第23話 教師としてⅤ / 『あの日の飛空艇』Ⅱ
『もしもし全員に問う、そちらの状況を。』
『こちら紅音、周りを見渡しているけどボルト君っぽい人物は見受けられず。
国枝さんと勇崎くんは無事共に行動。引き続き調査する。』
『こちらガストンです。底沼氏は共に。特に目立った異変や目標らしき人物は見当たらず。引き続く。』
『こちら444。ハイヒートさんはガードマン、僕はマスコットやってます。周囲に子供いますが類似する人物はいません。』
明魏とは連絡取れずで情報確認。
かなり広範囲で探索しているつもりだが見当たらず、か。もしかして過去と今で大きく見た目が異なるのか?この世界はAI進歩率が高いから長居して妙に動き回るのは避けたい。できれば特徴を残して...
『こちらハイヒート。可能性だがボルトらしい子供を発見。こりゃ確かに見分けずれぇわ。長い付き合いの俺じゃなきゃわからなかった。』
HUNT〇ER×HU〇TERのパクリセリフか?
まあいい。バレないよう後を追ってもらおう。
人気の少ない客室通路の方を通っているとスーツ姿の男二人が近くにいた。
俺らは設備員だから気にする必要はない。
お疲れ様ですと言って通り過ぎれば…いや、この際子供の特徴から目撃情報を聞き出そう。
確かハイヒートくんが言った情報によれば
「あのすみません。緑かかった目が隠れる程度の長髪の身長130㎝くらい少年を見かけませんでしたか?今親が探しているみたいで私たちも手伝っているところなんですわ。」
「えっと、確か広場の最新ゲームコーナーのほうでそんな感じの子供を見かけました。」
「ご協力ありがとうございます。」
こうすれば怪しまれもせず目標を見つけやすいってことだ。
二人の勉強になるといいのだが。
走っていると足音を消した暗殺者が近づいているのを感じた。
明魏、ではない。
曲がってきたのはセレブ服を着た短髪女性と黒マスクを身に着けたイケ男。
二人とも一般人にしか見えないが歩き方や会話をするような息の使い方、警戒心が俺の知る殺し屋と大きく類似している。
下手に関わりたくはないが、もし暗殺対象がボルトに関係するのなら見過ごせない。
後ろの二人の事も考えて今は見過ごすことを選択したが、あちらが後ろの二人が作業服でありながら妙に緊迫した状態が不振に思ったのか目をつけてきてしまった。
二人とも前に武術系の塾に入っていたらしいという嘘で誤魔化そうとしたが勘違いを装って鋭い殺意で山中の後ろ首を狙ってきた。
「…お前ら、何者だ。」
「そっちから狙ってきたのに挨拶はこちらからってか?
いや、そうか。
分かっているなら名乗る必要もないってか?
暗殺者 雲烏と光弾姫。」
「なぜ私らの名を?!情報が漏れた?」
やっぱりそうか。この二人ボルトが夢解放されてやってきた世界から暗殺者らしき人物が多く目撃された。そのリスト内にこの二人が載っていたのを覚えている。
つまりボルトが覚えている範囲での過去の二人。
実力は―
「よそ見すんな―っ!?」
「山中とアリア、経験含めて三人分ずつといったところか。」
「舐めないで、徹甲の雨。」
ドレスの中から物騒な銃火器がいくつも出てきて高速の弾丸が通路を埋め尽くした。
俺は二人を天井にぶつかるギリギリまで投げ上げて手の打ちようが無いという実力の差で意気消沈を図り、片方で雲烏の短剣の斬撃を流してもう片方を鎌で取りこぼすことなく横に弾く。
光弾姫は息をのんで引き下がりながら得意の二刀流銃の連射で撃ってくるが雲烏はプライドを傷つけられたのか毒瓶をを装着した短剣で力強く斬りかかってきた。
「実力を見せてみろ。」
山中とアリアは二本のナイフを天井に突き刺しながら進んでおり、隙を狙えるように敵配置や注意を調節していた。
二人は俺の意図を読み取って暗殺者二人をちゃんと一回で気絶させられていた。
確かにさっき山中とアリア三人分の技量と言った。だがこの二人に注意を払わず攻撃が飛んでこない、加えて急所を防いでいないならそこまで脅威ではない。
「さて、こいつらを目立たないところに隠して広場へ向かうぞ。」
「「はいっ。」」
周囲に注意しながら誰にも遭遇せずに進めたことは幸運だった。
あとはここからだ。客に危害を加えずパニックを起こさず子供のボルトに近づいて探りながら何が彼を深く眠りに就かせるのかを調査する。
『各地配置に着け。』
『『『『『了解。』
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パラディ・デ・レーヴス 竜乃 愛者 @kakunove2011yomu
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