第15話 邂逅
ここの森は結構暗くていい感じだな。結構小動物もいるっぽいし、こういう森いいな。前世だとこんな場所に来ることそうそうなかったからな。森林浴っていうのか?前世でも行けばよかったな。
こうしてダンジョン周辺の森を一人で探索していたところ、黒い毛皮の外套を羽織ったごつめの人に出会った。
かっこいいなこの人。黒髪に、黒いコート。それに腰からさげてる剣も少し大きめで、大人になったらこういうの目指すか。明るめの茶髪だから全く一緒の格好しても雰囲気は変わると思うけど。俺の目指すべきはマッツ・ミ〇ルセンだよな。それか、クリス・プ〇ット。
「おう、坊主。迷子か?」
「いや、探索をしていただけです。」
「そうか、迷子じャァないんだな。そいつァよかった。ところでだ、坊主。浪漫ッてのはどこで感じると思う?肚か?心か?それとも頭か?」
急に何なんだ?それっぽい回答でもしておくか。
「魂でしょう。浪漫は魂の共鳴じゃないですか。」
「くはは。よくわかってるじャァないか。坊主、もう一つ質問なんだがな。ダンジョンッてのはァどッちだ?」
「こっちですね。案内しますよ。」
こうして名も知らぬ黒い人をダンジョンに案内する。道中でも黒い人は結構気さくに話しかけてくれた。
「坊主は、騎士とか好きか?」
「まぁ、そうですね。父親が騎士なので。」
「おぉ、そうかそうか。そいつァいいな。じャァ将来の夢は騎士か?」
「騎士学校には通う予定ですが、騎士になるかは決めてないです。」
「ん?坊主は今いくつだ?」
「今年で10歳になりました。」
「10歳にしてはしッかりしてるじャァないか。なんで、こんなところにいるんだ?」
「修行のために知り合いの騎士さんと来たんです。」
「ほゥ。知り合いの騎士か。俺の知り合いかもなァ。その騎士なんて名前だ?」
「エミリアさんです。」
「エミリア、エミリアねェ。知らん名だなァ。」
「おじさんは何をしてる人ですか?冒険者さんですか?」
「まァ、そんな感じのことやッてるなァ。それと、俺はまだおじさんッて歳じャァねェなァ。」
「いくつですか?」
「今年で28になるなァ。いや、29になッたんだッけか?あんまし覚えてねェなァ。」
「あんまり年齢とか気にしませんか?」
「数えてても使う機会がないからなァ。」
「そういうもんですか。あ、そろそろ着きますよ。」
「お、やッとかァ。」
森を抜け、ダンジョンに到着するとタークィン殿がこちらに向かってくるのが見えた。
「ユージーン君!どこ行ってたんですか?探したんですよ?」
「あ、すいません。そこら辺を散策してまして。」
「おう、タークィン。いつぶりだァ?」
「ボス!?迎えに行くって言いませんでしたか?」
「道中でこの坊主にあッてな。案内してもらッたのよ。」
「そうでしたか。それで計画はどうしますか?」
「ちィと早いが始めちまうか。」
知り合いの騎士ってタークィン殿のことだったのか。計画ってなんだ?二人とも急に剣を抜いたけど。というか、2人の剣かっこいいな。タークィン殿が真っ黒な剣で、黒い人の剣が、黒刃に中心が金か。こういうのもかっこいいよなぁ。
そんなことをぼーっと考えていると、タークィン殿が近くにいた騎士を背中から斬り裂いた。あっけにとられていると、黒い人が次々に騎士を切り殺していく。末端の騎士といえど冒険者と比べればそれなりに実力差があるのだがそれでも唐突に表れた敵と、自分たちの隊の副隊長が襲ってくるという事実に動揺しあっけなく散っていった。何人か剣を抜き交戦している騎士もいるのだが、黒い人は純粋に強いようで数合打ち合った後に敗北していた。
あっけにとられていると、後ろからジャリという音が聞こえ、振り向くとそこには剣を振り上げたタークィンがいた。剣を抜いて合わせるにはどうにも間に合いそうにない。のでとりあえずジジィのところに避難した。
「ふー、あぶないあぶない。」
「なんじゃ、逃げたのか?」
「いーや、逃げじゃないです。スキルをうまく使っているだけです。」
「物は言いようじゃな。」
「じぃさんや、あの黒い人は何なの?」
「彼の名前はもう知っておるはずじゃが?」
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