第6話 進行

 どうなるか分からない中、遺品だけを証拠品として回収した。


「大丈夫?」


「心配してくれてありがとうセントさん。

 でも私も前の世界ではこういうのを沢山見てきた。

 慣れてはいけないものだが問題はない。」


「ほう。

 我々は意外と消極的なチームなのでその経験談を後で是非とも聞きたい。

 勿論無理とは言わないが出来ることなら協力してほしい。

 万が一に備えて。」


 彼奴の助手にしてはかなり真面な真面目だな。

 変に煩そうだが。


 奥に進むに連れて落語家のリズムを刻む三味線の音色が次第に大きくなり、病院の壁が黒カビた団地のコンクリートの壁に移っていた。


 広い所に出るとこの時代に少ないドラム式テレビの異形頭の三味線を持って座布団で宙に浮いている落語家のような存在がいた。

 すぐ後ろには腹部から白渦ゲートが開いている老人が苦しそうな表情のまま椅子の上で寝ていた。


 さっきの男性と同じだな。


 落語家は引き語り、音を奏でるごとにテレビ単体が周囲に現れ、頭のテレビを含めて中から血の涙を流した座敷童が飛び出てきた。


「皆、頭を低くして!」


 セントは両手に長角形銃トリガーを持ち、連射して老人を上手く外して敵の頭部を打ち抜いた。

 落語家は座敷童によって守られ、座敷童も一時的に動きを止めたが起き上がり敵に殆ど攻撃は通っていなそうだな。


「レイニーさん、敵の動きを止められますか?」


「誰に聞いてんの?」


 レイニーはマルクスに鎖を出す魔方陣を張りマルクスに無造作に駆け回ってもらって敵を拘束し、クレイの能力:考古科学の探求者 で弱点を敵に生成し加えて復元した小型恐竜で倒した。


 残った落語家はまた三味線で呼び出して逃走を図ったが逃げた先に壱星が待ち受けており、貯め斬りした鎌から発せられた空の刃によって切裂かれた。


 倒れた病人には一時鎮静剤を打ってなんとか助かった。

 レイニーの道具:ミニチュアホテルに避難させてマルクスによって安全に運んでもらう。

 その後も俺らほどの大きさの錆びたロボットの玩具や変貌したヒグマ、狂気じみたアニメのキャラ等が攻めてきた。

 そして倒して病人をホテルに保管していった。加えて自衛隊員も。


 上に行くに連れて靄が濃くなり、空間が歪みが酷くなっているのを感じた。

 半夢解放による白渦ゲートも大きくなっており進行が速くなっている。


 最上階はほとんど視界が靄で見えず、足元が危うい状態であった。


「こうも視界が塞がれると不意打ちに対応できないかもで…うおっ?!敵か!?」


「いてて。その声、真面眼鏡マジメガネ?!」


「その声はカナですか?驚かさないでください。というよりも私にはクレイという名前があるのですからそう呼んでください!!」


 アイラや紅音らと接触できたということは取り合えず一周できたということか。

 アイラもレイニーと似たような道具を持っているので救助はできている。


 そとにいるフォンらからも後残り生存者二人という情報が送られてきたので目の前の部屋から気配のある老夫婦二人で間違いなさそうだ。


 今現在の救助者はマルクスに外まで運んでもらい、アイラと宇宙服型ロボスーツの海斗かいと以外と俺らの方からレイニーと明魏は万が一の為この場に残って状態確認及び白渦ゲートの調整をお願いし、それ以外はこの二人の治療を済ませるために夢に潜る。


「行くぞ。」

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