第6話 特訓

 遂にこの時が来た!ついに剣の訓練を親父殿がつけてくれるのだ!どうやら親父殿は魔法の教師も探してくれていたようだが、やっぱりまずは剣術だよ!まだかな!まだかな!来たっ!




「おはようございます、父上!」


「あぁ、おはよう、ユージーン」


「ついに剣の修行ですね!」


「本当に魔法じゃなくて剣でいいのか?私らが子供のころはみんなこぞって魔法を学びたがったもんだが...」


「いや!剣がいいです!」


「そうか、そこまで言うならいいが...そうだな、まずは切りかかって来なさい。先ずは慣れるところからやろう。」


「わかりました!とりゃぁぁぁぁぁ!」




 袈裟斬り、一文字、逆袈裟、前世で見たことのある剣術の真似をするが、親父殿に簡単にはじかれる。というかそもそもマネできてるのかすら怪しい。うすうす気づいてはいたのだが、この剣とかいう武器重すぎるのだ。




「ふむ、少し剣に体が振り回されすぎだな。もう少し体の軸を意識すると良い。あと踏み込みが甘いな。」


「わかりました!とぉっ!おりゃっ!」


「状態が臥せりすぎだ。もう少し体を起こして。」


「こうですか?そいっ!ほりゅあっ!」


「違うな。手で振りすぎだ。腰から肩、肩から肘、肘から手、手から剣という力の流れを意識するんだ。」




 できるかぁぁぁぁぁぁ!こちとら5歳やぞ!剣を持ち上げるので精いっぱいだわ!親父殿、実践主義すぎるぞ!




「ふむ、さすがに厳しいか。少し待っていなさい。」


「はい。」




 なんだ?できなさ過ぎて愛想つかされたか?もしかしてこの世界の5歳児はこの程度簡単に振るうのか?




「ユージーン、こっちを使いなさい。」


「こっちの剣ですか?少し短いですね。」


「そっちの剣は6,7歳用だ。今まで使ってたのは10歳用でね。私が子供のころはこっちの10歳用を使っていたからいけると思ったがどうにも厳しかったようだな。」


「はぁ、なるほど。」




 ふざけんな!なんかデカいし重いと思ったわ!というかそもそも親父殿は騎士学校を最年少で主席卒業してるでしょうが!自分が化け物だと気づいてないのか!




「少し振ってみなさい。」


 ブンブン


「おぉ、これはさっきのに比べてだいぶ振りやすいですね。」


「うむ、ではまた斬りかかってみなさい。」


「行きますっ!」




 さっきの親父殿のアドバイスを信じて、まずは体を起こし上段にかまえ、体の軸と剣が交わるように意識する。そして、強く踏み込む同時に腰をひねり肩から斬るイメージで振り下ろす。親父殿に簡単にはじかれるが、踏み込んだ勢いを殺さないように右腰のあたりから一文字に薙ぐ。親父殿はこれを一歩分だけ後ろに下がって避け、逆袈裟斬りを軽くはなってくる。これを剣で受けつつ一歩踏み込み親父殿を攻撃圏内にとらえ必殺の突きを繰り出す。がしかし親父殿は軽く身をひねって避け、


     ばちこーーーーーーん!!!!!!!


 思いっきりデコピンされた。




「いったぁぁぁぁっっっ!!!!何するんですか父上!」


「いや、結構筋がよかったのでな。反撃の一つでもしてやろうと」


「その理屈よくわかんないです、父上...」




 こうしてデコピンされたりチョップされたりしながら1時間ほどの訓練は終わった。




「明日からは私がけいこをつけてやれないから先生を見つけてくるまで素振りや体作りに励みなさい。」


「はい、父上。」


「うん、いい子だ。」




 こうして約1か月、素振りと体作りに没頭した。無理のない程度で限界まで頑張り、前世では考えられないくらい努力をした。これも新しい先生が来たときに圧倒して俺つえーするため。自分にそう言い聞かせ頑張った。


 がしかし、先生は来なかった。




「どうやら先生に空きがないらしくてな。これからは月1くらいで私が先生になる。それでいいか?」


「はい、父上。」




 いやもう、はいっていうしかないよね。親父殿はこの国でも3本の指に入る実力者だし、師匠としては申し分ないよね。親父殿強すぎて俺つえーはできないけど。




 そんなある日、庭で素振りに励んでいると目の前に知らない男が立っていた。

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