第9話 入浴イベントには本気で照れた


この異世界に来て、1か月が経過した。

今のところ救世主としての役目をお願いされていない。

陛下に求婚されてから、顔を合わせてないのが主な理由になるかもだが。


とりあえずの衣服や寝床を与えられ、不自由はしていない。

寝床は王宮だ。

陛下暗殺阻止で信用を得たからだろう。


何もイベントが起こらず過ごせているのだから、この異世界を知るいい時間だった。


この国の名前は、という。

そしてここは首都だ。

王宮では女しかいなかったが、街に出てみると普通に男もいた。


王宮に女しかいない理由は教えてくれなかったが、この国は衣服に魔晶石を練り込む技術を有しており、その衣服を交易での武器としているらしい。

まさか、その技術を盗むために陛下を襲ったのだろうか。

どの世界でも、テロまがいの行動は理解に苦しむ。


街をふらついている時、ちょっと興味深かった種族は上半身が人間で下半身が竜のだ。

ハーフデルピュネだと、見た目はほぼ人間だった。

ということは、ケンタウロス(人馬)やハーピー(半鳥)などもいるのだろうか。


個人的にはマーメイドに会いたい。

そう、マーメイドぅ。

ロマンが尽きない。


と、ゆっくり妄想しながら俺は大浴場に浸かっている。

この世界でも風呂に入れるのは幸せだ。



『なんじゃ、アキか。お主も入っておったのか』



扉の開く音がしたから、誰かが入ってくると思った。

このロリッ子女は、狼人ワーウルフのティムだ。

俺の魔法の師匠でもある魔導士だ。


だが俺は幼児体形に興味はない。



『お主、遠慮するな、見たいのだな?ピチピチの女子の肌じゃぞ?』




その喋り方やめろ。



「ふ、・・・お前こそ俺のバスターソードを見て、間違いを起こすなよ」



言い返してやった。

ティムの顔が赤くなった。



『そ、そんなサイズ・・・む、むりじゃ・・・』



何かボソボソ言っている。


ティムに俺が先日成功した、氷魔法と雷魔法と光魔法の生成について伝えると、安定の異世界リアクションをしていた。



また、扉が開く音がした。

俺は目を見開いてしまった。

しばらくイベントが無いと思っていたが、このタイミングで入浴イベントだった。



フィリア、マリオールに・・・え? へ、陛下。


なんと、陛下アイナスもたわわだ。



『ちょっと、陛下!我々と一緒に入浴するなんて、立場をわきまえてください!』



『なんの問題があるのだ?ワタクシもアキ様と一緒に入浴したいのだ』



『陛下、お戯れは程ほどに。アキ殿の背中は私が洗います』




3人が同じ湯舟につかって、両側と正面から俺を挟んでくる。

たわわが溢れて。

もう

だ。


俺と一緒に挟まれたティムは、口から泡を吹いている。

そう、窒息するほどこの空間はとわわとなっている。


異世界最高。


しかし、ちょっとうるさいな。


俺はびしっと立ち上がった。


彼女達の視線は、俺のバスターソードに向けられた。


いや、今はバスターソードではない。

世界最強の剣、アトミックソードと化していた。



「お前ら、静かにしないと真っ二つにするぞ!」



彼女達の顔が真っ赤になって、ぶつぶつ言いだした。



『わ、ワタクシはか、か、かまいません』



『そ、そんな、お、お、おお・き・・・』



『う、うう、器がでかいということは、い、いいことだ。アキ殿となら強い子孫を、の、の、残せるだろう・・・』



こいつら、かなりエロいな。


後日、こいつらから、アトミックソードの周囲はなんでつるつるなのか?と不思議がられた。

先日の魔法研究のせいだと言っても理解されないだろうから、俺は無視した。



ばあちゃん、俺、入浴イベント体験したぞ。



第9話 完


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