織的に対立してもできる限り互いの接触で死に至らないようにすることを約束している。
「ねえねえ気になる?このまま何も聞かずに条件を吞んでくれるなら話してもいいけど。
「
「躊躇なく潔いね。
最近の裏ニュースを手に入れてね。
どうやら旧ソ連の軍事基地全てが僕らとは別の組織が夢園病を使って支配地に変えたらしい。しかもその主犯者は夢民とのことだ。
また、君が先ほど話していたスプラクトンの関係者が裏で関わっているという噂も…」
マジか!!かなりの情報だ。例え深い関係が無くともそれだけで十分な進歩だ。
しかし、かなり高価な情報。対価は些かなものなのか。
条件の内容として彼女が提出してきたのは小さな瓶に入った白い液体だった。
「これは僕の母乳だ。
前にも話したように僕は半吸血鬼でね。血液に近いこれを摂取するだけでも私の眷属の一種になれる。」
「つまりこれを飲んで屍鬼になれと。」
「もう少し上位の存在だけど、まあそうだね。
そして僕との距離最大1km以内ならトランシーバー等を使わなくても脳内で会話が可能だよ。
安心して、関係は対等だし今の君の方が強いから。」
聞いたときは何を言い出すのかと動揺したが、裏での協力をもっと細やかなものにしたいということか。相変わらず変な野郎だ、ったく。
壱星はセルビアの目の前で躊躇いながらも摂取した。
本当は投げ捨てたかったがそうすれば彼女の性癖を考えるに直々に飲ませようとしてくる。
それは避けたい…仕方がない。割り切った。
契約完了ということだ。
試しも踏まえて彼女は無言会話で挨拶を告げた。
『それじゃあまたね。
あと、あんまり早まりすぎないでね。今のままだと君が負けるかもしれないし。
未来の旦那さんに死んでほしくないんだから。』
『勝手にほざいてろ。』
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