第14話 ダンジョン

 ダンジョンの中に入ると森が広がっていた。




「ガルドゥル殿、お願いします。」


「まかせろ。」




 ガルさんは、3匹の蒼い炎でできた小鳥を召喚し3方向に飛ばした。しばらくするとガルさんは走り出した。




「こっちだな。結構魔物多いから気をつけろよ。」


「はい!」




 僕とケイ殿が先頭を走りその後ろをガルさんと騎士が続く。前にいる魔犬やゴブリンを2人で斬り捨てる。こうして30分ほど走っていると前に3人の冒険者と階段が見えてきた。




「お前ら!」


「隊長さんじゃないですか。どうしたんですかそんなに急いで。」


「お前ら、俺が隠し部屋のことを聞いたとき知らないといったよな?」


「さぁ?覚えてないですね。」


「とぼけやがって。悪いが連行させてもらうぞ。」


「やれるものならやってみてください。」


「ケイ殿、手伝いましょうか?」


「いい。俺一人で十分だ。」




 そういうとケイ殿は背中に背負っていた大剣を下ろし真正面に構えた。


 冒険者たちはへらへらと笑っていたが、次の瞬間笑みが消えた。剣を構えていたはずのケイ殿の顔が眼前に迫っていたからだ。ケイ殿は下段に降ろした大剣を振り上げ、冒険者のガードごと吹き飛ばした。手首を返し振り上げた大剣を、2人目の冒険者の脳天めがけて振り下ろし、ダガーごと両断する。後隙を狙った最後の冒険者の一撃を身をひねってかわし、みぞおちに蹴りを入れて無力化させる。




「流石ですね。」


「新入りの手前、ダサいことできないからな。おまえら、こいつらの後処理を頼んだぞ。」


「ケイ、エミリア、先を急ぐぞ。」


「はい。」




 こうして若干のアクシデントに見舞われつつも2階層へと進んだ。




「ガルドゥル殿、隠し部屋はどちらに?」


「こっちだ、ケイはダンジョンの経験はないのか?」


「自分は学校を卒業してしばらくは冒険者をしておりましたので、ダンジョンの経験自体はあるのですが、このダンジョンに来たことはないですね。」


「あ、ケイは東校の出身だったか?」


「そうですね、新入りも確か東校の出身だろ?」


「はい、ただ私は冒険者の経験はないためダンジョンも初めてです。」


「えーっと、ここの石を押し込んでと。よしここだな。」


「クロスボウは使わないんですか?」


「この先だよ。もっとも俺には必要ないが。」




 こうして現れた通路を先に進むと、ゴーレムが現れた。




「こんなとこにゴーレムなんかいなかったし当たりっぽいな。速攻で片付けるぞ。」


「はい!」




 こうしてガルさんは詠唱を始めた。ゴーレムはそれを脅威と感じたのか、突進してくる。僕とケイ殿は軽く避けるが、ガルさんは動こうとしない。




「ガルドゥル殿!」




 ゴーレムの渾身の突進はガルさんにぶつからなかった。ガルさんの姿がゆらめき、気がつくとガルさんは後ろで詠唱を続けていた。そして、ガルさんはゴーレムに手のひらを向け、




「メインヴォルフ」




 と、唱えると手から光球が放たれる。その光球が触れるとゴーレムは跡形もなく消え去った。




「ガルドゥル殿...消し飛ばしたのですか?」


「いやいや、まさか、あんなでかいモノ消し飛ばすなんて無理だよ。俺はただ飛ばしただけだよ。」


「飛ばした?」




 そう聞くとガルさんはただ上に人差し指を向けた。




「??」


「いずれわかるさ。さ、おそらくこの先に盗賊がいるんだろう。行くぞ。」


「よくわかりませんが、いきますか。」




 こうして扉の前に進んだ。




「ところでこれはどうやって開けるんだ?」


「うーん、どっかに隠しボタン的なものがあると思うんだが...。」


「見当たらないですね。」




 こうして3人で探すこと数分。




「無いな。」


「無いですね。」


「見当たりませんね。」


「こういうのはだいたいわかりやすいんだが、これは隠しボタンで開けるタイプじゃないのかもな。」


「この扉、取っ手みたいなのついてませんか?」


「え!?まさかそんなわけないだろう。」


「いや、ほらこれ。」


「まじであるな。まぁいいか、先に進もう。」




 こうして取っ手を引くと10人近くの盗賊がいた。扉の先には机といすが並べられておりどうやら何かの会議が行われているようであった。盗賊は各々椅子に座っていて、誰もこちらを向く素振りすらなかった。




「おぉ、帰ってきたか。騎士どもはどっか行ったか?」


「騎士ならここにいるよ。」


「あ?おいっ!武器を取れ!」


「俺が身体強化をかけるから、ケイは左を、エミリアは右を頼む。」


「はい!」


「了解!」




 ケイ殿は盗賊どもの首をはね、胴を貫いている。負けじと僕も盗賊を袈裟懸けに斬り、腹を裂く、奇襲を仕掛けてくる盗賊はガルさんが蒼い炎でできた小鳥で貫く。


 こうして、モノの数分で制圧を完了した。




「よし、身体強化すごいですね。」


「まあな。にしてもあっけなかったな。さすがにこの中にグレンゴルドはいないんだろう?」


「はい。あいつはかなりの豪傑ですので。」


「そうか、とりあえずここら辺の紙を見てみるか。」


「そうですね...。ん?これは...タークィンのサインだな。っ!ガルドゥル殿!これを!早く戻らないとやばいです!」

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