パラディ・デ・レーヴス

竜乃 愛者

第一夢 紅に染まり新世界を彩る夢は人に永遠という悪夢と物語を与える。

プロローグ 『奴隷世界で革命を。』Ⅰ

 ここ、世界各地で奴隷化の進む中で唯一その進行が遅い国 ドゥロース。

勇者ではなく聖騎士団を配属させ魔物や戦争国の鎮圧を行っている。 今その聖騎士団の迎えを待つ門番の一人。


俺、鏑木かぶらぎ 壱星いっせい。 


 

 そいつは常に欠伸をして気怠そうにいつも背を曲げて仕事を全うしている。他の仲間からも失礼で聖騎士団や王の前でそんな態度をするんじゃないぞと言いつけられているが敬語は使うもののやる気の無さを曝け出すことは躊躇わないほど大きい態度の持ち主だった。


特に尖った力はないが強いて言うなら父が異世界人でありその知識を有していることと観察力の高さだ。


「ほらっ、聖騎士様方がお帰りになられるぞ。背筋を伸ばせ。」


「えぇ…」



 馬と豪華な馬車を引き正しく揃って門の前まで来た。

骨張って俺を忌み嫌うような目で毎度見つめる団長、俺にいつも暗い顔してんなとからかい絡んでくる副団長。


「今日もお疲れ様です。シベリアさん。」


「ああ、今日も無事帰還したよ。」


 俺を特に見てくれていると思う彼女 シベリア・ガイアート。

白銀長髪で横に垂れた犬耳のような髪型をした麗しい女性だ。よっ、絶世の美女!!聖騎士団のエースであり、国民からの支持も高いアイドル性の塊だ。

願うなら新宿でメイド服…おっと妄想ストップ。


下手な団員の何人かは俺を睨みつける。

彼女と俺は周りから見てお仲が良く、俺を妬む者も少なくなかった。


「今日も相変わらず眠そうだな。ちゃんと寝ているのか?

 ご飯食べているか?」


「貴女は俺の母親ですか?まあ、一応食べてますけど。

 てか昨日のうちに髪切ったんですね。」


「わ、わかるのか。

 まあ、健康ならいい。引き続き警備を頼む。」


 聖騎士団は門を潜り、国民の声援を受けていた。帰ってきただけで火事が起きた時と同じくらいの煩さ。騎士様も大変だねぇ。





時間は過ぎ、門番仲間と食事を済ませて借宿...の下に掘った隠し通路から繋がる隠し部屋に向かった。

モニターを点けて本部と通信する。


「どう?夢園病の根源は見つかった?」


「多少見当はついたが証明ができない。まだかかりそうだ。

 でも新人候補は見つかった。」


「まあた変なのじゃないわよね?」


そうやり取りを終えて明日になる。


久々の休みでのんびりしようとしたのだが、国王から呼び出しを食らった。



「鏑木よ。貴殿は父が異界の者でその世の技術は大変優れていると聞いている。

 そこでだ。貴殿の知識を私らに振舞ってほしい。

 その曙には地位も名誉も財産も欲しい女子も与えてやろう。

 もちろん貴殿なら了承して―」


「断る!!」


 そうして俺は牢獄に入れられる結果に至る。

やっぱりそれが狙いだったか。異世界人の息子というが流れ出たのを切っ掛けに俺を利用しようとしたな。

複数のカメラを潜入させていたがやはり他国を下らせる計画は間違いではなかったようだな。


それから数時間が過ぎ、近くで警備兵が苦しむ声が聞こえて警備を潜ったシベリアが助けに来てくれた。


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