第14話 炎上


【サイド:小坂龍】



【さらにね、小坂くんは女優の宝生恵と不倫しちゃってまーすwwwww】


「はぁ…………!!??!?!?」


 それだけはまずい……。

 有名女優と下衆不倫とかなったら、ニュースになっちまう。

 そんなの、俺が社会的に死ぬ!

 しかも宝生は最近結婚したばかりで、おしどり夫婦として有名だ。

 これはただじゃ済まないぞ……。


【しかもこんなLINEしちゃってまーすwwww】


=============

【おい、オナ動画送れよ】

【えーやだ、今夫いるから】

【じゃあ罰ゲーム。今度やるとき、けつあな確定な】

【えーw】

=============


「あああああああああああああああ!!!!」


【けつあな確定は草】


「くそ!くそ!クソ! 消せ!」


【しかもしかも! まだまだあるよ! 今度は有名人気ダンチューバーの、渚カレンとのDMです】


「はぁ……!? それもかよ!」


==================

【私、できちゃったみたい……】

【は?降ろして】

【え……無理】

【は?ブロックするわ、じゃあな】

==================


【いやあ……最低だね。すがすがしいまでのクズ男だねぇ。みんなもそう思うでしょ? ねえ?】


「なんだこいつ……なんなんだよぉ……!」


【まだまだあるよぉ……!】


「まだあんのかよ……!」


【なんと小坂くんは、違法ダウンロードの常習犯でーすwwww】


「はぁ……!? それもかよ……!?」


 そして画面には、俺のパソコンの画面が映し出される。


【うーん、AVも違法ダウンロードしちゃってるねぇ。これはいけないねぇ。我慢できなかったのかな? うわ……しかもこんな変態なAVか……。きもいねぇ……】


「う……くそ……」


【ゲームも割っちゃってるねぇ。そっかぁ、ゲーム実況してたレトロゲームは買ったものじゃなかったのかぁ。これはファンへの裏切りだねぇ。残念だなぁ】


「ほざけ……くそやろうが……!」


 もう見てられねえ……!

 俺は動画をストップした。

 くそ……どうなってんだ。

 もうなにがなんだかわからねえ。

 そういえば、マネージャーは俺がこの動画で炎上してるとか言ってたな。


 おいおい……マジかよ……。

 例の動画を見ると、なんと再生数が100万を超えている。

 しかもチャンネル登録者も一気に10万だ。

 くそ……なんだってんだよ。

 俺の本性が、世間にばらまかれている……。


 俺は自分のことを、Twitterでエゴサした。



===================


 ・小坂龍マジで死んだほうがいい

 ・小坂好きだったのに、クソだな

 ・JK食うのはクソ

 ・ふつうに犯罪じゃん

 ・コイツマジで死ね

 ・小坂死ね

 ・小坂は去勢しろ

 ・けつあな確定なは草wこれはトレンド入りするw

 ・宝生恵好きだったのに……がっかりだ

 ・宝生こんなことしておきながら夫婦のことネタにしてたのかよサイコパスだろ

 ・宝生はマジで死ね

 ・宝生、ダンナかわいそうだな

 ・宝生って仲良し夫婦で売ってたんじゃないのかよ。嘘つき

 ・こいつのDM全部きもすぎだろ

 ・なんでこんなゴミがモテるんだ?

 ・女に動画送らせるとかキショ

 ・楓カレン妊娠させるとかやばい……

 ・楓カレンもゴミだな

 ・楓カレンアイドル売りしてたのにw

 ・やっぱダンチューバーとかろくなやついねえ。みんな裏ではやりまくってんだろ

 ・ファンに手だすとかありえねえしかもJK

 ・違法ダウンロードとかヤバすぎだろ

 ・しかも割ってたAVのタイトルwwww

 ・もう社会に顔向けできないねぇwwwww

 ・気持ち悪い

 ・死ねば良いくらいのクズ

 ・本当に申し訳ないけど今すぐ死ねと思う

 ・女のほうも顔も性格もブスだし頭も悪くてステータス的には釣り合ってるねw

 ・不倫してるやつ全員死ね!

 ・ファンだったのに、裏切られた

 ・ゲームくらい買えよ小学生かよ

 ・こいつ金もってんだろ

 ・謝罪してください

 ・謝れカス、そして死ね

 ・自殺しろ

 ・首吊れ、ゴミ


===================



「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 とにかく、俺は自分に向けられた悪意の濁流に、飲み込まれそうになった。

 今まで、俺はネットでちやほやされてきた。

 こんな目にはあったことがない。

 日本中が敵に見えてきた。

 世間が、俺を追い詰めてくる。

 なんでこうなった……?

 俺はなにも悪いことしてないのに……!


 もはや炎上は収まることがないくらい広がっていた。

 自分に向けられた悪意の多さに、吐き気までしてくる


「おえ…………」


 やばいやばいやばいやばい。

 俺はもうおわりなのか……?

 今までダンチューバーとして活動して、積み上げてきたものは……?

 くそ……! 俺がなにしたってんだよ。

 許せねぇ……!


「暴露屋ぁ…………!!!!」


 そうだよ、俺は被害者なんだ。

 俺は泥棒に入られて、はめられたんだよ。

 くそが……!

 俺はいますぐに警察を呼んだ。

 泥棒に入ったなら、あいつの指紋もあるはずだ。

 暴露屋、破滅するのはお前だ。逮捕してやる。

 俺一人では沈まないぞ!お前も道連れだぁ…………!!


「もしもし! 警察ですか!!? 俺はあの……小坂龍っていいます。泥棒に入られて! 俺はなにもやってないんです! 信じてください! はめられたんだ。炎上してるけど、俺は悪くないんだ!」

「小坂さん……落ち着いてください。泥棒ですね? とにかく、現場にいきます。まっててください」


 しばらくして、警察が家にやってきた。

 ドンドン。扉を叩く。

 俺は警察を家に招き入れる。


「よかった……泥棒なんです。捕まえてください!」

「ああ、それはわかりました……。ですがその前に」

「え……? なんですか……?」

「ベランダを見せてください」

「は……? 別にいいけど……」


 警察はベランダに向かっていった。


「小坂さん……これはなんですか……?」


 警察はなにやら植物を持って現れた。だが、そんなものに身に覚えはない。

 俺はベランダに植物なんか置いた覚えはないぞ。


「なにって……しらないですけど」

「とぼけるな! 大麻取締法違反で逮捕する!」

「は……!? え…………!?」


 よくみると、それは大麻だった。

 意味が分からない。

 なんで俺のベランダに大麻が……。

 そうか……考えうるのは一つ。

 あの暴露屋が、去り際に置いていったんだ。


「ちがう……! 俺じゃない……! これもはめられたんだ……!」

「話は署できこうか」


 そして、もう一人の警察が、俺の部屋をなにやら物色しはじめた。

 そして、俺の御仕入れから、なにかをとりだした。


「これは……なんだこの体操服は! 近隣の学校から、体操服が盗まれたと通報があった……! 逮捕する!」

「な……!? そんなの知らない……! 俺じゃないんだああああ! 信じてくれえええええ!」


 俺は、警察に取り押さえられて逮捕されてしまった。

 くそ……理不尽だ。

 俺ははめられたんだ。

 あの暴露屋に……!




=================

《あとがき》


もし面白いと思っていただければ、★レビュー評価いただけるとありがたいです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る