第16話 割と真面目な話だった


今日も冒険者協会で情報収集をすべく、俺達は他の冒険者達と他愛もない話をしている。

先日の調難易度クエストをクリアしたことで、俺達は少し有名になってしまった。

目立つべきではないのだが。



『アキよ、お前のせいじゃよ』




ティムからちょっと強めに怒られた。

確かに調子にのってしまった。

だが、ティムから言われると、なんかムカつくんだよなぁ。

だから俺は、ティムの小さい胸を強く揉んでやった。



『びゃああ』




ティムにしては可愛い声を出した。

また殴られる覚悟だったが、ティムは自分の胸を見つめていた。

いかん、何かに目覚めさせてしまったか・・・・。



『主様、私に魔力供給をして頂けないでしょうか?』




セシリアが自分の胸を押さえながら急に言ってきた。

いや、セシリアよ、胸を揉むのは褒美ではないぞ。


よしよしと頭を撫でたら満足したのか満面の笑みになった。



今日はこれといった情報収集はできそうにないと判断した俺達は、町をぶらつくことにした。


小さな町だが、酒場や市場などといった一般的なものはあり、不自由はしない町だ。


人族が多いためか、特に目立ったのは竜魔のセシリアの姿だった。

町を歩けばみんなセシリアを物珍しそうに見ている。

まぁ、セシリアには羽があり、さらにはしっぽがある。

そしてめちゃくちゃ可愛いからだろう。

うん、特にかわいいからだろう。



調査に来たのに、このまま団体行動をしても進展しないと思ったが、これといった代案は思い浮かばなかった。


ふと目の前に大きな教会が見えてきた。

この世界も宗教というものがあるのだろう。


興味があったので、中に入ることにした。

かなり綺麗な作りだ。

フィリアの話だとこの世界は四聖教という宗教らしい。



『アキ、構えよ』




詳しく宗教の話を聞こうとした瞬間、ティムが真面目な顔して話を遮った。

だが、周囲に不審な動きはない。

ましてや魔物といったものはいない。

どういうことだ?



『亜人がおる』




俺とセシリア以外のメンバーが神妙な面持ちとなった。

亜人?

それがなんの問題があるんだ。



『どいつかは特定できんが、亜人がこの中に混じっておるぞ』




特定できないだと?

でも何故亜人がいるとマズイ雰囲気になるんだ。


とりあえず俺達は一旦教会から去ることにした。

少し離れた場所に移動したところで俺は亜人について確認した。



『アキ、亜人とは




即座に俺は理解した。

人間になりすます。

つまり、国の主要人物と入れ替わることができる。

それは国を動かし、国同士の衝突など起こさせ、人類を滅ぼすこともできる恐ろしいことだと。


ティムの話では、亜人は入れ替わった人間の記憶、能力などを引き継ぐことができるらしい。


確かにこれはとてつもなく危険な存在だ。



『だけど、亜人はミリア様が・・・』




フィリアが話し始めた。


亜人の王という存在が、亜人へ指示を出しており、すべてをコントロールしているのだという。

亜人独自の能力で、離れていても王からの命令が、すべての亜人にいきわたる。

ふむ、固有スキルみたいなものか。


しかし、ティムはどうやって亜人の存在を分かったんだ?



『アキ、次なる作戦を考えたぞ』



そういったティムが言い出した次なる作戦は・・・・。

ランドルク学園に侵入することだった。


なんで?




ばあちゃん、俺学園生活なんて知らないんだけど


第16話 完

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