第11話 天狐似の子狐
雷獣たちの警戒しながら近づく。
天狐に似た子狐は、眠りから覚めた。
目を開けると、目の前には巨大な獣たちが迫っている。
恐怖に震えながら、子狐は最大級に威嚇した。
「〇■※▽⇒!!!!」
しかし、雷獣たちはその子束が分からない。
子狐は立ち上がって、必死に身を守ろうとするが、その姿はやせ細っており、栄養失調で力もない。立っていられるだけでも奇跡と言えるほどだ。
「おい、待てよ。」
そのとき、イズナが口を開いた。
しかし、子狐は理解できていない。
「◎▲◇×☆~!!!」
「ああ、なんだお前たちは!的なこと言ってるみたいですね。」
そう言ったのは、傍らに倒れていたもう一人の人間だった。
人間はゆっくりした動作で胡坐をかいた。
イズナは、その人間に睨みつけた。
金髪を後ろで束ねた人間は、声が低くて落ち着いていた。
恐らく男だろう。
細身のダークネイビーのスーツに身を包み、手入れの行き届いたビジネスシューズを履いていている。
妖怪にとっては窮屈そうな服装だが、彼はそれを上品に着こなしていた。
彼の洒落ッ毛がある雰囲気は、妖怪でも一目で分かるほどだった。
イズナがもっとも嫌うタイプである。
「お前、何者だ。」
イズナの声には怒りと警戒が混じっていた。返答次第ではその男を殺すつもりだろう。
「それは、このおチビさんに言っているのですか?それとも私でしょうか?」
男は丁寧な言葉使いで答えたが、その表情はどこか抜けていた。
男性の目は細くて鋭い。
瞳は深い闇に隠れていて、何を考えているのか分からない。
顔色は青白くて、生気がない。
病気なのか?それとも何かに怯えている様子ではない。
男性の唇は薄くて冷たそうだ。口角はわずかに上がっているが、取り繕うための作り笑いではない。
彼は自分がどんな危機に陥っているのか、わかっていなかったのだろうか?
子狐は悲鳴にも似た声で叫んだ。
「🌀☆彡☝☽◆!!!」
その言葉は、雷獣たちにはまったく意味が分からない。
しかし、男は違っていた。
彼は子狐の言葉を理解できるらしい。
「何がどうなってる?って感じのこと言ってますね。」
男は笑いながら言った。
緊張感のない態度に、イズナは怒りを隠せなかった。
「それはこっちが聞きたい!」
イズナは男に詰め寄ろうとしたが、後鬼に制止された。
後鬼はイズナよりも冷静だった。
「あなたはその子狐の言葉が分かるのかい?」
後鬼は男に尋ねた。
雷獣も、それが気になるところだった。
「だいぶ特殊な方言ですが、7割程度なら理解できると思ってますよ。」
男は飄々と答えた。
やはり自分がどんな危険な状況にあるのか、まるで気づいていない。
「では、この子狐はあなたの言葉を理解できるの?」
後鬼はさらに聞いた。
もしかしたら、天狐と子狐が何か関係があるのかもしれないと考えたからだ。
「まあ、全部は無理でしょうけど、半分は分かるみたいですね。」
男はそう言って、子狐に微笑んだ。
子狐は警戒しながら妖怪たちと男を交互に見た。
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