第3話 生き残る為に

気付くと、そこは水の中。


ゴボゴボゴボゴボ


息ができない。人間か?虫か?動物か?一体何の生命体に、私は生まれ変わったのだ?


そう思い、何とか体を動かし、頭を水の中から出した。


はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!


窒息で死ぬところだったのか?いや、違う。


顔が浅い水溜まりの中だった。


頭の後ろから大量の血が流れていることに気付いた。


後ろから後頭部を切られたのか。これが致命傷になったんだな。後ろから切られ、押し倒され、そして水の中へ。そして、痛みのため気絶。そんなところか。


闘気が使えるかを確認すると、以前の闘気には比べ物にならない程、微量であるが、使える。この体に備わる闘気を使うしかない。


そう思い、闘気を後頭部に集中させ、止血と治療を行う。これで死ぬことはないだろう。


グルルルルルルッ!!!


後方に何か音がする?何だ?


振り返ると、そこには全長2メートルもあろう狼が、後方で唸っていた。見ると、前右足の手の部分が血で真っ赤になっている。


コイツにやられたのか!!??


そう思うのも束の間、狼が私に向かって襲いかかってきた。


マズイ!このままでは殺られる!


自分の体には、2本の手があり、2本の足がある。首がある。頭がある。


良かった!!人間か!!


なら、このような獣の特性を考えるなら、次の行動は十分に予想できる。つまり、一撃で致命傷となる部分を攻撃することだ。


攻撃手段は牙。

狙うは。。。


「首だろーー!!!!!」


一瞬で距離を詰め、私の首部位を噛みちぎろう大きく跳躍してきた狼の下へ、自分の体を滑り込ませ、右手に体内に残存する全ての闘気を集中させ、攻撃対象を見失った無防備な狼の下から、心臓部位を狙って打撃を放った。


ドン!!バキッ!!


肋骨が折れた。右手を滑り込ませ、心臓を掴み取る。


これで死なないなら、私の負けだな。


そう心の中で思い、思い切り狼の心臓を握り潰した。


血が噴き出て、私の体は全身血みどろになる。狼の体が上空から落ちてくる。2メートルの巨体が降ってくるのだ。これはこれで大きなダメージとなるだろう。


闘気を使い尽くした為に意識が朦朧としていく。それに加えて、落ちてきた狼の巨体の衝撃で、私は気絶した。

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