第11話 ちょっと本気で初狩りをやってみた
飛行魔法で降り立った街は、衣装を魔晶石に織り込む工場が集まったセルダールという町だった。
だがそれを知ったのは、こいつを手なずけた後の話だ。
急に求婚してきたこの
言葉遣いからして、強気な女だと分かる。
こういう奴の対処は初動が肝心だ。
その強気をへし折る圧倒的なSっぷりを示すのだ。
どっちが主人か分からせてやる。
「だまれ!小娘!貴様、俺様を誰だと思っている!」
びくっとした目になった
『ひゃ、ひゃいいい』
お、最初に聞いた可愛い声だ。
さらにたたみかけよう。
「お前のもの言いはなんだ!立場をわきまえろ!」
Sぷりが効いたのか、女はびくびくしている。
『て、てめぇは・・な、何者なんだ』
さて、なんて答えよう。
まだ救世主復活は伏せておいてくれと言われている。
前回の混沌から10年しか経過していないため、また救世主が現れたとなると、国民に混乱を招くからだそうだ。
「俺は・・・せ、」
『せ?』
「俺は、聖帝アイザー」
と、名乗りを上げたと同時に雷魔法を全身に纏い、オーラぽく見せ、立っているだけで俺強いんだぜアピールをかました。
『なぁ、あんた強いだろ?あたし、分かるぞ!』
ほう、理解が早いな。
良き。
『だ、だからさ、頼みがあるんだ!』
おー、別の街に移動したらイベント発生したぞ。
ラキはセルダール地域担当の警備兵だった。
しかも警備長だそうだ。
見た目によらないな。
兵の詰め所に案内された。
屈強な戦士達が10人程いた。
とりあえず、ラキは求婚の事を言ってこないので、そのまま触れないことにした。
で、用件はこうだ。
明らかに他国の正規兵と思われる実力者のやつらが、盗賊を名乗り、この国の命綱ともいえる魔晶石を強奪しており、それを撃退する手助けをして欲しいとのことだ。
なるほど、典型的な初心者イベントだ。
今からモブとなる敵を倒すことを想像すると、ちょっとワクワクする。
今夜、おとり作戦を実行することになった。
警備兵達が一般人を装い、魔晶石を保管庫に運んでいる時に盗賊が強奪にきたら、数名生かしたまま捕らえ、情報を聞き出すという作戦だ。
そして作戦決行の時間がきた。
俺は覚えたての飛行魔法を使い、空からしばらく監視した。
お、ホントに来たよー盗賊さん。
30人くらいか。
それに気づいたラキ達が盗賊に向かって攻撃を始めた。
警備兵達も結構頑張っている。
ラキは強いな。
あの武器は・・・クロウか?
見た目マッチングナイス。
このままでは俺は必要ないなと思ったタイミングでありがたい演出が起きた。
ガウン!と大きな音と共に、15mクラスの魔物が現れた。
召喚魔法だ。
召喚魔法を始めてみた。
俺が召喚されたのは別として。
興奮を抑えつつ、押され気味になったラキ達の助けに向かった。
やることはもちろん、これだ。
ダーンと、激しく地面に着地した。
ポーズはもちろん、ヒーロー着地。
着地の際の衝撃波で周囲には土埃がおきた。
相手の召喚士が、新手などやってしまえと叫んでいる。
リーダーだろう。
残りの相手兵力は20人弱と、召喚された魔物か。
俺はゆっくりと歩いた。
そう、初狩りをするための、舐めプだ。
俺に攻撃してきた武器は、すべて折れ、さらには攻撃してきた人間に対してはオーラのように纏った雷魔法で感電させた。
「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」
言っちゃった。
聖帝歩き最高に気持ちいい。
さぁ、仕上げだ。
俺は右手を前に出し、魔物の方へ向けた。
掌を上にむけ、魔物を握り潰すように手を握った。
「死の
重力魔法を攻撃に変えた。
魔物と召喚士は圧縮され、押しつぶされるように消えていった。
しかしこの魔法もやばかった、空間そのものを削り取っていた。
よって、近くにあった魔晶石をも消し去ってしまった。
これは闇魔法に認定しよう。
さて、マズイぞ。
『あ、あんたなんてことやってくれてんだよ!』
ラキが駆け寄って怒鳴ってきた。
そりゃそうだ。
これは誰の責任になるんだ。
俺か・・・。
『だ、だけど・・・』
ん?
『聖帝様・・・あ、あたしへの責任はとってくれる・・・よな?』
おいいい。
その上目遣いやめてー。
ばあちゃん、異世界ってなんか女性難多くない?
第11話 完
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