第7話 冷徹な敵

雷獣は突然の乱射に驚いて身をかがめた。

彼の頭上を銃弾がビュンビュン飛んでいく。

後鬼は素早く床に倒れている死体を数体抱えて盾にした。

銃弾の雨が雷獣たちの周りの床を打ち抜き、暗闇の中で火花を散らす。

後鬼の盾になった死体はすでに死んでいるというのに、さらにひどく引き裂かれていく。

もう、盾としての役目はしない。

花火の光のおかげで雷獣は周囲を見渡すことができた。

一瞬だが、雷獣の視界にやや大きな穴が見えた。

「あそこだ!穴がある。そこに入れ!」雷獣は稲妻のような速さで後鬼にタックルして穴に飛び込んだ。

その直後、穴の縁に無数の銃弾が命中した。


雷獣たちが穴に落ちていくのを、ロボットたちは冷静に観察していた。

彼らは今までの戦闘のデータを高速で分析している。

雷獣の反応速度、後鬼のパワー、彼らの状況判断など、すべてを計測中。

彼らは恐ろしい速さで学習している。

分析が終わった。

その時間はわずか30秒。

ロボットたちは動き出した。

彼らは穴の中に潜む雷獣たちを仕留める動きだ。


雷獣たちは穴の底に向かって落下した。

その時、「こっちだ!」という声が聞こえる。

それはイズナの声だ。

「イズナ!生きていたのか!」雷獣は驚いて叫ぶ。

「話している暇はない!さあ、早く来るんだ!」イズナは走り出しながら言った。

とにかく雷獣と後鬼はイズナの後を追う。

穴は潜水艦の真下まで伸びている。

穴と思っていたものは潜水艦の下に通じる通路だったのだ。

おかげで穴の底で銃弾を浴びることは免れた。

しかし、それも時間の問題かもしれない。

ロボットたちはすぐに気づいて追ってくるだろう。


後鬼は前鬼からの念を感じた。

「くそっ!こいつら何者だよ。」前鬼の声が後鬼の頭に響く。

「大丈夫!?こっちはからくりどもに襲われてるの。助けて!」後鬼は念で返す。

「無理だ!こっちは天狗みたいな奴らだ。でも・・・だめだ、攻撃が激しすぎる。術が一つも効かないんだ!まずいぞ・・・やめろ!やめてくれああああ・・・」前鬼からの念が途切れた。

「前鬼!!」後鬼が叫んだ。

同時に、背後からドン・ドンと重い物体が落ちてくる音がした。

来た!

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