第2話 ちょっと本気で金儲けしてみた


久しぶりに日本に帰国した。

筋トレして1年、紛争地に赴き1年。


俺は22歳になっていた。


日本に帰国したのはいいが、金がない。


紛争地への移動も密輸船だったしな。


命をかけた戦いの後の報酬は、現地の女性だった。


だが、断った。


だって、俺は童貞だから。


ぶっちゃけ、女性との恋愛なんて分からない。

ゲームの世界と現実世界が違うことは理解している。


つまりゲームの世界の常識を押し付けても、成功するはずが無いのだ。


おっと、もう過去のことはいいだろう。

先ずは今後生きるための金を作るしかない。


俺はちょっと本気で勉強してみることにした。



今回も俺のペースでやってみよう・・・。



IT関係の資格を制覇。

金融関係の資格を制覇。

法律関係の資格を制覇。

医療関係の資格を制覇。

世界中のありとあらゆる科学者としての知識を制覇。


制覇の度に、右手のあざが熱くなり、その翌朝にはやっぱり大事な箇所の毛が抜けていた。

せっかく生えてきたのに、何かを成し遂げると抜け落ちる。


まぁ、気にしない。


これらの知識を俺は1年で得ることができた。


世間ではどれくらいのペースか分からないが、これは俺のペースだから問題ないだろう。


たまにニュースなんかで人類史上最高の天才と取り沙汰されることもあったが、目立つことが嫌なので取材は断った。



今度は異名をもらった。


<日本の可能性の獣>


うむ、今回は悪くない異名だ。

少し満足した。


俺は得た知識を使い、ありとあらゆるコネクションを使い、会社を企業し、そしてひつのことを1年かけて成功させた。


ナノマシンによる自然治癒力の向上。


これで人類の寿命も延びる。

幼い子が重い病気を患っても、元気に育っていくことだろう。

なにより、ばあちゃんみたく、突然死んでしまう人々も減っていくだろう。



24歳になった俺は大金持ちになった。


いわゆるセレブというやつだ。


だが贅沢のやり方なんて分からない。


なので、住んでいる場所は今もぼろアパートのままだ。


ばあちゃん・・・・。

俺、本気で取り込んでみたよ。



涙があふれてきた。


ばあちゃん、ばあちゃんと何度も泣きながら叫んでしまった。


その時、右手の甲のあざが熱くなり、青白く光りだした。

狭い和室に敷いた布団の下から、魔法陣のようなものが浮かびあがった。


あ、これ前々から期待していたテンプレじゃんか。



第2話 完了

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