2-3  気付き

 もとはと言えば、俺の部屋へと何故か乗り込んできた3名を帰らせようとしていたのに、俺が余計なつぶやきをしたことが原因だろうが――いや、でもなんか重要な話というか。引っかかりがあったんだよ。もういろいろ話が合って埋もれていった気がするが……。

 って、とにかくだ。多分――俺の一言?つぶやきで柊花が考える人になって数秒。いや、それは一瞬だろ。言われるかもだが。でも実際柊花。考え出して――。


「そうだ。そうだよ。おかしいよ」


 俺たちになんか言い出した。何がおかしいのか説明を求めよう。ってか、なんか柊花の表情が変わった――ではないが。なんか雰囲気が変わるというか。ちょっと違い?みたいなものを俺は感じたが――気のせいかもしれないので特に触れずいると。


「由悠」

「うん?なんだ柊花」

「今日何日」

「今日?11月――28か。ってもうすぐ29日になるんだが?みんな何故帰らん」


 ふと、柊花が日付を聞いてきたので、ちょうどポケットに携帯電話のあった俺は、再度ボタンを押して画面を付け、それを確認してから柊花の問いに答えた。


「日にちの認識は大丈夫だね」

「「「うん?」」


 突然の柊花の言葉に俺たち3人が同時に首を傾げる。何故か柊花が俺たちを急にテストしている見たいだったからだ。


「じゃあ次に。今月は何日まである?」

「今月って――」

「30?31か?」

「えっと――」


 柊花に言われてパッとは出てこない俺たち3人はそれぞれが携帯電話をいじり――。


「31日まで」

「うん。だな」

「間違いないカレンダーは31って、これなんだよ柊花」

「あー、やっぱりそうなるんだ」

「うん?」

「なんだよ柊花?どうした?」


 まるで外れ――という雰囲気を出している柊花。しかし11月は31日まである。確か何月が31日まであるとか覚え方があった気がするが――特にそこまで気にすることもなかったので、とか俺が思っていると。珍しく?ではないが。なんか柊花の表情が一瞬だけ悩む。考える表情になってから――。


「ねえねえ、じゃあさ。なんでみんな持ってないの?なんで。って思わない?私たちならこう言った方がいいかな?なんで使ってるの?」

「「「――?」」」


 柊花に言われて俺たち3人の頭の上には多分同時に?マークが浮かんだのだろう――だったが。その時頭の中で不思議な感覚が起こった。


 カチッ。


 音はなかった。でも何かスイッチが頭の中で切り替わったような感覚があった。

 自分の手を見たりしてみるが特に何か変わったわけではない。身体が大きくなった小さくなったということももちろんない。

 しかし、不思議な感覚が起きているのは間違いなかった。


「――あれ――ナニ……コレ?」

「うん?どういうことだ――スマホ。そうだよな。なんで俺――ガラケーなんか使って――?うん?」


 周りを見れば。柊花以外。赤崎さんも一心も難しい表情をしたりしている。


「何か思いだした?」


 俺たち3人が少し混乱していると、柊花が再度問いかけてきた。

 俺のことで良ければ思い出したことを言ってみようか。


「――とりあえず。なんで俺スマホじゃなくなったのか。だな。ってか、うまく言えないが――なんか2つの記憶……ないか?いや、気のせい――でもなんかどっちもはっきり――」

「そうだよ。そうだよ。それだ。なんか2つの生活の記憶が――混ざっているじゃないけど。何で例えたらいいんだろう?ガラケーの今の世界?でもちょっと前まで?スマホ使っていた生活がなんか急に頭の中。記憶が出て来たいうか――」


 俺がつまりつまり話すと。赤崎さんがその話に乗っかって来た。そして赤崎さんのあとに一心も乗っかって来た。


「おい。なんかさっき本郷の話してたけどよ。本郷の記憶って――今日しかなくねえか?なんか杏奈の言うようにスマホ使っていた時の記憶も普通に出てくるんだが。その時は本郷ってやつの記憶全くないんだが――いや、でもこのなんだ?ガラケー?の使っている時は大学入ってからいるというか――うわぁ。なんだ。俺の頭――おかしいのか」

「まあ一心の頭がおかしいのはいつものことだと思うけど」

「おい、柊花」

「はいはい。ちょっと余計な事言わないで」

「今柊花が余計な事言っただろうが!」

「うるさい。って、話戻すけど。私たち多分――いや、絶対昨日おかしくなったんだよ」

「なんで昨日確定なんだ?まあ記憶的になんかスマホの記憶は――昨日ないってかだが」

「それだよ。由悠」

「うん?」

「スマホのある記憶が途絶えてるから。私もさっきふと頭の中に違和感ってか。まあなんかね。みんなが同じ電車に乗ってたことや。なんか今日1日変な感じが私してたんだよ」

「俺は――全くだな。普通に1日過ごしてきたってか。でも眠い――っていうか寝不足なのは昨日帰りが遅くて――だから。ちゃんと記憶が繋がっている言うか。あっでも今はなんかスマホ持っている前の記憶も――って、無茶苦茶だな。これ」

「私も変な感じが今はするけど、柊花に言われるまでは何ともだったかな?って、なんか変な感じだね。頭の中で記憶が入れ替わるってか」

「俺は変だと思ってたぞ!」


 俺と赤崎さんが混乱する中。それぞれの意見を言ったが――一心は嘘。多分これはわかる。何もこいつは気が付いてなかっただろう。柊花はもともと言うか――こやつ高校の時から勘が鋭い――っていうのか、何かを察するとか鋭かったからな。それで違和感に気が付いたのだろうが――とか思っていると。


「一心。今結構重要な話してるからふざけないで」

「へい」


 柊花にも見破られ。というか誰でも見破れるか。とりあえず怒られる一心だった。


 「で、1つずつ確認したいんだけど。杏奈ちゃん」

「何?」

「今日の朝さ。家からいきなり縁談?だっけ、それもとか言うところからあったとか言ってたよね?」

「えっ、あー、うん。その記憶は――ちゃんとあるね。でも眠くて、ってか、そもそもそんな話興味ないってか。いやいや、今はそんな事より大学生活楽しみますよー的な感じでサラッと切っちゃったけど」

「それさ、もう1回確認できない?」

「えっ?今から?」


 柊花の提案に驚く赤崎さん。それもそうだ。今何時だと思ってる――だったが。


「いいから。私の考えがあってると、今の杏奈の会社って――倒産寸前なんじゃない?」

「はい!?いやいや、柊花。わたしんところ。もう復活ってか」

「いいから、聞いてみたら?」

「むーん。まあいいけど。私からの電話ならすぐに出てくれると思うから」


 柊花に言われて、携帯電話を操作する赤崎さん。ちなみに俺たちスマホの存在を思い出したが――やはり自然と携帯電話の操作はできた。まあ昔使っていたというのもあるが――でも、違和感なくというか。ずっと使っていたというか。とにかく頭の中が不思議な感じだ。


「――あっ、もしもしーわた……」


 俺がそんなことを思っていると、普通に俺たちの前で電話を始めた赤崎さん。無事に相手。親?に連絡が出来たみたいだったが――名乗る前に何故か携帯電話から耳を話していた。

 どうやら相手が大声?らしいが。ちなみにボロボロ何か声?怒鳴っている?のか大声なのかはわからないが。何か聞こえてきてはいる。

 

「あーもう、うるさい。なんでそんなに慌てて――えっ?」


 それから再度赤崎さんは仕方なくといった感じで携帯電話を耳に当てて会話を再開したが。すぐに驚いた顔になり――。


「ちょ、どういうこと?行き詰ってる?借金?はい!?借金解消に――その本郷ってところに頼るしかない?うんって、それは私を売るってことか!」


 キレた。

 赤崎さん。最後は叫びつつ。携帯電話の切るボタンを押していた。

 俺と一心は何事――という感じで赤崎さんを見ていたが。柊花は――予想通り?なのか頷いていた。


「ちょ、なんで柊花わかったの?うちの会社昨日の夜に大損害?出して倒産のピンチとかマジで言ってたんだけど」

「だと思った。なんかね。あの本郷っていう人の事ちょっと思い出してみたら――突然ってか、もう1つ?の記憶の方には全くないけど――でも今のこっちの記憶にも昨日?からしかないんだよ」

「えっ?どういう――?って、ホントだ」

「あっ、マジだな。本郷の野郎の記憶ってか――俺もないわ。なんかずっといるような気もするけど――ってか、大学に入ってから――とか思っていたのによ。なんか今はわかる言うか。どうなってるんだよ?」


 柊花が本郷のことを言うと、赤崎さん。一心共に不思議そうな表情をしている。ちなみに――そもそも本郷の事を知らなかった俺は記憶にすらないのでわからないという。ちなみに赤崎さんのことは――やはりないというか。でも赤崎ブランドは昔からあるからか。経営状況とかは全くわからないが。でもあったのは覚えている。ちょっと引っかかるというか。まあ興味がない言うか。自分には関係ないと頃だったので、断片的しか記憶にないというか。何故か


 とにかく、今の俺たちなんかおかしなことになっているのはわかった。

 そのため――気が付けば睡魔もいなくなり。

 11月29日。

 日付が変わっていることに気が付くことはなく。俺たちはそのまま話し込んだのだった。

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