第12話 ストーカー

 

 俺は瑠璃がダンジョンにいったりするとき、送り迎えをすることに決めた。

 いつストーカーの魔の手が忍び寄るかわからないからな。

 事が解決するまでは、俺が常に横にいて守ってやろう。

 さて、俺は小坂のことを絶対に許さない。

 俺の女に手をだしたこと、後悔させてやる。


 手始めに、まずは情報収集だよな。

 俺は小坂のダンチューブチャンネルを見る。

 小坂はこれまでにもいろんな女とコラボしているみたいだ。

 小坂の印象をひとことでいうと、ナンパなチャラい男だ。

 でも一見していい人そうにも見える。

 話も面白いし、イケメンだし、人気が出るのもわかるな。


 だがその実態は、瑠璃に付きまとう卑劣な男だ。

 普段モテるぶん、瑠璃に拒否されたのがよほど悔しかったのだろうか。

 だが、だからといってやっていいことと悪いことがある。

 そんなことをするくらいだから、小坂にはもっといろいろと、悪い裏の顔があるかもしれないな。

 俺は小坂のダンチューブチャンネルの映像に向かって、万能鑑定を発動させる。

 なんと万能鑑定は、直接人に会わなくても、こうやって画面越しにも発動する。

 さすがは万能鑑定、万能だ。



===============

 小坂龍

 27歳

 

 ストーカー男

 性器の画像を送り付ける

 ストーカー気質

 粘着質


 モテ男

 一度狙った女はあきらめない


 ファンを食いまくっている

 JKにまで手をだしている

 JKを妊娠させて、中絶させている


 他のダンチューバーを食い散らかす

 女性ダンチューバーを食いまくってる

 女にだらしない


 ダンナのいる女性にも手をだしている

 有名女優と不倫

 違法ダウンロードの常習犯

===============



 ふむふむ。なるほど。

 これは面白いものが見れたな。

 人には誰しも、暴かれたくない秘密の一つや二つはあるものだ。

 だが、これは……。

 小坂はなかなかに社会的に見てもクズだな。


 さて、これをどう調理しようか。

 俺は、こういう嘘つきのクズが大嫌いなんだよな。

 まず、社会的に破滅させるか。

 小坂くんには少し痛い目をみてもらおう。

 どうせこんなクズ、どうなったっていいだろう。

 社会のためにも、こんなやつ消えたほうがましだ。


 さて、まずは証拠集めといこうか。

 俺は透明化スキルを発動させる。

 そして、転移スキルを発動だ。

 転移スキルはダンジョンで手に入れたスキルの中でも、かなり便利なスキルだ。

 どこへでも、自分が願った場所に転移できる。


 俺は、小坂の部屋に転移した。

 どうやら小坂は寝ているようだ。

 よし、今のうちに小坂のスマホをチェックしよう。


 小坂のスマホには、とうぜんロックがかかっていた。

 だが、そんなの俺にかかれば一瞬だ。

 万能鑑定でスマホのパスワードは割れている。


 するとそこには、目を瞑りたくなるようなLINEのメッセージが残っていた。

 なんと、小坂はファンのJKに、卑猥なメッセージを送っていたのだ。

 おそらく、このファンを食い物にしているのだろう。

 ファンのJKに手をだして、あれこれしているのだろう。


【今度はめどり撮らせてw】

【えー、やだ】

【じゃあ、今オナ画像送ってよwみたいなw】

【もーしょうがないなぁ】


 なんという卑劣な男だろうか。

 世間がこんなものを知ったら、許さないだろうな。

 まだJKの子に、こんなメッセージを送るなんて。

 これはいい証拠になるな。

 俺は小坂のスマホの画面を、自分のスマホで写真をとった。


 おっと、ただこの画像をとっただけだと、画像を捏造したとか疑われるかもしれないな。

 ちゃんとこれが小坂のスマホだという証拠も必要だ。

 俺は、小坂のスマホを小坂の寝顔の横に持って行った。

 そして、小坂のスマホを、メッセージの画面にしたまま、小坂の顔の横でパシャリ。

 これで、ちゃんとこのスマホが小坂のものだということがわかるな。

 よし。


 それから、他のメッセージも見てみよう。

 ほうほうこれは……。

 小坂と、女優の宝生恵とのメッセージがあった。

 宝生恵といえば、最近結婚した若手の女優で、おしどり夫婦として有名だ。

 だが、小坂と宝生のLINEは、ひどいものだった。


【おい、オナ動画送れよ】

【えーやだ、今夫いるから】

【じゃあ罰ゲーム。今度やるとき、けつあな確定な】

【えーw】


 どうやら二人は不倫しているようだ。

 こいつはどこまでクズなんだ。

 いろんな女に手を出していやがる。

 これももちろん写真におさめた。

 それから、他にはダンチューバーとのDMもあった。

 有名ダンチューバーの渚カレンとのDMだ。


【私、できちゃったみたい……】

【は?降ろして】

【え……無理】

【は?ブロックするわ、じゃあな】


 こいつ……マジでゴミだな……。

 有名ダンチューバーを孕ませて、しかもそれを降ろせとかいって、挙句にブロックするとか。

 マジで……ひどい。

 これもばっちり写真におさめておこう。


 さて、他には違法ダウンロードの常習犯というのもあったな。

 俺は小坂のパソコンを立ち上げる。

 するとそこには、大量の違法データがあった。

 俺は、違法データと、小坂のSNSにログインした状態の画面を開く。

 そしてそれを証拠に、スクショをとりまくった。

 よし、これで小坂が違法ダウンロードしまくってた証拠もばっちりだ。

 

 さて、俺は小坂の悪行の証拠をたくさん集めた。

 あとはこの場所からおさらばするだけだ。

 だが、ちょっと嫌がらせでもしておくか。

 俺は小坂の家の冷蔵庫のコンセントを抜いておいた。

 それから、飲み物を冷蔵庫から取り出し、パソコンにぶっかける。

 あと、トイレにトイレットペーパーを丸ごと放り込んで詰まらせておいた。

 これでよし、小坂は起きたとき、発狂するだろうなw


 そうだ、もし小坂に警察を呼ばれたら面倒だな。

 よし、罠でも仕掛けるか。

 俺は転移スキルを発動させて、大麻草の群生地に飛んだ。

 そして大麻草をひっこ抜いて、植木鉢に入れる。

 それを小坂のベランダに見えるように設置だ。


 さらに、近隣の学校に忍び込んで体操服を調達。

 その体操服を小坂の家のタンスに放り込んでやった。

 あとは体操服が盗まれたと、先に警察に連絡をしておけば完璧だ。


 これで準備は完了だ。

 俺は小坂の家をあとにした。


 さて、集めた証拠を、これから世間に公表するとするか。

 そうすれば、小坂を社会的に殺せる。

 俺は自分の、【暴露屋チャンネル】を開いた。

 そして、動画を撮影する。

 もちろん、顔出しはしないよ?

 変装スキルで声も顔も別のものにして、さらにその上から仮面をかぶる。

 これで俺が暴露屋だということはバレない。

 

 俺は今から、小坂の悪行を世間に知らしめるための、暴露動画をつくろうと思う。

 俺は録画ボタンを押した。

 さて、暴露スタートだ。

 ――暴露屋ユラン、行動開始。


「はいどうもー。暴露屋チャンネルへようこそ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る