第15話 レアガチャ引いて本気で興奮した(後編)


『アキよ、こやつは特異種であるがため、自分の膨大な魔力をコントロールできないんじゃ』



なんだよ、ちょっと可哀そうじゃないか。

つまり魔力が暴走状態にあるってことだろ。

虫の息となったこいつを、魔力暴走しないように殺すしかないのか。



「ティム、こいつを救う方法ないのか?」



あれ?ティムは知っている様子だ。

いや、全員知っている様子だ。

だが、こいつらは黙っている・・・・何故だ。



「おい、救う方法教えろ」



沈黙しているこいつら・・・怪しすぎる。




『ひゃぃぃぃぃ』




ラキのしっぽを掴んでやった。

渋々ラキが説明を始めた。


こいつを救うのであればし、魔力の根源を同調させ、が魔力をコントロールすれば助かるというのだ。


だがこれだけの魔力の竜魔を誰もテイム出来ないときた。

これは俺がテイムするしかないだろう。


で、テイム方法は?

だが、テイム方法を聞いてもこいつらは教えてくれない。


なのでちょっと俺のスタン・・・じゃなかった、魔力を具現化させて脅してみたら、テイム方法はキスだと白状した。


こいつら・・・。



「じゃぁ、こいつをテイムするぞ」




振り返ると、フィリア、マリオール、ラキが竜魔の女の横に並んで寝ている。

マリオールに関しては、何故か馬用の鞭をもっており、頬を赤く染めている。

バカだろ。



魔力同調を意識しながら、俺は竜魔の女にキスをした。

ん?どれくらいキスをすればテイムされるんだ?



『長いぞ!』




ティムが後ろから殴ってきた。

分からないんだから仕方ないだろ。


お、竜魔の女の顔色が良くなってきた

それに、俺の右手の紋章が赤色に光ってる。

あれ?竜魔の女の右手に似たような紋章が浮かび上がったぞ。


どうやらテイムがうまくいったようだ。



『う・・・・』




竜魔の女が目を覚ました。




『あ、あなた様が私の魔力を抑えてくれたのですか?』




魔力が同調したせいか、俺が主だと気づいたようだ。




「無事で何よりだ。テイムしか救う方法がなかった。すまんな」




竜魔の女からめちゃくちゃ感謝された。

これはテイムしてよかったな。




『主様、私が主様を一生お守り致します』




全員の目が鋭くなった。

おいおい、やめてくれ。



「気にするな、それより服の代わりにこれを着ろ」




俺は自分のローブを着せた。



『私の名前はセシリアと申します』




セシリアか。いい名前だ。

そして、おねぃさんがパーティーに加わって俺は満足だ。



無事にクエストを終わらせた俺達は町に戻り、冒険者協会へ報告した。

受付嬢は信じられないという顔をしていたが、ティムが説明するとすんなり納得した。

似た者同士は無言で信じあえるのか。


今日は、遅いのでこの町に泊まることにした。

もちろん、こいつらとは部屋は別だ。

特にラキは何をするか分からない。



翌朝、決して油断してたわけではないが、布団の中に人の温かみを感じる。

このサイズは、まさかティムか?



『主様、おはようございます』




え?誰?

布団の中に居たのは12歳くらいの赤い髪の女の子だった。




『私ですよ、セシリアです』





へ?

おねぃさん、どこいった。




『ふふふ、甘いぞ、アキよ』




部屋の扉がバンっと開き、ティムが偉そうに言ってきた。


どういうことか聞いてみると。

主である俺が、セシリアの魔力を多めに吸収してしまっているからだという。

多く吸収すると小さくなるのかよ!


自分より色んな箇所が小さくなったセシリアを見て、ティムが勝ち誇った顔をしている。


気にくわん。


よし、ならこれはどうだ。

俺はセシリアへ魔力をうまーーくコントロールして送ってみた。




『せ、セシリア。じゃない・・・・アキよ。それは卑怯じゃ』



見事にセシリアがおねぃさん化した。

これは楽しい。

ふっティムよ。

お前いつでも一番小さいのだ。



ただ、魔力供給バランスがどうしても難しく、戦闘以外の通常時ではセシリアは子供になってしまう。


まぁ、これはこれでいいだろう。


そういえばセシリアはなんであんな場所にいたんだろうな。


気にしないけど。



ばあちゃん、おねぃさんなのか子供なのか、ギリギリのラインって犯罪になるのかな。


第15話 完

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