第11話 ホテル
ホテルに向かう途中、柄の悪い男たちとすれ違う。
男たちは、瑠璃のことを見ると、話しかけてきた。
「ねえねえ、お姉さん俺たちと遊ばない?」
「あ、あの……困ります……」
こいつら……俺が横にいるというのに、いい度胸だな。
俺のことなんか眼中にないということか?
「なあおい、彼女は俺がデート中なんだ。邪魔をしないでくれないか?」
俺は堂々と、彼らの前に立ちはだかる。
「なんだてめえ、ひょろい雑魚のくせに。ぜんぜん釣り合ってねえんだよ。その女をよこせ!」
「は……? 失せろ」
彼らは、容赦なく俺に殴りかかってきた。
さて、万能鑑定でいろいろ調べて追い返してもいいが……。
今回は、向こうも力ずくできてるわけだし、こちらも力で返すとするかな。
瑠璃は強い男が好みだと書いてあったな。
ここは瑠璃に、俺の強さをアピールすることもできる。
俺がこいつらより強い男だと、わからせてやろう。
「死ねえええええ!」
男たちは俺に殴りかかってきた。
だが――。
「スピードアップ……! 腕力強化」
俺は、ダンジョンでモンスターから手に入れたスキルを使用する。
そして、男たちのパンチをよけ、反撃する。
――ドゴ!――バキ!
「ぐわ……!?」
「なんだこいつ……!? 強いぞ……!?」
俺は一瞬のうちに、男たちをぼこぼこにした。
「くそ……逃げろ……!」
「ふん……他愛もないな」
男たちは向こうから喧嘩を売ってきたくせに、情けなく逃げていった。
瑠璃は怖かったのだろう、俺の手を握り、震えていた。
「あの……ありがとうございます。ユランさん。怖かったです……」
「なに、女性を守るのは当然のことだ」
俺たちはそのまま、さらに身体を密着させると、ホテルまでラブラブで歩いていった。
◆
俺は瑠璃とホテルにやってきた。
ホテルの部屋に入り、俺は瑠璃をベッドに押し倒す。
「やさしく……してくださいね……? 私、はじめてなんです……」
「ああ、もちろんだ。やさしくするよ……。それと……実は俺もはじめてだ」
「そうなんですか……うれしい。私、ユランさんと一緒にはじめてを迎えられて、とってもうれしいです。ひとつに、なりましょう?」
「ああ……瑠璃……」
俺は瑠璃に口づけをし、その膨らんだ双丘を揉みしだく。
別に、これは浮気にはならないだろ?春香。
春香だって、俺にはやらせないくせに、五味と浮気しまくってたんだもんな。
くそ……腹が立つ……!
俺は、瑠璃に愛情をぶつけた。
◆
事が終わり、俺たちはベッドで横になる。
最高の時間だった。
「瑠璃、俺と付き合ってくれるか?」
「もちろん……ユランくん」
俺は、瑠璃にすっかり惚れていた。
彼女はとても美人だし、気の使える女性だ。
そしてなにか、運命じみたものを感じていた。
俺が万能鑑定の能力に覚醒してから、初めて会った女性だ。
俺は瑠璃を守り、幸せにしたい。
もう春香のようなクソ女に騙されるのはごめんだ。
その点、瑠璃はほんとうに清楚で、男性経験もないという確証がある。
だから、瑠璃のことは心から信頼できた。
異性を見極めるという点でも、この万能鑑定はかかせない能力だな。
俺たちは、正式に付き合うことになった。
一度寝て、お互いに信頼が深まったからか、今ならなんでも話せる気がする。
俺は、あることを思い出す。
瑠璃を万能鑑定で調べたときに、彼女はストーカー被害にあっているということが書いてあった。
俺は彼氏として、そんなのは許せない。
もし彼女になにか危害を加えようとしているやつがいるなら、俺が抹殺する。
俺は瑠璃に確認してみることにした。
「なあ瑠璃、正直に話してほしいんだが」
「なにユランくん」
「なにか最近、困っていることはないか? 些細な悩みでもいいんだ。もしあったら、なんでも俺に相談してほしい。俺は彼氏だからな、瑠璃の悩みはなんでも解決したいんだ。そう、例えば男から言い寄られているとか、しつこくされているとか、なにかないか?」
「…………実は……」
少し間をおいて、瑠璃は話はじめた。
「私、最近ストーカーに悩んでいるの……」
「そうだったのか……。話してくれ」
瑠璃の話をまとめると、相手は同じダンチューバーの男性だという。
そいつは、有名ダンチューバーの小坂龍というやつらしい。
小坂は、チャンネル登録者200万人もの、超有名なインフルエンサーだ。
俺も、さすがに小坂の名前くらいは知っていた。
瑠璃は、数か月前に、その小坂とダンチューバーとして、コラボ配信をしたそうなのだ。
それからというもの、DMで小坂はしつこくメッセージを送り続けてきたらしい。
なにやら強引にデートにさそったりしてきたようだ。
それを断っていると、今度は卑猥な言葉を投げつけてくるようになったらしい。
それに困って無視していると、なんと性器の画像を送り付けてきたのだとか。
まったく、すがすがしいまでのクソ野郎だな。
だが意外だな。
小坂はイケメンで、もてもての男だ。
女性ファンも多く、さわやかな印象で売れている。
だがその実態が、まさかこんな男だとはな。
もしもファンが知ったらがっかりだろうな。
小坂は瑠璃にほれ込んで、どうしても手に入れようと思ったらしい。
さすがに性器の画像を送られて、恐怖した瑠璃は、小坂をブロックした。
すると今度は、不信な男が家の周りにあらわれるようになったらしい。
いつも道を歩いていると、不信な男の影を感じるようだ。
なるほど、おそらくそれも小坂だろうな。
そんな卑劣な男、とてもじゃないが許せないな。
俺がなんとかしてやろう。
なに、この万能鑑定をつかえば、簡単なことだ。
「よし、瑠璃。あとは俺に任せてくれ。なんとか俺が守ってみせるよ」
「ほんと? うれしい。ありがとう」
俺は、もう一度瑠璃を抱き寄せて、キスをした。
みていろ、小坂、俺がお前の悪行をすべて暴いてやる。
俺が、絶対に許さない。
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《あとがき》
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