間話 自称天才。個別対応する。
実験は失敗ばかりだ。
僕はただあの時に行きたい。
それだけで無我夢中に実験をしていた。
誰がなんと言おうと僕はあの時に行きたかった。
そしてもう一度やり直したいんだ。
だから成功するまで僕は何度でも実験を続ける。
たとえ危険なことでも――。
◆
「で、ちょっとミスったらなかなか面倒なことになったと」
僕――今は穴川と適当に名乗ったが。って、そのことはいいか。
ここ数日俺はバタバタしていた。
実験が最終段階まで来たのだが。完成するまでに予想以上の時間がかかったため。一気には移動ができないという別の問題が発生したのだ。
でもまあ一気にじゃなくてもよいことなので、僕は一定の間隔で移動を試みていたのだが。
その途中。僕の実験には大量の電気が必要となるため。移動した先で電気を求めていると――そこでたまたまその時の奴らを巻き込むトラブルが起きた。
本来ならそんなことはならないはずだったのに、あの時だけたまたま。7人だけ別世界線の人間が混ざってしまった。
本当にあの時は運が悪かった。
基本俺は運がいいはずなのに――こういう実験も無事に1人で成功して移動できるようになったんだから。でもあの時だけ。トラブルメーカーみたいな奴が居たのだろう。まさかだった。再度移動の準備をしていたらその近くにの人間があんな時間に居るとか思わないだろ。
一応人目に付かないように座標を指定していたんだから。なのに居た。しかし僕の移動は急遽止める。そんな対応をしないといけないことが起こるとは思っていなかったので、止めることが出来ず。
運悪く。僕が実験の試しをするために作った世界に7人が飛ばされてしまった。
本当なら放置していても良かったのだろう。別に僕が作った世界でも十分生きていけるはずだったしな。でもよくよく考えると僕が作った世界は中途半端。いや、完璧作ることもできたが。わざわざ練習のところで大掛かりなもの作る必要はないからな。だから一部。あと、各種人間の記憶は大雑把になっていた。というかコピーしたようなものだったため一部で同一人物とならないこと。その他微妙に違いが生まれていたそして、別にいいかと思ったが。元の世界から7人も消えたというのは後々面倒なことになるとわかり。まあ急に消えるんだからな。
本当は急ぎ次へと僕は移動したかったが。それは一時中断。
7人の回収に向かった。
移動に関しては特に問題なかった。
が――ちょっと僕が作った世界の中。地味でデカく作っていたらしく。僕が移動するとそれぞれがまあ適度に離れていた――というか。なんか普通に生活してやがった。
7人のうち運転手と車掌はすぐに見つかった。
まあこっちでも電車に乗っていたからな。
だからその2人は早々に戻してやった。
多分何にも感じていない感じだったから全員が揃えばすぐにまた元の世界で動き出すだろう。
でだ。
ちょっと面倒だったのは他の5人。
僕の中では個人情報など簡単に見れるので、誰が巻き込まれたのかはわかっていた。
横山由悠
磯部一心
神明柊花
赤崎杏奈
高田太一
どうやら大学が近かったからか。全員が同じ大学だったのは幸いだったが。どうもの中に変な奴。変な耐性がある奴が居たらしく。僕の作った世界で気が付くやつがいた。
はじめはそれが誰かわからず。というかそんな事あると思ってなかったから僕は気が付かず。
普通に見つけた奴から回収した。
高田太一。こいつはすぐに見つかった。
なのでとっとと戻した。
そして次に赤崎杏奈というやつを回収するため動いていると――ちょっと邪魔が入った。
それもたまたまなのか。僕が巻き込んだ残りの3人がやって来たのだ。
本当は1人ずつの方が安定して戻せるので、パクった車で拉致して1人ずつの予定が――まあ崩れた。
おまけにそのとき。いやその後か。
何故かはわからないが。違和感に気が付くという。そしてさらに面倒なことにその変な耐性?のあるやつの言葉に力でもあるのか。関わった奴が同じく思い出しかけると――と、まあそれはそれで面倒。そりゃ回収時に全部消すこともできたが。それをすると元の世界でおかしなことが起きるというか。消すなら全部消す必要があり。記憶喪失者が続発――ってことになると面倒だからな。
まあとにかく。3人を回収したあとの4人が面倒だったんだよ。
さらに言うと、ちょっとこれはミスってか。昔作った際に俺が面白半分で作った奴がたまたまその4人と絡むというか。
なんというか。オリジナルキャラだな。
いや、全部コピーも面白くないだろ?だから、いろいろ記憶を使ったり――あとは実在する人間をちょっといじったりとかとかしていろいろ作ってみたんだよ。人間を。そしたらたまたまそいつらが。ミスで飛ばされた4人の近くに居てよ。僕が2人を回収している間に絡んでいるっていう。
まあそういう記憶。こっちの記憶は受け継がれることはないと思っていたからそこまで気にしてなかったが――でもオリジナルってのがおかしかったのか。多分関わることがないはずの人間と人間が関わった――みたいなのでさらに問題が増えたというか。説明すると面倒だから割愛するが。
僕はいろいろ一応対応してやったんだよ。
オリジナルキャラが意外とうざく出来ていて、おまけに巻き込んだ奴らにも絡むとか言うことになったが――でもそれも何とかしてよ。
やっとのことで残りを移動させようとしたら――まさかの寸前のところで1人入れ替わっていた。というか足りなかったし。
なんでそんなことになるんだ――だったが。あの時は――多分あれだな。変な耐性を持った奴に周りがそこそこ影響されていたから僕の存在にすぐ気が付かれたのも問題だったな。
でも不思議なことに一応巻き込まれた奴しか僕のテリトリーにあの時は入れないようにしていたのに入っていたんだよな。まあちょっとしたエラーだと思うが。
で、そんなエラーがあったからだろう。残り4人のうちまず3人を回収――と、思ったら何故かその3人は元の世界――なんだけど、ちょっとズレたところに移動するからよ。再度移動しなおし。おまけに何故かそこでも変に覚醒――じゃないが耐性?が継続かは知らんが。変に元の記憶継続とかとにかくややこしいことになってよ。
面倒ったらありゃしないが――でも再度僕は3人を移動――だったが。この時の僕。1人が別世界に残されているの忘れていたんだよな。
いや、ぐちゃぐちゃにあいつらがしてくれたからな。把握なんてできるかっての。ちゃんと戻そうとしていた僕にむしろ感謝してもらわないとな。
まあ何があったかというと、僕は3人。磯部一心神明柊花赤崎杏奈を戻したのだが――そん時も何故か俺のテリトリーに普通に入っていた松山舞悠とか言うやつを普通に4人目として送っていた。
普通なら僕が作った人間だからテリトリーには。なんだが。勝手に僕が作った奴が入れるとか思わないじゃん。
というか。ぶっちゃけ。この時移動させた際に。よし7人回収終わった。とか思っていたんだがな。つまりあの1人の存在気が付かなかったんだよ。もう少し後まで。
でだ。そのことに僕は気が付いていなかったから、あいつら7人全員を元のところに戻したのにあいつらちゃんと動かなくて悩んだだろ。
でも確認すると7人ちゃんといた。
なんでだ?と、考えていると、なんか僕の作った方の世界が騒がしい――ではないが。何かおかしなことが起きた。
異物が混ざっている感じがしたんだよ。
そりゃ僕が作ったところだからな。違和感はわかるさ。
で、仕方なく調べると――まあ不思議。何故か俺の実験に巻き込まれた本当の7人目が普通に僕の作った世界で何故か別人の記憶に入り込んで生活してるじゃないか。そこでなんで元の世界に戻した7人が動かないか気が付いたわけよ。
でも面白い事実を知れたので僕はしばらく観察した。
すると横山由悠というのがやはりなんか面白い耐性があったらしく。僕が作った世界にいた松山舞悠の記憶を引き継いでいた。
普通ならそんなことはあり得ない。同一人物の記憶を引き継ぐはずまあ多少の認識のずれとかは中途半端にしたから起こる可能性はあったが。
でもまるで別人の記憶に入り込み普通に生活できる人間は面白かった。
が――さすがにしばらく観察していると僕の作った世界でおかしなことになりそうだったので、僕は横山由悠に接触してから。回収した。
元の世界にちゃんと7人をあの時間にそろえると。ちょっと最後に回収した横山君だけズレが生じたが。でも普通に他の奴らは動き出した。
まあこれならいいか。もう少し様子を見て何もなければもう僕は良いよな。次の移動をやっと再開できる――でももし面白いことがあれば。と、思いつつ観察していると。
なんか車内が騒がしくなっていた。
一番初めに回収してやった2人。運転手と車掌は普通に車外で作業をしていたのでほっておたが。車内。よくよく見ると――そういえば1人多いままだった。
まあその1人だけ消せば問題ないかと思ったが。
何故か本来ならこの場に居ないはずの俺が作った世界の人間が記憶は維持されてなくとも普通にこの世界で身体を維持していた。
これは俺がしたいことの参考になると思い。さらにしばらく様子を見ていると――8人目。いや、正確には7人目の横山君ご登場。
戻す際にいろいろ揉めたが。まあこっちではさすがに忘れ――とか思ったら。この横山君やはり面白い人間だった。
接触しておいて正解か。
何故か俺が作った世界。彼が存在した場所すべての記憶を維持できているみたいだったからだ。
普通なら夢のように一瞬だけ覚えているかと思ったが。はっきり覚えている感じだった。
つまりあの横山由悠というのは面白い。使えるということだったので、僕は本当は次の移動をしばらく観察した後行う予定だったが。
僕の実験がさらにうまくいくようにもう少しこいつらに関わってみることにした。
◆
隠していた姿を現し。
一応もともとは僕もいた世界へと足を付ける。
いつ振りかは忘れた。
でもいつもいたような気もする。って、僕の感想は置いておき。
「――お前ら。面白すぎるだろ」
横山君たちに声をかけてみた。
「お前――穴川!」
すると、ほら、面白い。本来なら認識できない。記憶にないはずの僕のことをしっかり覚えている人間が居た。
「やっぱり横山君は覚えてるかー拍手拍手」
僕はそういいながらこちらを見ている人たちのところへと近付く。
その際に僕は気が付いた。
あれ?そういえば今ここに居るイレギュラーは松山舞悠。
先ほどの世界で何故か対応できてた横山由悠が入り込んでいた記憶は松山舞悠の記憶だったんじゃないか?
僕の実験に巻き込まれていないはずなのに、テリトリーに入れる僕が作った世界。作った人間の松山舞悠。その人間に対応できる横山由悠――つまりは。この2人は――。
「――なるほど。中途半端に作ったからできた成功か」
これはさらなるデータが欲しくなる。
僕は明らかに睨んできている人が多いがとりあえず足を進めて、彼ら彼女らに近付くのだった。
どうやら僕にしてはここからが本当の始まりなのかもしれない。
次の更新予定
存在しない日はない。そして俺たちは選択する。 くすのきさくら @yu24meteora
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