第13話 暴露


【サイド:小坂龍】


 うーん。

 なんだんか寝苦しかったな。

 変な物音がしていた。

 俺は起きて、ベッドから立ち上がる。


 そして、部屋の違和感に気づいた。


「はぁ……!? なんだこれ……!?」


 なんと、俺のパソコンが水没している。

 なぜか、ペットボトルからお茶がパソコンにぶちまけられている。

 意味が分からん……。


 俺の50万もする、配信用のゲーミングPCが……。

 くそ、これじゃ今日は配信できねえじゃねえか。

 しかも、なんか寝苦しいと思ったら、冷房も切れていやがる。

 俺の部屋はあついから、寝るときも冷房はつけっぱなしなのに。

 なんでこんなことに……。


 もしかして……空き巣?

 いや、空き巣って、俺は寝てただけだから空き巣じゃないよな。

 泥棒って……でもなにもとられてなさそうだ。

 どういうことなんだよ……っち。

 意味わかんねえ。

 なにもとらずに、俺に嫌がらせだけしていったってことか?

 どんなやつだよ……。

 俺になんか恨みでもあんのかよ。


 もしかして俺のアンチか?

 まあいいや。

 うぜえし、むしゃくしゃするから、酒でも飲むか。

 俺は冷蔵庫を開ける。


「なんだこれ……!?」


 なんと、冷蔵庫はまったく冷えていなかった。

 コンセントを見ると、コンセントが抜かれていた。


「あ…………!」


 これも泥棒の仕業か?

 どんなちっちぇえ嫌がらせなんだよ。

 マジで犯人の性格悪いな……。


 くそ……冷蔵庫の中のもんが全部腐っていやがる。

 しかも、キンキンに冷えたビールがほしかったのに、ぬるい……。

 くそ、うぜえわマジで。

 う……なんかお腹いたいわ。

 クソでもするか。

 俺はトイレに向かう。


 すると、トイレの便座は、トイレットペーパーで詰まっていた。


「んな……!? なんだよこれ……!」


 くそが……!これじゃあうんこできねえじゃねえか……!

 俺はいそいでコンビニまでダッシュした。

 コンビニでトイレを借りて、家に戻ってくる。


「マジで……散々な目にあったぜ」


 まずはトイレを直さないと。

 水道業者を呼ぼうか。

 俺はスマホに手を伸ばす


 すると、そこで俺のLINEにメッセージがきていることがわかった。

 なんだ……?

 メッセージは、俺のマネージャーからだった。


【至急! この動画みてください。これは本当ですか?】


「は……? 動画……?」


【今すごい炎上しています! なんとかこちらで対応しますが……最悪の場合も覚悟しておいてくださいね】


「は……? 炎上……?」


 おいおいどういうことだよ。

 なんで俺が炎上なんかしなきゃいけない?

 俺はなにもやってないのに。

 とにかく、その動画とやらを見てみるか。


 俺は動画を再生した。

 動画は、暴露屋チャンネルと書いてあった。


【人気ダンチューバーの裏の顔晒す】


 というタイトルの動画だ。

 再生すると、おかしな仮面の男が出てきた。

 男はなにやら変声機で声を変えているようで、マスコットキャラのような甲高い声だ。


【はいどうもー暴露屋チャンネルです】


「なんだこいつ……?」


【今日はですねぇ。今人気のダンチューバーである、小坂龍くんのことを暴露するよ!】


「はぁ……? 勝手に言ってろ。俺にはなんもねえよ……w」


 くだらない動画だな。


【なんと小坂龍くんはねぇ、ファンのJKに手を出しているよ! ひどいねぇ。最低だねぇ】


「あん……!?」


 っく……たしかに、それは事実だ……。

 だがなんでこいつがそれを知っている。

 いや……ちょっと待てよ。

 別にそれが事実でも、証拠がないじゃないか。

 こいつが勝手に言ってるだけだ。

 誰が信じるんだよこんなのw


 反対に、こっちが名誉棄損で訴えてやるっつーの。


【もちろん証拠もあるよ!】


「嘘つけ。どこにあんだよw」


【じゃーん! こちら、小坂くんのLINEのスクショだよ!】


「はぁ…………!?!??!?!!」


 画面には、たしかに俺のLINEの画面らしきものが映されていた。


================

【今度はめどり撮らせてw】

【えー、やだ】

【じゃあ、今オナ画像送ってよwみたいなw】

【もーしょうがないなぁ】

================


「いやいや待てよ……なんでこいつがそんな画像持ってんだよ……! くそ……!」


 だが待てよ、これがなんで俺のLINEだってことになんだよ。

 それも証拠がないじゃないか。

 こんな画像、いくらでも捏造できる。


【もちろん捏造じゃないよ? これはちゃんと小坂くんのスマホだよ? 証拠? 見せるね? はい】


 次に映し出されたのは、俺の寝顔だった。

 俺の寝顔の横に、先ほどのメッセージが映し出されたスマホが置いてある。

 いつのまに……誰がこんな写真を……!?

 あ……!

 もしかして、泥棒に入ったのは、こいつの仕業か……!?

 くそ……!

 意味わかんねえよ!

 どうやって入ったんだよ……!

 くそ……!


 待て待て待て。

 なんでこんなことを……?

 こいつ、俺を破滅させる気なのか……?


【まだまだあるよ!】


 あってたまるか。

 おいおい……もう勘弁してくれよ……。


【さらにね、小坂くんは女優の宝生恵と不倫しちゃってまーすwwwww】


「はぁ…………!!??!?!?」


 くそ……それはさすがにまずいだろ……。

 やめてくれ……やめてくれ……ぇええええ!!!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る