第18話 死合
流石に時間稼ぎももうできそうにないな。二台目の装甲兵器とやらが降ってくるのを祈るわけにもいかないしな。三人が戻ってくることを期待したけどさすがに戦わざるを得ないな。
剣を中段に構え、身構える。グレンゴルドは剣を下げ半身を引き、体の後ろに隠すように構える。これなんかアニメで見たな。青い騎士がやってたやつだな。あぁ、これ対峙して初めて分かったけど間合いが読めなくてクソうざいな。うかつに斬り込めないって感じだな。そもそも斬りこむつもりないから噛み合ってないんだけどさ。
こうしてにらみ合ったままお互いに距離を保つこと1,2分。
「斬りこんで来ねェのかァ?」
「斬り込めるわけないでしょ。」
「そうか、なら先手はとらせてもらおうか。」
剣を下げたまま間合いを詰め、下段から掬い上げる様に剣を振り上げてくるのを、腰を落とし剣で受け止める。しかし勢いは完全に殺せず靴で地面を擦りながらスライドさせられる。手の痺れが取れる間もなく、グレンゴルドは上段に構えた剣を振り下ろしてきた。剣ごとへし折られると判断し、後ろに飛びのいて距離を取ろうとする。しかし、グレンゴルドは剣を引きながら距離を詰めてくる。距離を取ることはあきらめ、グレンゴルドの突きを見極めることに集中する。
グレンゴルドは地面を強く踏みしめる。来るっと思うと同時に本能が全力で警鐘を鳴らしているのを感じ、次の瞬間にはジジィのところに跳んでいた。
ジジィが口を開くよりも早く戻り、不意打ちを決めようとするもグレンゴルドは距離を取っていた。
グレンゴルドはどこか苦々しい様子で、こちらをにらんでいた。グレンゴルドを一度剣を軽く振ると、剣先を下に向け下段に構える。それに対し、しっかりと中段に剣を構えグレンゴルドを見据える。
グレンゴルドはじりじりと近づいてき、圧をかけて来る。俺は相手の間合いから逃れようと少しづつ後退する。こうしてピンと張った空気が続く中、グレンゴルドが仕掛けた。爆発したのかと錯覚するほどの踏み込みで急接近してきて、流れるように2撃3撃と剣を打ち込んでくる。どうにかこうにか剣を差し込むことで直撃は避けつつも防戦一方にさせられる。
グレンゴルドは上段に構え袈裟懸けに斬りこんでくる。頭上からの攻撃を何とか剣の腹で受け流す。グレンゴルドはすかさず振り抜いた剣を反転させ、下から切り上げてくる。さながら燕返しのようであった。痺れの残る腕を気合で動かし振り抜きに合わせて防御を試みるが、振り抜かれた右手に剣はなかった。想定外のことに呆然とする間もなく腕ごと剣を上にはじかれ、間髪入れず丸裸となった顔面に蹴りが飛んでくる。何かを考えるよりも早くジジィのところに跳び、息を整える。珍しく何も言わないジジィを尻目に戻ると、グレンゴルドはいなかった。探そうとしたその瞬間、後ろから首をつかまれる。
「そう初見殺しをポンポンと使うもんじャァねェよ。」
「ァッ、カッ...。」
「まァ、今日のところはァお前の負けだわな。おとなしュう寝ときな。」
その言葉を最後に俺は意識を手放した。
「その小僧どうしますか?」
「どうしたものかなァ。」
「スキル持ちは珍しいし奴隷にでもして売り払いますか?」
「うぅむ、悩むなァ。弟子にでもするかァ?」
「そんな小僧よりつよいガキはいくらでもいますよ?」
「そんな小僧にやられた傷はどうなのよ。」
「...。」
「お前は油断さえなかッたらァ、結構いいんだけどなァ。」
「返す言葉もないです。」
「そりャァそうだろォ。これで反論でもしようもんならァお前のこと殺すぜェ?」
「精進します。」
「俺に追いつけるように頑張れェ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます