第7話 暴露屋
人には誰しも、暴かれたくない秘密の1つや2つはある。
それは誰にだって同じだ。
もちろん、俺だって例外ではない。
とてもじゃないが、他人には言えないような性癖や、秘密がある。
そんな暴かれたくない秘密が、もしも暴かれてしまったら……?
もしも自分の一番隠したい秘密が、世間にバレてしまったら……?
そうなったとき、君は正気でいられるだろうか……?
「はっはっは……! それにしても、傑作だ。あの五味に、こんな秘密があったなんてな……!」
俺は万能鑑定で得た五味のステータスを見返しながら、高笑いをする。
万能鑑定で一度得たステータスは、あとから自由に見返すことができる。
そうだな。まずは五味から殺していくか。
殺すといっても、まずは社会的に殺す。
なによりもの苦痛は、世間に顔向けできないほど、世間に恥をさらすことだ。
炎上をして、誹謗中傷を受けたすえに、自殺する人間がいる。
その苦痛は、想像を絶するものだろう。
インターネットごしの誹謗中傷で、世間からはじきだされたような気持ちになって、死を選ぶ。
それは、とてつもない孤独だろう。
俺は、そんな痛みを彼らに与えてやりたいのだ。
さてと、まずはどこからいくかな。
俺は五味のステータスをあらためて確認しながら、思考を巡らせる。
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五味武
25歳
探索者Lv45
弱者をいじめるのが好き
よくダンジョンで他の探索者をいじめる
下級探索者をいじめている
性欲がえげつない
実は変態である
性癖が歪んでいる
異常者
女の家に忍び込んでいる
好みの女をどこまでもつけ狙う
ストーカーしている
倫理観がおかしい
犯罪をいとわない
幼女もののパンツ買ってる
パンツを使って●慰をするのが好き
女性もの下着のコレクション
使用済み下着を盗む
下着を買っている
万引き経験あり
実はマザコン
2又している
女にそこそこもてるが、満たされない
底なしの性欲
ロリコンでもある
女性蔑視
女を見下す
暴力的
女性に暴力
レ●プ経験あり
レ●プ魔
・
・
・
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「あっはっはっはっは……! マジでいかれてるなコイツ……! いいよいいよ! 嬲りがいがあるねぇ!」
五味武という男は、とんでもない化物だった。
異常性欲性癖のオンパレードで、とんでもない犯罪者だ。
こんなやつ、どうせ生きててもろくなことしないだろ。
俺が社会てきにも肉体的にも殺してやったほうが、社会のためだ。
害悪、害虫。社会のゴミだ。
いやあむしろすがすがしいまでのクズで助かったよ。
こちらとしても、躊躇しないで済む。
まずは……そうだな。
まずは軽いところからいくか。
こういうのは、じわじわと追い詰めていくもんだ。
俺が最初に着目したのは、弱い冒険者をいじめているという部分だ。
どうやらこいつは、日ごろからかつての俺のような、底辺冒険者をいじめているらしい。
だけど、それは明るみになっていない。
おそらく、俺にしたのと同じような手口でいじめているのだろうな。
ギリギリ犯罪や違反にならない程度に、ねちねちと嫌がらせをしているのに違いない。
俺は趣味でダンジョン配信者をやっていたが、多くの底辺探索者は、配信をしていないことも多い。
どうせ配信したって、視聴者がこないから無駄だという考えだ。
だけど、配信は自衛のためでもある。
常に配信をしておけば、五味のようなやつに絡まれたときに、カメラを向ければ一発だからな。
五味のような素行の悪い探索者は、なにも野放しにされているというわけではない。
そういった違反行為が世間に知れれば、ちゃんと叩かれるし、炎上もする。
だが、五味はそういうところを抜かりない。
ちゃんと、配信をつけてないようなやつを狙ってねちっこくいじめるのだろう。
ダンカメはそこそこ高い買い物だ。
だから、ダンカメを持っていない底辺探索者も多い。
俺はあくまで趣味のために、貯金を切り崩してダンカメを買っただけだ。
五味は、そういった弱そうで、いじめやすそうな探索者を選んでは、いじめる。
ちゃんといじめても大丈夫な弱者だけを狙うのだ。
とても性格が悪い。
陰湿で悪質だ。
そんなゴミクズ、死んだほうがましだよな……?
ふつうなら、五味のような迷惑行為は、すぐに動画をとられて拡散され、炎上して人生終了だろう。
だが、あいつは狡猾だ。
盗撮されるようなへまはしない。
だが、俺にかかればどうかな……?
俺の作戦はこうだ。
まず、五味のことをカメラで追う。
俺はダンジョンで、透明化というスキルを手に入れてある。
それを使えば、五味にばれることなくやつの悪行をカメラに収めることが可能だ。
そして、五味がいじめをやっているところを、カメラに収めるのだ。
そしてそれを、インターネットで拡散する!
そうすれば、五味は炎上して、社会的に制裁を喰らうことになる。
そこまでが俺の作戦だ。
だが、ただそれをやっても、影響力はそれほどないだろう。
有名人が仮に、いじめをやったら……?
そうしたら、すごい炎上するだろう。
もとの知名度が高ければ高いほど、その炎は大きく燃え上がる。
そしてもとの好感度が高ければ高いほど、そのギャップは大きい。
五味のような無名な一般人がなにかをしたって、それほど影響は大きくない。
五味を晒上げたところで、せいぜい二三日ニュースサイトにまとめられて、それでおしまいだ。
あとはみんな忘れ去って、つぎのゴシップに流れるだけだろう。
だから、俺はまず、五味を有名人にすることにした。
そうすれば、さらに炎上するだろ?
そして、拡散する側のメディアも大事だ。
無名のアカウントで悪行を報じたって、せいぜいそのインプレッションはしれている。
フォロワー100人のアカウントでつぶやくより、100万人のアカウントでつぶやいたほうが、火は大きく燃え上がる。
そうだろう……?
俺は、最大火力で燃え上がるのが見たいんだよ!
だから、俺はそれを報じるためのメディアを作ることにした。
そして、五味の悪行を報じるまでに、まずはメディアを大きくする。
俺の作戦は二つ。
まず、五味の知名度を上げる。
そして、俺のアカウントを大きくする。
その二つがあわさったとき、炎上は最大火力になる。
世間から大バッシングを受けて、五味が絶望するさまを、はやく拝みたいものだな。
だが、まだまだだ。
まずは影響力を大きくするところからだ。
手始めに、俺は自分のアカウントを作ることにした。
あくまで闇雲ユランの名前は、もちろん出さない。
匿名のアカウントだ。
炎上系のメディアを扱うアカウントを作ろう。
世の中の悪を暴くんだ。
みんな、みたいだろ?
世の中の悪が暴かれ、裁かれるところを。
そういえば、すでに似たようなことをやっているアカウントがいくつかある。
滝川アソレというアカウントが有名だ。
彼は法で裁かれないような悪事を暴いては、晒し、世間に炎上をばらまいている。
ようは、俺のやろうとしていることも同じだ。
そうだな、アカウントの名前は――。
【暴露屋チャンネル】
これでどうだ。
「暴露屋ユラン、開業だ――」
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