第9話 新たなる影

激しい銃弾の飛び散る中、後鬼・イズナ・雷獣は魚雷発射管のなかに潜り込んだ。

ギリギリだった。

雷獣は息を止めて外を見た。

通ってきた通路から白いロボットたちが迫ってきている。

2体のロボットの背中から何かが飛び出した。

大きな筒だ。

それは対戦車用のジャベリンを改良したミサイル。

破壊力も格段と上がっている。

何だかわからないけど「やばい!」雷獣は思わず叫ぶ。

ミサイルが2つ発射された。

ミサイルはダイレクトアタックモードでこちらにまっすぐ向かってくる。

逃げる時間はない。

雷獣は体にためてあった稲妻を放出させる。

もちろん、狙いはまっすぐに向かってくるミサイルだ。

「当たれ!」雷獣は心の中で祈る。

彼は自分の命を賭けて稲妻を放った。

しかし、残念ながら外れた。

稲妻はミサイルの側面をとらえただけ。

「くそっ!」雷獣は舌打ちした。


奇跡が起こった。

ミサイルは自動追尾システムが作動していなかった。

ミサイルは軌道を外れる。

「え?」雷獣は目を見張る。

ミサイルは潜水艦の横を通り過ぎ、潜水艦の全法にある厚い擁壁に命中した。

「バン!」「ドン!」大きな爆発音が同時に響く。


その瞬間、倉庫全体が轟音と衝撃波で大きく揺れた。

爆風が通路全体を吹き抜ける。

前方近くで待ち伏せしていたロボット達が吹き飛ぶ。

雷獣達の入った魚雷発射管も爆風の影響で隙間が閉まった。

「無事か、雷獣!」後鬼が声を張り上げた。

「まだ終わってないよ!」


一瞬、倉庫全体が静けさを取り戻す。

しかし、その静けさは長くは続かなかった。

バリバリバリ・・・何かが壊れていくような音がする。

その音は次第に大きくなっていく。

「何だ?」雷獣が不安げに言った。

「壁だ!」イズナが答えた。

「外の壁が崩れていく音がするよ!」後鬼が補足した。

擁壁の後ろにある水は自由を取り戻した。

一気に水は擁壁を破り、倉庫へと流れ込む。


水が倉庫内に轟音を立てて侵入してくる。

水は通路全体を埋め尽くし、ロボットたちの脚をとらえた。

ロボットたちは抵抗することもできず、水の流れに逆らうこともできなかった。

水はロボットたちの体を通路の壁や潜水艦などに強く打ちつける。

金属が金属にぶつかる音が響いた。

ロボットたちの体はひずんだり、壊れたり、砕けたりした。

さすがに最新式の戦闘ロボットでもこの水の勢いには勝てない。

機能不能となるロボットが多発していく。


その様子をじっと観察する別の部隊がいた。

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