いろんな女性と男性が登場し、それぞれに惹かれ合ったり片思いを募らせたり、でも最後には結ばれるという、王道の恋愛小説なのですが、本作のきわめて特徴的なところは、時代が奈良時代であること! 奈良時代ですよ。なかなかそんな小説にはお目にかかれません。
現代と異なる社会的なしがらみや慣習はあれど、恋する若者たちがやきもきするのは今も昔もかわりません。
本作の主軸となるのは、東北地方で征夷軍の軍監を務める勇猛果敢な男、真比登(まひと)と、その地を治める豪族の娘、佐久良売(さくらめ)。真比登は子供時代にかかった病のために顔に醜い疱瘡(もがさ)持ち。家族愛に飢えた彼は自分の家族を作りたいという気持ちは人一倍強いのに、体に残された疱瘡のため恋愛からは逃げています。かたや佐久良売も、少女時代に繰り返し負わされた男性に対するトラウマのため、絶世の美女なれど婚期を逸し、ひとりで生きていく決意をしています。そんな訳ありの二人が縁談をすることとなり、ここから、えええっと驚くような展開がつぎからつぎへと繰り出されます。
恋愛あり、友情あり、家族愛あり、戦いあり、堂々の187話54万字です。奈良時代への深い造詣に裏打ちされた加須 千花ワールドをたっぷり堪能できます。また、本作のすごいのは、本文からリンクで見ることのできる挿し絵が豊富にあること! これを眺めていくだけでもとても楽しいですよ!
奈良時代、それも東北地方を舞台にした作品というのは
ただでさえ資料が少なく書くのが難しいはずです
しかし優れた筆力で
読者にそういったことを感じさせぬまま
作品の世界へ没入させることに成功しています
この時点で正直、本作に★★★以外をつけることは
あり得ないと思っていました
本作は歴史ものとしても充分楽しめるのですが
ジャンルとしては、やはり恋愛小説!
女性が苦手で
お見合いに身代わりを立ててしまった真比登、
しかしその相手である佐久良売のことを
本当に好きになってしまう
この時点でもう一筋縄でいかない!
複雑な恋愛模様が描かれます
怖い女と思われていた佐久良売の本当の心、
真比登の心の傷、周囲の人たちの優しさなど
細やかに描写されていき、
回を追うごとに面白くなっていきます
どのキャラクタも本当に魅力的で、
恋愛ものが好きな人はもちろん、歴史物が好きな人をも
唸らせる作品です
舞台は奈良時代。
蝦夷と戦い続ける軍監《ぐんげん》の真比登《まひと》が主人公です。
軍監とは、副将軍に次ぐ上の地位であり部隊の指揮官。
真比登は畏敬を込めて建怒朱雀《たけびすざく》と呼ばれるほど勇敢で、強い男です。
そんな真比登は御歳二十八歳なのですが、未婚であり女性経験も乏しいのは理由がありました。彼は過去の病が原因で疱瘡《もがさ》持ちなのです。
その真比登に是非ともと、良き縁談話が持ち上がったのですが、当の本人は断固拒否!彼は自分が疱瘡持ちだということをとても気にしています。
そして肝心の縁談相手もとびきりの美女!……なのですが、どうやら鬼より怖いと噂のようで……??
どうにかして縁談から逃げ出したい真比登は、自分の身代わりを立てるのですが…………。
おっと!ここから先はネタバレになりますね!
いかにもすぐにバレそうな替え玉作戦!なのですが、なかなかどうして面白い具合に話が進んでいきます。読者としてはハラハラドキドキしっぱなしです。
さてさて、こちらのお話は長編の恋愛小説ですので、章が続いています。
つまり章が進むにつれて、登場人物もたくさん!気になるキャラやついつい応援したくなるキャラも、必ず一人は見つかるはず!
と言うのも、それだけ一人一人にしっかりとしたストーリーがあり、人と人の繋がりが丁寧に描かれているのです。
それは男女の愛だったり、男同士の友情であったり、主従の絆であったり。どの登場人物にもついつい感情移入してしまうほど、みんな魅力的であると同時に、たくさんのドラマがあるのです。
レビューがあまり長くなるのも無粋というもの……。
ぜひ読んでみて、この素敵なお話に浸っていただきたいです。
あ!大事なことを忘れていました。なんと挿絵も付いているんです!豪華ですよね!!
あの、加須千花先生の作品ですよ?
何を躊躇う必要があるのです?
こんなものを読んでる暇があるなら、ほら、少し読んでみればいいじゃないですか!?
読めば解るし、読まないならこれを読んでも解らないでしょう。
だって、これはレビューであって、加須千花先生の作品じゃないんですから。
本物を以て本物を識るべし。
!
さあ、飛び込んでください。古代の風が貴方をうべなの世界へと誘ってくれるでしょう。
何故、うべなの世界と呼ばれるのか。
それは、貴方がこの作品を読了する頃、私が貴方に尋ねます。
「どうだった?面白かったでしょう?」
そうするとどうでしょう。あなたはきっと
「うべな、うべな!」
と言って返事をするからです。
奈良時代の多くの物語を描かれ続けている作者様。どの物語もそれぞれに素晴らしく、心打つものばかりです。
本作もそれに違わず、何人ものレビュアー様がその魅力を紹介されています。
正直、もう私が改めてオススメしなくても良いのかも…と思いましたが、私は別の部分を推したい!!
第一章である“真比登の章”は、コンプレックス持ちの真比登と、過去の出来事から男と恋愛を遠ざけてきた佐久良売のラブストーリー。
大筋は王道展開でありながら、笑いも涙も切なさもあり、読み応え十分。
しかし、しかーし!
私は第二章に当たる“古志加の章”を推したいのです!
なぜなら、真比登の章で見事ヒロインの魅力を披露した佐久良売が、ここに来て更に更に魅力を増していくからです。
回を重ねる毎に真比登との愛情を深め、さらに周りの人々の幸せを願って手を貸す彼女。
そのやり方も超格好良い!ただの姉御肌でも、お節介でもない。彼女にしかできない思い遣りと心の籠もった行い。
そんな大人の女性の一面を存分に見せたかと思えば、ちょっとしたことでヤキモチを焼いてみたりする可愛さも発揮!
困難の後に結ばれ「めでたしめでたし」の後、ヒロインが更に魅力的になっていく、そんな物語ありますか!?
何組もの男女の恋愛事情が描かれる第二章ですが、やっぱりヒロインは佐久良売。
彼女は唯一無二のヒロイン!
ぜひ読んでその魅力の虜になって頂きたいです。
オススメします!
奈良時代の戦場で無敵と呼ばれた男がいた。
戦では常勝無敗の彼だったが、アラサーで、ぶっちゃけ童貞だった。
とあるコンプレックスを引きずるせいで女というものが怖いのだ。
しかし、ある日、上司の命令でお見合いすることが決まってしまう。
その相手というのが、絶世の美女でありながら、数々の縁談において、見合い相手の男どもをケチョンケチョンに返り討ちにしたという、最恐の令嬢。
戦場では無敵でも、女が怖い彼にとって天敵とも呼べる相手。
そこで彼は怖すぎる縁談を回避するために、捨て身の奇策を思いつくが、それが思わぬ事態へ転がっていってしまう――。
奈良時代を舞台にした、恋愛物でございます。
というと、とっつきにくそうと感じるかもしれませんが、大丈夫。
歴史知識などは一切いりません。
軽い読み味で普通のライトノベルとして読めちゃう感じです。
最強だけど女にはへたれな武将
×
男たちから最恐と恐れながらも実は熱い乙女心を秘める令嬢
そんな二人の、恋物語は一筋縄じゃいきません。
彼の奇策が思わぬ事態を引き起こして、二人の関係をこじらせまくりつつも、キュンキュンしちゃうシチュエーションを作りだしちゃいます。
女が怖い最強武将が、彼女に恋をしてしまう心の変化。
そんな純朴すぎる彼に、最恐令嬢が少しずつ心を開いていく温かなストーリーをご堪能くださいませ。
武将と令嬢のダブル主人公となっておりますので、男性読者も女性読者も、両方楽しめるようになっております。
こんな方にオススメ。
:でこぼこミスマッチなカップルが、だんだん心を通わせていく恋愛物が好きな方
:じれったくも甘いシチュエーションに、キュンキュンしちゃいたい方
時は奈良時代。
真比登(まひと)は、戦えば最強の男だが、恋愛のほうはからっきしダメ。
彼には、あるコンプレックスがあるからです。
そんな彼に見合い話が。
しかも相手の女は、怖いと評判の豪族の女です。
彼はびびってしまい、代役をたてることにしますが、後でこれを後悔する羽目に。
純情で不器用な男と、怖さを鎧にしている優しい女との、恋物語。
戦闘シーンも圧巻で、思わずうなってしまいます。
作者さまのしっかりした知識で、奈良時代を満喫しながら、もどかしくも可愛いふたりの恋を、全力で応援したくなりますよ。
夢中になって読める、素晴らしい作品です。
私はすっかり、奈良時代言葉にハマってしまっています。
「この作品、みんな読みたいよね?!」
「諾(を)(はい)!」
「めっちゃ面白いと思うよね?!」
「うべなうべな(そうだ、そうだ)!」
読んでいて、すーっごく面白いです。楽しいです。奈良時代がクセになります。
舞台は奈良時代の戦場。
鬼神が如く強く、勇ましい主人公。しかし、こと恋愛に関しては身体にコンプレックスを抱え、気弱で臆病とギャップがあります。
そんなおとこの恋物語。
登場人物を通して、奈良時代の風土が分かりやすく、楽しく描写されていますので、こんな感じだったんだなぁと、日本の遠い昔に思いを馳せ、自然とお話の世界に誘ってもらえました。
「うべな、うべな。」
ヒロインのこころの内も言動も凄いのですが、これはとにかく読んで感じてください。
主人公とヒロインの出会いは、主人公のコンプレックスにより、初手で最低な手を打ってしまってますので、のちに発生する出来事、こころの内も波乱続きです。
ボクは読んでいて、ハラハラ、ゾクゾク、ワクワクと心を乱されっぱなしでした。
困難な恋、とっても楽しかったです。
書かれていない後日談を楽しみにしているのですが、ここまでの読後はとっても甘く、とっても幸せな気持ちに包まれて、ホント良かったなぁってこころから想いました。
是非、みなさんお読みになって、このしあわせな気持ち、共有して欲しいです。
何度でも言ってしまいます。とっても楽しいお話でした。
時は奈良時代。
戦では大活躍する一流の武人であるが、疱瘡持ちで過去女性に拒否され、恋愛に希望を持てないピュアボーイ真比登。
そんな彼に持ち上がった縁談相手は、美人ではあるが怖いと言われている豪族のお姫様、芯の通った格好いいヒロイン、佐久良売。
困り果てた真比登は教養のある部下を自分の身代わりに立ててしまいます。
真比登はその部下の振りをして佐久良売と出会い、な、なんと部下のふりをしたままであるにもかかわらず、お互いに惹かれあっていきます。医術の知識もある佐久良売は、病が治癒した後の疱瘡を恐れないのです。
もうこの段階で「くっついちゃえよ、でも嘘ついてるし! どうなっちゃうんだ!?」と、とんでもなく面白いのですが、彼らを取り巻く人間模様やさまざま起こる事件、それから何と言っても臨場感あふれ手に汗握る戦闘シーン。
圧巻です。
恋愛も、戦闘シーンも、それから人間模様も楽しめる素晴らしい作品です。
こんなすごいお話を無料で読んでいいのか? そう狼狽えることしかできません。
偽りの縁談がいかなる実を結ぶのか、ぜひ追いかけていただきたく!
古代、奈良時代のひとびとの暮らし、恋物語を中心としてとても素敵なおはなしを紡がれ続ける作者さま。
たぶん、その全部を拝読させていただいたと思っています。
その上で。
まいりました。
わたしはたしかに、こうした時代の息吹きのようなものが好きです。風景を置いていただけるだけで、当時の空気を感じるだけで、ぽろぽろ泣いてしまいます。
本作もそのつもりで読み始めさせていただきました。
そうしてもちろん、その要素はある。
美しい情景、当時の暮らしぶりの丁寧な描き出し。
あるいは、時代ならではの事柄、つまり身分制度なり戦争なり、あるいは疫病に対する脆弱なり、そういったこともしっかり物語を支える要素として組み込まれています。
だからわたしは、そこでもう、満足なのです。
なのに。
そんな予想を超えて、そんな期待を超えて。
表現がみつからない。
だから、不遜な言い方となります。ご容赦ください。
本作は、ほんもののエンターテイメントでした。
核は、ラブコメ。
強く、ときにおっかない、そうして凄まじいほどの美貌のヒロイン。かたや、とある事情から女性を苦手とする、最強のヒーロー。ファンタジーでひんぱんに登場する身代わり要素あり、片恋あり、両恋となってからのじれじれもあまあまも、もう、しっかりと。
加えて、戦闘描写がほんとうにわかりやすい本格的なアクションシーン、あるいはこれも時代ならではの先住民族とのかかわりも描写されます。登場人物どうしの、作者さま一流のコミカルなやりとりもあり、さらになんとも可愛い幕間のお手紙コーナーなどもあり、おまけにこのお手紙が……。
もう、なにをあげれば良いのか分かりません。
楽しくて、どきどきして、笑えて、泣けて、もうもう、最高で。
そうしてぜんぶが、ひとつの物語としてしっかり、収まってる。
なんだろ。
うーん。
あはは。
やっぱり、まいりましたとしか言いようがないのだ。
ああ、楽しかった!!
醜くて、
汚くて、
汗臭くて、
それゆえの猛々しさ。
怖くて、
強情で、
意地張りで、
だからこそはかない。
あらゆる障壁を打ち壊して、二人は運命の糸で結ばれていく。容姿も性格も、すべてのコンプレックスを乗り越えていく。
「醜くさ」が「美しさ」に変わる瞬間。
それは、「醜」こそが「美」の根源だったのだと気づく時です。
それはちょうど、かの有名なディズニー映画「美女と野獣」のよう。みなさん、あの映画を美しいと思いませんか。
この作品も、「醜」を愛しゆく非常に純真な物語なのです。その真の愛を、読者のみなさんにはとくと味わっていただきたい。
読み終えたあなたは、きっとこう言って感嘆のため息をもらすでしょう。
「うつくしェェェ……(*´Д`*)」
と。
この物語、ヒーローもヒロインも、いずれもとても力強く、そして真っ直ぐです!
加須千花ワールドの過去作品の印象だと、朴念仁であったり繊細すぎたり逆方向へ飛んで行ったり…などなど様々な愛の試練があり、不恰好な登場人物たちが運命に翻弄されながら赤い糸を手繰り寄せる、なんてヒーローとヒロインが多く、むしろサイドにいるキャラの方がすんなりと恋が成就して…なんて事があったりしてきたように思えます。
今回ももちろん、愛の試練もあり、すれ違いも多くありますが、ヒーロー、ヒロイン、二人とも、ストレートにいい男、いい女ですw ヒーローは物語史上、1番強そうな豪傑です。少なくとも戦う時の描写は圧巻のレベルです。そして心は、清水の如く清らかですw
二人は、いざとなったら直球を投げる事に躊躇いがありません。
ヒーローはちょっと引っ込みそうでしたが、パワフルなヒロインが力強く引っ張るので、引っ込む前に引き摺り出されます。
これが見事で、一緒に読者も引っ張られます。
こうしてグイグイと引き込んでくる純愛物語。
一読をお勧めします。
僕はこちらの物語を、「どうレビューしたらいいのか?」で悩みます。なぜなら、色々と素晴らしい点が多過ぎて、語るにおいて絞り切れないのです。素晴らしい物語です、やられました、こんちくしょう、ありがとうございます(笑)。
さて、僕は常日頃、恋や愛においては、現代も過去も差はない。人の想いがそう易々と変わる訳がない、と考えています。だから遥か古の万葉の歌を読んでも「わ、わかるぞぉおお!」と涙をこぼせます(笑)。さて、こちらの物語はそういう古の恋物語です。
僕は恋愛小説を考える時に、どんな「恋や愛の形」があるのかを意識します。別に特殊じゃなくてもいいんです。ややこしい設定とか特殊な家系とか、もしくはひと昔前のレデイコミみたいに無駄に濃ゆい人々とか、そんなの必要ないんです。
普通でいいんです。
ただね、その普通にも色々と理由があって、ちょっぴりしょげてたり、微妙に困難があったりとか、そういう「生きてるからこそ欠けちゃった部分」っていうのがすごく大事で、そこに「恋のきっかけ」があったりするんです。
こちらの物語は、そういう意味において「恐ろしく男女の造詣が深く、その恋愛においては、まさにこうでしかありえない!」という完璧で文句のつけようのない、そして心から祝福できる素敵な「恋の形」を見せて下さいました。
だから、僕は力を込めて、全力で言います!
「よかったぁよぉおおおおおおおおおおお! おいおいおい(涙)」( ;∀;)
もう、「うべな、うべな!」と僕は作中の言葉で祝福を贈ります(意味は読んで見て下さい)。
さぁ、気合を込めてお勧め致します!!
もらい泣きするくらいに感動しちゃう素敵な恋物語。でもね、それ以外にもバトル、ギャグ、スリル、サスペンス、えっ、そう来るか(内緒)、という様々な魅力がもうてんこ盛りで、「奥さん、ちょっとお得ですよぉおお!」と声をかけちゃうくらいです(笑)。それらについて全部書いてたら、ものすごい長さの迷惑レビューになっちゃいます。そんな驚異の傑作でありながら、しっかりと胸打つ素敵な恋物語です!!!
皆様、是非、是非、宜しくお願い致します( ;∀;)
大川さまのファンなのですが、これを読んで佐久良売のファンになってしまいました!
かっこいい強い女性、大好きです!!
奈良時代の世界観が見事に描かれています。
バトルあり、恋愛あり。素晴らしいエンターテイメント作品!
わたしはその中でも、さ寝のシーンがとてもよかったです。
うっとりですよー!! うっとり! さすが加須さんっ!
合間合間にはさまれている万葉集の和歌も効果的だし、
きちんと調べて考えての作品であることがよく分かります。
しかし、「土器土器日記」みたいなコミカルな内容もちゃんとはさまれていて。
「土器土器日記」がまた秀逸なんです!
これからも加須千佳さんの手による奈良時代の雰囲気たっぷりの話を読みたいです。
素晴らしい作家さんです!!
武力は誰にも負けないが疱瘡持ちであることで、どこまでも恋に臆病な真比登に縁談の話が……。
そのお相手は美しくも怖いと評判の豪族の娘。
だがその娘、佐久良売も相手に色々条件を付け、全く縁談に乗る気でない。
そんな縁談にこともあろうか真比登は身代わりを立ててしまいます。
さあ、この偽りの縁談がどう展開していくのか?
真比登、佐久良売、この二人を取り巻く人々の人間ドラマ、妖艶な恋愛ドラマが実に見ものです。
奈良時代の万葉集から広がる物語。
歴史ものに疎い私も気づけば夢中になるほど読みやすく、ドキドキワクワク感も盛り込まれ、スーっと物語に溶け込んでしまいます。
その抜群の構成力・文筆力に脱帽です。
作者様が描かれる手書きの挿絵が物語のイメージをさらに盛り上げてくれて挿絵を見るだけでもお得感があり最高です!
皆様にも是非読んで頂きたい最高傑作がここにあります!
是非、ご覧になって下さい。
私はすっかり魅了されハマってしまいました。
舞台は奈良時代。
ヒーロー(真比登)とヒロイン(佐久良売)は、男女関係において甘い夢など抱いておりません。
そんな二人、本当は縁談で結婚相手候補として出会うはずだったのですが、ややこしいことになってしまいます。
真比登は、自分が痘瘡持ちかつ教養がない(そして佐久良売は怖い女との噂がある)ことから、源という男に身代わりを頼んだのです。「身代わり縁談」で出会ったのですから、佐久良売は、真比登が元々の縁談相手であるとは知りません。それでも次第に惹かれあっていく二人。しかし、すれ違いと戦が二人の仲を引き裂こうとします……。
恋に夢を見ていないとはいえ、二人とも気弱な性格ではなく、強い意志を持っています。とくにヒロインは、周囲から「怖い」と言われてしまうような芯の強い女性。そんな彼女の心が徐々に解れ、恋する女性らしい可愛らしさや健気さを見せてくれた時、読者は悶えるはずです。
また、メインの二人だけでなく、脇を固めるキャラクター達もみんな人間らしくて魅力的!
「歴史もの? 難しそう〜」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、決してそんなことはありません。
いつの時代も根底は変わらない、人間ドラマとラブストーリーがここにあります。
軽やかに読めてかつ、時代特有の空気感を崩さない、絶妙な筆致も大変魅力的な本作。
ぜひ多くの方にお読みいただきたいです!