第2話 4つの影
雪原には丘が連なり、その白さは目を眩ませた。
丘の斜面には枯れ木が点在し、荒涼とした風景を作り出していた。
空気は冷たく、息は白く、肌は刺すように痛む。
これがR国。
人里離れたこの地の道もない雪の中を4つの影が高速で駆け抜けていた。
雪の中を突き進む4つの影は、人間でも動物でもなかった。
もちろん、車やスノーモービルなどの乗り物でもない。
彼らは日本の伝承に残る妖怪達であった。
雷鳴を轟かせる雷獣。
風を操るイズナ。
不思議な術を使う前鬼と後鬼。
「本当にこっちで良いんだろうな。」雷獣は前鬼の横に並んで走りながら呟いた。
彼らはもう4日も雪原を駆け続けていたが、目的地の気配はなかった。
「もう4日も走り続けているぞ!」イズナは後方から不満そうに声を上げた。
「間違いない!」前鬼は断言した。
「あの丘を越えると建物が見えるはずだ!」彼は自信に満ちていた。
雷獣は前方の丘をじっと見つめた。
一行は丘の頂に迫っていた。
その丘の向こうに目的の軍事施設があった。
雷獣は息を吸い込んだ。
目の前に広がる軍事施設の壮観さに圧倒された。
平坦な広い原野の中心に、雪に覆われた数多くの建物が密集している。
それぞれの建物は高さや形が異なり、さながら見捨てられた都市のように見えた。
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