第11話 遠征
騎士団司令部から帰ってきた俺は親父殿に話があると言われ、居間に向かった。正直もうくたくたなんだが...。
「ユージーンよ。話があるというのはほかでもないお前の魔力量についてだ。私が学生の時ほどではないが魔力量はかなり少ない。それにお前の戦い方は剣の技術と魔法による奇襲をメインとしているところがある。私がそんなことを教えた覚えはないが、その戦い方があってるというなら矯正するつもりはない。しかし、その戦い方では魔力が切れたとき一気に窮地に陥る。今日の決闘でもそうだ。もしあの場面でエミリアが回避し、反撃に転じていたらなす術はなかっただろう。それに今日エミリアはかなり受けに回っていた。彼は本来攻め立てるタイプだから、そうなってしまうと奇襲を仕掛ける前に勝負が決まる。そこでだ、ユージーンが強くなるには2つの方法がある。1つは純粋に剣の技術を鍛えること。もう1つは魔力の総量を上げることだ。剣の技術に関しては、騎士学校に行ってたら自然と鍛えられるだろう。問題はもう一つの魔力量だ。これは方法がかなり特殊で騎士学校では総量の拡張はできない。」
「なるほど。」
「魔力総量の拡張は魔法学校でなら拡張できるんだが、俺が魔法学校の校長と仲悪くてな。おそらくだが、使わせてもらえないだろう。」
「え?」
「だからな、学校が始まるまでのこの4か月を使ってユージーンにはレンドリアに行ってもらう。」
「レンドリアって西の端にある森ですか?」
「そうだ。そこで知り合いの魔術師が魔法の研究をやっていてな。そいつに手紙を送ったところ2つ返事で了承してくれたから、そこで魔力総量の拡張をしてもらう。」
「わかりました。いつ向かいますか?」
「同行者の準備ができるのが来週になるらしい。そこまでにユージーンも準備しておいてくれ。行っていいぞ。」
「はい。」
魔法学校の校長と仲が悪いって何やったんだよ、親父殿。なんか、騎士学校と魔法学校があんまり仲が良くないのは知ってたけど、仲が悪いってどういうこと?というか、レンドリアか。あそこ確かダンジョンあったよな。しかもあそこらへんダンジョンからあふれてきた魔物で危険とかなんとか。そんなとこで魔法の研究ってなんだ?
まぁ、いい。準備するか。でも何がいるんだ?剣と服ぐらいか?必要なもの、必要なもの...。思いつかないし、いいか。
1週間後...
「ユージーン、迎えが来たぞ。...すこし荷物多いかもな。服は向こうで用意してあるらしいから、剣だけ持っていくといい。」
「わかりました。」
服すらいらないのか。準備って何だったんだ?心のか?とりあえず門に向かうか。
「やぁ、ユージーン君。」
「エミリアさん!同行者ってエミリアさんのことだったんですね。」
「そうだよ。師匠にお前もダンジョンで鍛えて来いって言われてね。せっかくだし一緒に行こうかなって。」
「エミリアさんと一緒なら安心ですね。」
「そんなこと言ってくれるとは、ありがたいねぇ。馬を出してくれ!」
エミリアさんとおしゃべりをしながら馬車で揺られること数刻、馬車が止まった。
「ん?こんな近くないんだが、何かあったか?ちょっと待ってて、様子を見てくる。」
こうしてエミリアさんが出て行ったあと、馬車の外から誰かと話す声が聞こえてきた。しばらく馬車の中で待っていると、金属を打ち鳴らす音が聞こえてきたのちに名前を叫んでいるのが聞こえてきた。慌てて外に出ると、エミリアさんと御者が武器を携えた男たちと交戦しているところだった。
「ユージーン君!盗賊だ!気を抜かないようにね!」
「わかりました!」
こうしてエミリアさんに斬りかかろうといていた盗賊の1人を後ろから斬り捨て、遠くで弓を構えている盗賊の1人に斬りかかっていった。どうやら御者もそこそこ腕が立つらしく、ものの数分で盗賊たちを戦闘不能にできた。エミリアさんのほうを見ると、殺さずに生かしておいた数人に何かを聞いているようだった。
「貴様ら、グレンゴルドの一味か?」
「グレンゴルド?そんな危ないやつ知らないね。」
「そうか、ならいい。言い残すことはあるか?」
「おいおい!ころすのかよ!衛兵に引き渡すはずだろ!?」
「確かに冒険者には盗賊の必要以上の殺害は認められてないが、私は騎士団所属でね。ま、そういうわけだ。」
こうしてエミリアさんは数人の首をはねたのちにのろしを上げた。
「こうして置いたら見回り中の兵士か衛兵が来る。僕たちは先に行こう。」
「はい。」
「冒険者には盗賊の殺害が認められてないんですか?」
「うん。戦闘中ならともかくとらえた後に殺害するのは禁止だね。そもそも拘束しないと報酬が出ないから殺害するメリットないんだよね。さっきは急いでたし、僕が騎士だったのもあって殺しちゃったけど基本は拘束だね。」
「なるほど。エミリアさんは冒険者をやっていたことはあるんですか?」
「ないね。僕は在籍中にスカウトされて近衛騎士団入ってるから。」
「在学中にスカウト、ですか?」
「そう、知ってるかもしれないんだけど騎士学校では6年生から学生大会っていうのに参加できて、僕は7年生の時に準優勝、8年生で優勝してるからスカウトされたんだよね。すごいでしょ。」
「はい。普通にすごいです。」
「ユージーン君も学生大会優勝したらスカウト来るよ。多分。」
「できるといいんですが。」
そんなこんなでさらに数刻、馬車が止まった。
「トルタヤの町につきました。」
「あぁ、ありがとう。行こうか、ユージーン君。レンドリアに一番近い町、トルタヤだよ。一泊してからレンドリアに行こう。」
「はい、わかりました。」
トルタヤは俺たちが住んでいる首都ほどの大きさはないがそれでもそこそこデカい町だった。たぶん近くにダンジョンがあるからにぎわっているのだろう。門から続いている大きな通りにはで店が立ち並びあちこちからいい匂いがしてくる。
「何か食べていくかい?」
「そうですね。あそこのなんか焼いてたれをつけてるやつにしましょう。」
「銀貨5枚か、お手ごろだね。2本もらえるか?」
「毎度あり!」
「はい、これは焼き鳥だね。」
「あぁ、焼き鳥ですか。」
「あ、知ってた?」
「いや、食べたことはないですが名前だけ。」
こっちにもあるんだな、焼き鳥。他にも同じ料理あるんかな。あっても名前が一緒とは限らないか。いや、転生者がこれの知識を持ってきたってのはあるか。となるとほかの転生者と出会えるかもな。
「この焼き鳥を思いついたのって誰なんですか?」
「さぁ?誰なんだろうな。気づいたらなんか流行ってたからな。」
店主でも知らないか。そりゃそうか。俺も向こうで焼き鳥発明したやつとか知らないしな。平〇レミくらいだもんな。でもあの人って何してる人なんだ?
こうして屋台とか出店で適当にぱくつきながら今日泊まる宿に向かった。そんなに大きくないな。我が家の豪邸に慣れた俺じゃもう満足できないよぉ。
こうしてエミリアさんと一泊してレンドリアに向かった。
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