第4話 ちょっと本気で魔法を習得してみた


・・・・こいつら何なんだ。

俺はいま、知らない世界で檻に入っている。


人の話を聞かないムカつくやつらだな。


檻の看守は獣人族だ。

しかもネコ科。

胸もたわわだ。

良き。


しかし、こいつ・・鎧もつけずにシーフのような恰好をしている。

ジョブなんかの概念がこの世界にあるのか。



「おい、デカ乳女。ここから俺を出せ』




一応、声をかけてみる。



『なっ!』




顔を真っ赤にして、俺を睨んでいる。

関係ねぇ。

セクハラ上等だよ。

なんでもいいからここからだせ。



『檻から出せるわけないでしょう!私の役目を果たさないと私の首が飛びます!』



まぁ、そりゃそうだわな。

じゃぁ、もういいや。

勝手に出よう。



俺は檻の鉄格子を無理やり引っ張り、こじ開けた。


看守の女は口をあけて、驚いている。



『逃げる気ですか!』



「当たり前だ、お前らに付き合ってられるわけないだろ」



と、その前にと俺は言いつつ、看守の女を肩に担いだ。

離して下さいと叫び、暴れる女。

乳がぷにぷに肩に当たるのでもっと暴れていいぞ。


1階に出た。

だが広い城のようなので、出口が分からない。


だが、ここも問題ない。

俺は壁を殴り破壊し、外にでた。


そしてダッシュで走った。

とりあえず人に見つかるとマズイので、少しだけ早めに走った。

途中、城下町を通り過ぎる時、異世界らしい中世の建物が目についた。



『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ』




看守の女は叫んでいる。

あぁ、そうか俺が本気で走るとマッハ4のスピードだから、少し早めでもこいつにとっては目が回るのか。


街や城が見える高台の森にまで逃げることができた。

隣で看守の女は息をあげている。



「おいデカ乳女、俺に魔法を教えろ」



すごく睨まれた。



『そんな呼び名やめてく下さい!私はフィリアってちゃんとした名前があります!』



おお・・・異世界っぽい名前だ。



「なんでもいいから、魔法を教えろ」



『あなたのその力、本当に転移者なんですか」



力が関係しているかわからないが、転移されたのは間違いない。

俺はその通りだと答えた。



そこからフィリアがため息をつきながら何故か親切に魔法を教えてくれた。


この世界の魔法の概念はこうだ。


この世界のありとあらゆるものにはというものがあるらしい。

植物や動物、土や水なんかも生命エネルギーがあるらしい。

魔法はその生命エネルギーを詠唱により少し集め、具現化したいものをイメージするらしい。


具現化したいものをイメージするというのは、どの異世界ものにもある設定だ。


なるほど、案外簡単そうだな。

俺はちょっと魔法を試してみた。


右手の手のひらに炎のボールをイメージした。

典型的な初歩魔法だ。

右手のあざが光っている。

やっぱりこのあざには何か意味があるのだろう。

俺の目に、周囲の生命エネルギーが集まってくるのがハッキリと見えた。


目を凝らすと、確かに周囲には生命エネルギーがあるようだ。

よくある魔素みたいなものか。


とりあえず、これくらいか?


おおおおおお、ちゃんと火の玉が出来たぞ。


すると後ろでバタンとフィリアが倒れた。


なるほど、俺はフィリアの生命エネルギーも少し頂いたのか。

魔力を込める時は、何からエネルギーを集めるか意識しないといけないことが分かった。


息を切らしながら、少し弱ったフィリアが定番のセリフを言った。



『む、無詠唱なんてっ・・・』



おー、いいリアクションしてくれるじゃないか!

俺は顔がにやけてしまった。

無詠唱なんて、異世界ものが多い日本人は誰でも出来ると思うぞ。


もっと魔法を試したいが、街の方で爆発音がした。


来たぞ!

これは俺の印象を変えるイベント発生だ!


俺はフィリアを肩に担ぎ、街へと走りだした。


フィリアはまた叫んでいる。



ばあちゃん、女の胸ってこんなに暖かいんだな。


第4話 完

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