第12話 無法地帯:関東甲信越Ⅰ

 鎮静剤の運搬や投与、救助、討伐や逮捕等をやって数日が経過した。

 今回は東北で唯一無法地帯と化した元静岡と山梨。

 そこには魔物やギャングがうろついており、建造物は残っているものの最果ての世界のように物静かである。


 担当は俺、勝義、マグル、セント、片腕が戦車のオーガ:グラン、球体にサソリの手足尻尾がついてあるロボ:444サ・フォース 、シベリア、海斗、アイラで潜入捜査をする。

 シベリアは魔物に詳しいとのことで連れてきた。アイラは…シベリアに遅れをとらない為にも来るとのこと。

 全然遅れなんてとっていないしむしろ休んでもいいくらいだ。


「シベリアとアイラは俺と同行な。セントとマグルは制限なしで行動していい。ただし異変や危険を感じたらすぐに報告しろ。」


「444は僕と同行でグランは単独でも構わないよ。」


「海斗、あなたはそろそろ独り立ちしなさい。」


 これにてそれぞれが行動を開始した。

 一見この依頼、簡単に熟せそうな気もして三人要れば問題ないようにも思えるが実は裏内容がありそれを含めて難しい。

 この世界で絶滅するかもしれない元々いた動物の保護である。

 夢園病の夢解放による異生物の放出により生態系が崩れることもあるため見極め且つ安全に行動を起こさないといけない。


「今は自分の命を最優先するのも確かだけどこのままじゃいずれ元居た人類が住めない環境に陥るかもしれない。その為にも駆除と保護は大切なのよ―」


 話している間に早速敵様のご登場だ。

 殺屋蜂スピアスナイパーという魔物十数匹と混沌百足キメラムカデ数匹ほど。音に気がついた…というよりは異常繁殖したラフレシアの香りを身に纏ってしまったことによるものだろう。

 混沌百足が前線で殺屋蜂が後方の陣形。なるほど、今生き延びるのならここの種族で打ち合うより共闘して俺らを倒した方がいいと。


「私が先に出よう。」


 シベリアが最初に前に出て殺屋蜂の高速弾丸を見極め流しながら進んでいる。

 魔法なしで乱突きや胴体の切断を行っている。練習の成果がでているが混沌百足の豪火球や水刃が襲い掛かりシベリアは反応が遅れていた。


対魔法科学粒子拡散煙幕バリアスプレー

 反応が遅れているわ。最前線で特攻して手っ取り早く片付けるのもいいけど身も守ることも意識しなさい。」


「は、はい。」


 アイラが魔法と科学を両方使った矛盾兵器で遠距離攻撃を抑えてシベリアの柔らかな動きの剣捌きで魔物の集団を圧倒した。

 これなら俺の出番が無く終われそうだな。

 それにしてもシベリア、ムキになってない?


 開始五分で事は済んだ。

 さて、次に向かいますか。

 森を探索して小さな魔物やこちらの世界にいた生命体に近い個体の魔物とも戦い、採取もしながら木を搔き分けて前進しているとコンクリの倉庫程度の建造物があった。

 無法地帯の変な輩の拠点かもしれない。


 中へ入ると地価に続く階段があった。

 周囲を確認しつつ空気の流れや壁の厚さで罠に気を配りながら降りる。


 蟻の巣のような入り組んだ長い通路が続いていた。所々人の声や足音がして覗けばそれらしき人物が居る。

 身を隠しながら奥へ進むとそこには沢山の檻箱があった。

 中には明らかにこの世界に存在しない生物や意志ある寄生生命体パラサイト、更には絶滅危惧種なんかも捕まっていた。

 奴隷商に買い取ってもらっているて訳か。だがそれ以上に驚く存在が捕まっていた。

 行方不明依頼書に載っていた犬獣人の少女と宇宙人の少年たった。


「こいつらの魂胆ってことか。」


「そこで何してやがる。」


 ありゃあ見つかっちまったみたい。でもこの際こんなことした奴の顔面ぶん殴っておきたかったから丁度いい。

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