第9話 未遂


 来栖瑠璃とのデートまでには、まだ数日の時間があった。

 さて、この間に、さらなる五味の悪行をカメラに収めておくとしようか。

 俺は五味のことをストーカーすることにした。

 透明化スキルで透明になり、五味のあとをつける。


 せっかくの透明化だから、しょうもない、ちょっとしたいたずらもしてやった。

 例えば、五味の飲んでいるコップをわざと五味に向かって倒すなど。


 ――バシャ!


 スタバで悠々自適にくつろいでいる五味。

 俺はそこに、コーヒーをぶっかける。


「くそ……!? なんでだ……!? なんでこぼれたんだよ……くそ! 俺の白いシャツが……!」


 ぎゃはははははは!

 気味がいいぜ。

 それから、歩いている五味の脚をひっかけてやったりした。


「うおっと……!? いてて……俺様がなにもないところでこけるなんて……。くそ……! 死ね……!」


 マジでバカバカしいけど、すっきりするなぁ。

 五味はちょっとしたことの積み重ねで、ものすごいストレスをため込んでいた。

 他にも、五味の財布をこっそり抜き取って、捨ててやった。


 そしたら、面白いことになった。

 五味は、スーパーに買い物に来ていた。

 そこで、財布がないことに気づいた。


「くそ……どうしようか……まあいいぜ。久しぶりだが、やるか……」


 そう、俺は五味のステータスを見て、こいつに万引きの癖があることを知っていた。

 だから、俺はカメラを回した。


 やるぞ……そらやった……!


 なんと五味は、俺の期待通り、万引きしやがったのだ。

 しかもかなり手慣れているようで、なかなかに巧妙だ。

 凄腕の万引きGメンでも、これは捕まえることは難しいだろう。


 だ・け・ど。

 俺はきちんとカメラにおさめましたからね~?wwwww

 この映像があとあと効いてくるんだな。


 五味が有名人になってから、この動画を公開したらどうなると思う?

 そりゃあ、大炎上して、大バッシングだ。

 そしてこいつは社会的に死ぬ。

 いい映像がとれたぜ。


 それから、五味をつけねらっているとあることがわかった。

 五味は、定期的に春香と性交をしているようだ。

 俺は、それもばっちり証拠としてとっておくことにした。

 五味と春香がやっているところを、カメラでばっちり抑える。


「あん……! あん……! 五味くん……!」

「オラ……! ユランより俺がいいって言え! 俺を選べ!」

「五味君がいいの……! ユランなんかより……! 五味君!」


 くそ……反吐が出る光景だぜ。

 信じていた彼女が寝取られている光景。

 それを俺はカメラに収める。

 本当は見たくもない光景だ。

 だが、これも復讐に必要なことなのだ。

 こいつらの浮気の証拠になるからな。


 今となっては、春香のことはどうでもいい。

 こんなビッチ、なんとも思わない。

 だけど、それでも一度は愛した女性だ。

 そんな春香が抱かれている光景は、見るに堪えなかった。

 だが、これも復讐のために、しっかりとカメラと目に焼き付ける。

 この恨みを忘れないために……!


 この動画も、最大限ダメージを与えれる状況になったら、そこでお披露目するぜ。

 それまでは、まだ力を蓄えるターンだ。


 そして五味は、春香と浮気をしながらも、馬場と付き合っている。

 馬場は五味のことを崇拝しているようで、いいなりだ。

 馬場は五味が春香とも寝ていることを公認しているようだ。

 まったく、春香も馬場も、こんな男のどこがいいのか……。


 それから、五味はステータスにもあったとおりの、異常性欲者だ。

 春香と馬場を抱くだけでは飽き足りず、日々の自慰行為も欠かさない。

 マジでいかれてやがる……。

 そして、こいつはその異常すぎる性欲のあまり、数々の犯罪行為にも手を染めている。


 こいつはネットで、幼女もののパンツを購入していた。

 そしてそれを、●慰行為に使う。

 マジで気持ち悪い。

 だが、俺はその様子もしっかりとカメラに収めた。

 気持ちの悪いこいつの醜態を、カメラに収める。

 これも、いずれ必要になるときがくるだろう。


 それから、こいつには、春香と馬場以外に、意中の女性がいた。

 五味の勤務先の先輩で、古川という女性だ。

 五味はずっと、古川にアタックしていた。

 だが、古川には彼氏がいて、振り向いてもらえないみたいだった。


 それどころか、若干古川に嫌われているみたいだった。

 あまりにもしつこいからな……。


 だが、五味は異常な性欲と執着心で、古川のことをあきらめない。

 なんと五味は、古川の留守中に、古川の家に忍び込んでいやがったのだ。

 五味は勝手に合鍵をつくり、古川の家に忍び込んでいた。

 そして古川の家で、古川の下着をつかって●慰行為。

 まったく、最低な野郎だ。

 しかし、俺はそのようすもしっかりとカメラにおさめる。

 やつの犯罪のようすは、ばっちりだ。


 そしてある日、五味はついに、ことに及んだ。

 古川のあとをつけねらい、古川のことを押し倒した。

 路地裏で、古川のことを押し倒して、今にもレ●プしようとしている。

 さすがに、これは止めるしかないな……。


 俺はカメラを回しながらも、五味のことを止めにはいった。

 透明なまま、五味を蹴り飛ばす。


「ぐお……!? な、なんだ……!? またかよクソ……! また透明なやつだ……!」


 俺は五味のことを、そのまま殴りまくった。

 路地裏だし、誰も見てないからいいだろう。

 ――バキ! ドゴォ!

 そのあいだに、古川は逃げていった。

 五味はマスクをかぶっていたから、古川は犯人が五味だとは気づいていないだろう。


 古川は警察を呼んだかな。

 だが、俺としてはまだここで五味がつかまってもらっては困るんでな。

 俺は五味を解放してやった。

 するとパトカーのサイレンがきこえてきて、五味は逃げていった。


「くそ……あとちょっとだったのに……」


 俺は、五味がレ●プに及ぼうとした一部始終を、カメラに収めた。

 これも、あとで使える映像だ。

 もしも五味が有名人になったあとに、この動画を晒したら、どうなるだろうか……?

 彼は大炎上し、社会的に死ぬ。

 そのときが楽しみだ……!

 くっくっく。

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