第3話 テンプレにも本気で対応してみた
輝く魔法陣の中に吸い込まれた。
光が落ち着いた頃には俺は異世界に転移してた。
王族の建物の広間といったところか。
転移したということは、何か願いを言われるだろう。
周囲を見渡すと女だけしかいなかった。
だが、色々な種族は確認できた。
人間、エルフ、獣人。
他にも種族がいるのだろうか。
奥の方に、いかにも王族だと分かる女が、睨むように俺を見ている。
さらに、こいつらは何かざわついている。
『何者だ!』
『しょ、召喚が失敗したのか?』
『何故、男がこの地にいるのだ!』
おいおい、お前ら俺に願いがあるんじゃないのか?
ざわざわしている声の中に聞き覚えのある名前が混じっていた。
『ミリア様はどうしたの?』
ん?
周りはミリア様、ミリア様と口を揃えてざわめきだした。
なんで、こいつらこの名前を口にするんだ?
「おい、お前ら、なんで俺のばーさんの名前を知ってるんだ?」
周囲がすぐに静まり返った。
ばあちゃんの名前は日本人離れしている。
ばあちゃんと何か関係あるのか。
『貴様!ミリア様に対し、そのような呼び方を!!』
血相を変えた、鎧の騎士の女が俺につめよってきた。
意味がわからん。
勝手に人の事を転移させておいて、この扱いはなんだよ。
魔王を倒してくれとか、そういう願いをするんじゃないのか。
『陛下、召喚は失敗です!このような得体のしれない者は、排除すべきです!』
詰め寄ってきた鎧の女騎士が、奥に座っている偉そうな女に訴えてる。
なるほど、陛下か。
態度からも分かりやすい女だな。
「お前らちょっといいか?」
ざわつきが全く収まる様子がないため、俺は右手を上げた。
これが失敗だった。
『貴様・・・その手っ・・、何故・・・その紋章が!』
奥にいる陛下とやらが立ち上がって声を荒げた。
このあざがなんだっていうんだ。
『者ども!この男の首を取れ!』
おいちょっと待て!
いきなり呼ばれて、いきなり殺されるのか俺は。
数人の騎士が俺に斬りかかってきた。
だけど、答えはわかっていた。
俺の体に突き刺したすべての剣が一斉に折れた。
銃やミサイルも効かない俺の体に剣など避ける必要もない。
女たち全員が騒然としてる。
うむ、これが普通のリアクションか。
つづいて、呪文のような声がこだました。
あぁ、こりゃ魔法だな。
そういえば、魔法は受けたことがないな。
安定の火炎魔法を撃ってきた。
ここは建物の中だが、火事とか大丈夫なのか。
とりあえず、受けたことがない攻撃なので、避けよう。
転移直後に殺されてしまっては、さすがに理不尽だ。
それに、こいつらなんかムカつく。
俺は、後ろへ大きくステップし、火炎魔法を避けた。
右手に柔らかい感触がする。
あ、こっちのテンプレか。
俺は陛下の右乳を触っていた。
顔を真っ赤にする陛下どの。
うん、こいつ処女だな。
問題ないぞ、そんなに照れるな。
俺も童貞だ。
そして俺は投獄された。
ばあちゃん、異世界って理不尽じゃね?
第3話 完
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