第5話 大仕事
数日後、丁度シベリアの登録及び許可証が発行されてすぐに招集がかかった。
檜垣司令官直属ということはそれなりの広範囲さか難易度ということだ。
アイラと共に、互いのチーム全員で出動。
薄暗い何本か表向きでは廃線となった地下鉄ホームにシベリアは興味を示していた。
「あの電車に乗るのか?」
「何もない日ならそうだが、今日俺らが乗るのは奥の方。」
殆ど光のない場所で薄気味悪いホームである。
少し待っていると何も貼っていない広告版に救助隊用特殊新幹線と表示されて黒のボディに青白く輝く模様線の車両が到着した。
最初なら周りよりもちょっと特別感が沸いて興奮するのだが今は慣れた。
俺はもう十回以上乗っているからな。シベリアもきっとそうなるだろう。
車両内で言われたことを纏める。
今回の目的は東北にある集団夢園病によって”
一人の夢園病の半夢解放、または夢園病の人が複数人ある一定個所に集中してその近辺や建造物そのものを夢の世界へと変え、空間内に夢を具現化すること。
放置すればその空間に一般人が入って被害が拡大し、それと共に暴発して死傷者を増やしかねない。
「人員は多いが、そんなすごいものをこの人数で対処できるのか?」
「安心してシベリアさん。僕らはこういうのに何度も遭遇しているし経験上からどういうものが出るのかもおおよそ見当がつくから問題ないよ。」
「ほっほっほ。それにまだ経験なさっておらぬのですしこれから先もこういう仕事に当たると考えればいい体験になりましょう。」
セントや明魏は前向きだった。そのお陰で少しだけシベリアも自信が湧いたようだ。こころの心配は今のところ問題なしっと。
後は本番でどこまで発揮できるのか。
現地では既に軍事部隊が調査を行っていた。
言うことを聴かずに潜入して行方不明状態の者とかいう馬鹿もいるとのことでそちらの救助もしなければならない。
「こっからは外部支援3人と潜入部隊に分かれて行動する。」
俺らは中へ侵入した。
うへぇ...気味が悪ぃ。空気が重く靄懸かって視界がはっきりとしない廃墟だ。しかも色々な夢が交じり合って矛盾したものが所々に散らばる。
割れた窓の外は夕焼けの時間でありもしない昭和のような風景がそこにあった。
「ここからは何手かに分かれていくわよ。」
俺とレイニー、マルクス、シベリア、アイラの助手の
そこそこ広い入院患者用の風呂場に向かうと中には赤いお湯に裸の若い男性の死体が浸かっていた。壁中血泥塗れ。
「…酷いな。」
「入院患者の一人。とても温かい人だったそうだ。戻ったら遺族に連絡を…」
「あ、あれ…」
レイニーの指した方には男性の腹部辺りから巨大なウツボカズラが生え、口の中から血にまみれた女性が姿を現した。
「■■君は…私の…もの。」
「戦闘態勢!!」
女性が手を上げると後ろの換気扇が回りだしてそこからハエの集団が湧いて出た。
レイニーは虫嫌いでダウン。
「マルクス、火葬で対処だ!!」
「モワゥ!!」
ハエの集団は処理できた。
あとは一体…!!
「手を…出すなぁ!」
俺は加減をして鎌を斜めに振り上げた。
ダメージは入ったが倒し損ねた。
しかしシベリアさんが反応して水滴を剣に収集して変形的かつリーチを伸ばして蛇のような型で切り裂いた。
女性は灰と化して消滅した。
きっと半夢解放者に触発されて中途半端に内側の夢を無意識に開放してしまったのだな。辛い死に方だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます