神なき楽園宣言／いずれ世界を導く英雄は、名家から追放された出来損ないの修道女であり

少女は何一つとして価値のない、無能だった。

人類は常に悪魔と戦っていた。悪魔を狩るために科学技術は発展し、やがて奇跡のような現象や亜人を作り出すに至る。
王族を支える四公家の一つ、吸血鬼の一族に生まれた少女は、無能だった。真祖に瓜二つの外見でありながら、吸血鬼としての能力を持たず、肉体も現行人類より遙かに劣る、無価値な先祖還り。

生まれながらに失望を受けた少女は修道院に送られて、一生を隠れて過ごす――はずだった。
代償を払い、死に物狂いの努力の果てに悪魔狩りの狩人となった少女は、幼馴染の第三王女、譲葉の供として狩人養成機関である女学院に入学する。
目的は交流試合。大きな注目を集める公の場で、天才と称される兄を打ち倒すこと。

少女は自らを無能と断じた世界へ抗うために、王女と共に禁忌を犯し…続きを読む