大いなる知識を求める者の探索行はクトゥルーものには定番ですが、軽妙な語り口と筆者の膨大な神話知識に根差し独自のテイストに仕上がっています。神々、旧支配者と人間の関係性についての洞察も非常に面白い。クトゥルー・クトゥルフの入門者からベテランまで、広く楽しめる幻想文学作品です。
意味深長でありながら、無意味。実態を伴った虚構。反発し合う魔素と神素と量子と血肉。安穏な3次元世界から、薄皮一枚隔てた場所で、今日も世界は滅びと存続の綱渡りを繰り広げているのかもしれない。様々な点で凄まじい作品でした。
この世界を、次元を超えた先にあるもの。それを幻視し、それを描写するという荒行。カクヨムが開始するそのずっと前から挑んできた作者様だからこそ描ける薫りが、本作には濃厚にまとわりついています。クトゥルー神話、クトゥルフ神話、という言葉に惹かれる方は、どうかお目を通してみてください。
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