概要
戦前に来日した若き修道女の一生
戦前に来訪した若き修道女が見た東アジアの小さな国は、日本だった。修道院は、抑留所となり、敵国の民間人との暮らしが始まる。戦後、平和の代償としての極度の窮乏の中、闇市をさ迷う。南方から復員した衛生兵上がりの偽医者と広島、長崎そして知覧特攻基地まで鎮魂の旅を続ける。ヒロシマガールズに心を痛め、長崎では、民衆法廷で、米国の責任を問う。長崎の被爆の二重構造。広島の悲しみ。
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- ★★★ Excellent!!!終戦直後の日本を巡る珍道中
衛生兵のくせに医者のふりをしている図太い帰還兵と、看護婦の資格を持って戦前から来日していた修道女がともに、終戦直後の日本を旅する物語。
偽医者の名は湯田。
修道女の名はマルグリット。
著者の「三人の仔」の主要人物と、この名が被るのだ。
何か関連があるのかと想い、何度か両作品を往復したのだが、それぞれが独立した作品だと想って読んだほうが適当なようだ。
外科手術まで見様見真似でやってしまう湯田と、この人は本当は医者ではないのではないか? と訝りつつも、戦地帰りの湯田よりも想い切りのいいところのあるマルグリット。修道女の方が湯田よりも少し年上だ。
彼らは、福島で出逢い、そこから西へ…続きを読む