第7話 ちょっと本気で剣を覚えてみた
突然の求婚に驚いたが、何とかその場を落ち着かせることができた。
俺は城の客間に案内された。
客間までフィリアが案内してくれたのだが、何故かフィリアはムスっとしている。
「おいフィリア。なんで怒ってるんだ?」
『べ、別に怒ってなんかいません!』
いやいやいや、明らかに怒ってるだろ。
俺が何かしたか?
『あの・・アキ様。あの時・・・あの魔導士が私を燃やし尽くすって言った時、怒ってくれましたよね?』
んー?
なんの話だ。
あ!あの名台詞を叫んで、自己満足していた時か!
「あ、ああそうだな。あんなこと言われたら怒るだろ」
フィリアが恋する乙女顔になった。
おいおいおい、これはまさか。
『わ、私嬉しかったんです!それに、アキ様凄くカッコよかったです』
もじもじしているフィリア。
可愛い。
「そうか、ありがとうな」
ぽんとフィリアの頭に手を乗せた。
ここから来るだろう。
THE・上目遣い。
『アキ様・・・・えっと。その・・・・私アキ様のこと、好きになってしまいました!も、もちろん陛下には女として何も及びませんが、気持ちだけなら負けません!』
モテキきたーーー。
にやけ顔を我慢し、フィリアへの返事として、俺は役割を全うするため、まだ誰も選べないと伝えた。
モテる男ムーブのつもりだ。
しょげた顔をするフィリア。
良き。
「なぁ、フィリア頼みがあるんだが」
俺は剣技を覚えたい旨伝えた。
そうすると、適任者がいると言って、一人の女騎士を連れてきた。
こいつは俺が転移した時にいた、鎧の女騎士だ。
身長もそこそこ高い、しかもエルフだ。
名はマリオール。
『アキ殿、私の特訓は厳しいぞ』
キャラにあったセリフだ。
そして、フィリアをも超えるたわわだ。
異世界ナイス。
さっそく中庭に出た。
『アキ殿、この中から自分にあった剣を選んでくれ』
ふむ、まぁまぁ種類があるな。
だが俺が選ぶのはこれ一択だ。
「そうだな・・・、このバスター・・・た、大剣にしよう」
バスターソードかっこええ。
そういえば、人のペースに合わせて特訓というのは初めてだ。
そもそもどんなことも、人との接点がなかった俺には、誰かと一緒ということ自体初となる。
攻撃の型、防御の型、剣に魔力を込めるなどの特訓を1週間程やってみた。
ふと思ったことをマリオールに問いただした。
それは、剣に魔力を込めたあと、直接斬るのではなく、その魔力を飛ばせるんじゃないかと。
魔法が使えない騎士達が、剣に魔力を込めるのは、耐久性や殺傷能力を向上するのが目的らしい。
よって、具現化された魔法ではないため、魔力を飛ばしても離散するだけだと言われた。
そもそも具現化されてない魔力だけを飛ばしても何もならないのだ。
また、騎士は詠唱が出来ないため、自分の生命エネルギーを魔力に変換して使うそうだ。
なるほど・・と、思ったが俺は1つの事を思いついた。
実戦するため、マリオールへ試したいことがあると説得し、街から出て森の近くの大きな岩がある場所へ連れて行ってもらった。
よし、やるぞ。
先ずは剣に魔力を込める、そして魔法は風をまとわせる。
俺は5m程離れた岩に向かって剣を振り上げた。
「
ばかんと大きな音と共に、岩は切り裂かれた。
成功だ。
マリオールが口をあけて、驚いている。
この異世界のリアクションはみんな一緒なのか?
ばあちゃん、俺、リアルバスターソード貰っちゃったぞ。
第7話 完
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