2-2 大学生集まる
少し前に誘拐されかけた小柄な女性は、
なお、普通の学生。俺の通っている大学生なら彼女のことは知っていてもおかしくないと一心に言われたが――知らん。見たことはなくも――だが。そこそこの数の学生がいる中でわかるわけがない。と、完結。俺は関係ない。と頭の中で整理させたかったが。柊花にも『杏奈ちゃん知らなかったんだーへぇー』と、あれはなんだろな?不思議?おかしくない?みたいな感じで言われたため。どうやらこの赤崎さんそこそこの有名人?まあ見た目からして柊花以上に目立つし。あと本人の行動。先ほどもだがあざとい?のか知らんが。距離感がいろいろおかしい気もしたので――まあそういうのでいろいろ有名なのだろうと。一応頭の片隅に置いておくことにした。でも俺と接点はないだろう。今後――まああっても挨拶くらいでは?などと思ったのだが。その数十秒後。
「とりあえず由悠の家近いし行くか」
「賛成。杏奈ちゃんもどう?」
「行く行くー」
「……」
おかしなことになった。
現状今は4人になり。何故か近場という意味で俺の家へと全員で向かうことになったのだ。おかしいだろ。
マジでおかしいだろ。今夜だぞ?それもいろいろあってもう日付変わるぞ?なんで俺の家に行くことになるんだ?おかしいだろ。
あと、普通なら誘拐未遂?で警察。お巡りさんに相談行こうぜ?それくらいなら付き合うが――でもその選択肢が何故かない。
どういうこと?この赤崎さん誘拐くらい日常茶飯事なの?いやいやそんな人いないだろ。
とかとか思っている間に俺たちは徒歩で移動。
少しすると俺のボロアパート。でもなかなか住み心地はいいところに到着した。
「おじゃまします」
「相変わらず由悠の家はなんも物ないな」
「おお、狭い」
「……」
俺が仕方なく鍵を開ければ柊花。一心、赤崎さんと俺の部屋に入っていく。っか、狭いという感想が赤崎さんから聞こえたが。まあ狭いが。学生で1人暮らしってそんなもんじゃないのか?ちなみに俺は一心と柊花の家も知っているが――そんなに変わらない気がするが――まあ確かに俺が一番狭い気がするけどさ。って、余計なことはもういいか。なんか3人とも普通に俺の部屋入っていくし。まあ見られていけないものは――ないな。よし。
俺が室内へと入ると。普通に柊花が部屋の電気を付けた。そして暖房も付ける。ちょくちょく来るからか。把握されているな。そして自由に使われている。まあいいが。
ちなみに、俺の家は玄関入るとすぐ右手が洗面所。そして左が台所。そして奥のドアを開ければ部屋があり。そこにベッドと小さな机。小さな棚が置いてある。
一心が言っていたが。物がないと言えばないだろう。でも――いらないし。今のところこれで十分というか。大学行っていれば、ほとんど大学に居るしな。ここは寝るだけの住処だ。
「で、杏奈ちゃん誘拐されるような原因ある?」
「ないねー。まあ私かわいいから?」
俺の部屋へと入った柊花がまず普通に俺の使っているベッドに腰かけると、その横に赤崎さんを座らせる。なんか俺の部屋なのに俺の部屋じゃないみたいだ。
そして一心はというと、2人の前に座った。なお、一心が2人にやはりあれからずっと相手にされていない気がするが――今もされていない気がする。
「杏奈を狙うやつかー。こういう時はやはり俺も四六時中見回るか」
「「キモイ」」
「酷いわ!」
「……あのよ。夜中だし静かにしてくれ。あと、こういう時って警察じゃないのか?」
当たり前。と思われることを俺が聞いてみると、柊花が何故か納得した。という顔で俺の方を見て話しだした。
「あー、大丈夫大丈夫。由悠は知らないと思うけど――ってか知らないのもおかしいと思うけど――」
「めっちゃ馬鹿にされてるな」
「うん」
「素直だな」
「まあまあとにかく。杏奈ちゃんってさ。えっと由悠も聞いたことあるでしょ。赤崎ブランド」
「赤崎ブランド?って――あれか?なんだっけ?一時期廃業直前だったのが――社長が変わったらなんかV字回復?で、テレビで取り上げられていたような――なんだっけ?酒造?酒蔵?」
「そうそう。で、回復したから、今はボンボンの娘が杏奈」
柊花がそう言いながら隣に座る赤崎さんを指す。すると赤崎さんも『そうそう、嫌なんだけどね。切っても切れない関係というか――』などと言っていた――って、待て待て。
「……はい?えっと――えっ?」
「おっ、由悠がパニック」
「いや、なんでそんなところの――って、全然そんな感じに見えないが」
「でしょー。普通なら老舗?のところだし。格式高い?とかになるかと思うじゃん」
「まあ」
「でもこの通り。実家の事なんか知らない。私は私の人生だー!って、出てきたんだって」
「……は?」
「そうそう」
柊花の説明がマジか?と思いつつ俺が聞いていると、軽い感じで赤崎さんが足を組みなおしつつ。頷いていた。いや、マジなのか。どっかの大企業の娘?令嬢?には全く見えない。なんというか。どこにでもいそう?というか。ちょっと大雑把言うのか。とにかく、自分の行動が――とか全く気にしている素振りはない。
「――全くわからんが――って、それがどうして、警察に相談にならないんだ?」
驚きつつも俺が話を戻すと『だからー』と、いう表情で柊花が話してくれた。そんな表情されてもわからんもんはわからんのだが。
「杏奈ちゃんは出てきた。家出とか言ってるけど。実際はそんな簡単にはい。勝手にしろにはならなくて。すごい警備なわけ。大事な大事な娘みたいでね。ねー杏奈ちゃん?」
「そうそう、私。超大事な娘。傷物なんかになったらえらいことー。だから私にバレないように警備ー。だから私のプライバシーあったもんじゃないだよー。まあバレバレだけど」
「……」
「で、もし杏奈ちゃんに指一本触れようもんなら、隠れて警備している人たちがすっ飛んで来るってわけよ」
「ちなみに俺は一度杏奈の肩触って声かけたら、一本背負いか?気が付いたら地面で寝てて、絞められた」
「……」
つまり一心は過去に何かを経験していると。それとなんだ?なんか事件?みたいなことがあっても、この赤崎さんSP?とかいうのかは知らんが。警備がきつくて、そもそも赤崎さんに危害を加えることはできないと。うん?危害を加えることはできない?できない――あれ?」
そこでとあることに気が付いた俺は赤崎さんの方を見た。
「あの、赤崎さん?」
「うん。って、柊花のことは柊花ーって、言ってるから私も杏奈でいいよ?1人だけさん呼びとか嫌だし。あっ、だから私も横谷?」
「横山です」
「そうそう、横山君の事――なんだっけ?」
「――名前は由悠ですが?」
「そうそうそう。由悠って呼ぶから」
「……もう自由にしてくれ――じゃなくて」
「じゃなくて?」
「指一本触れることができないくらいの警備が隠れているはずなのに、さっき車に引きずりこまれそうになった時。腕掴まれていたのに、特に誰か出てきた雰囲気なくなかったですか?」
「「あっ」」
俺が聞くと、まず赤崎さんと柊花が『そういえば――』という表情をして、互いの顔を見て、先ほどのことを思い出している見たいだった。
「そういえば――そうだな?杏奈の警備の人らいなかったな。大学ですら下手すれば来るのに」
「――マジですごい警備――の前にそんな同級生居たのに俺は2年と数か月知らなかったのか」
「まあ由悠は自分の周りでトラブルばかり呼んでいるから。それどころじゃなかったんだな。今日ですらこのざまだし」
「――」
一心の言うように確かに俺――今日もいろいろ。などと思っていると。赤崎さんが携帯電話を取り出した。
「警備がサボってるって注意しておかないと」
「――そこは連絡するんだ。家出とか言ってなかった?」
「あー、せっかく親のミス見つけたのに――言えないじゃん」
が。俺の一言で何やらぶつぶつ言い出して、携帯電話を開いたり――閉じたり――を繰り返す赤崎さんだった。何やら――葛藤?しているようだ。
「杏奈ちゃん。今までは会社のために――とかいろいろ言われていたみたいだからね」
「大変だったと?」
「そうそう、少し前まで会社のために結婚――とかも言われたみたいだよ?」
今もそういうのあるのか――などと俺が柊花の話を聞いて思っていると、赤崎さんが会話に入って来た。
「そう、そうなの。って、そうよ。そういえば。今日の朝よ。いきなり本郷家とか聞いたことない家と縁談――とか言われたんだったわ。まあ眠かったから無視したけど――って、ここで連絡したら返事するみたいじゃないの。あーせっかくの警備のミスなのに――いいや」
「……大変そうで――って、本郷?」
あれ?なんかその苗字今日よく聞くな――などと俺が思った瞬間だった。
「本郷って、まさかね」
柊花も俺と同じことを思ったのか。苦笑いしていたが――まあ同じ苗字くらいたくさんあるだろう。
「何々?2人は本郷で何か知ってるの?」
赤崎さんが俺と柊花を交互に見てくる。すると何故か一心が返事をした。
「なんだ、杏奈知らないのか?本郷の野郎。手当たり次第に大学内で女子に声かけまくりの――って、なるほど、杏奈は警備がきついから。本郷も近寄れないか。すでに痛い目見たか」
「誰それ?って、そもそもあちらこちらから話しかけられるから名前とか覚えきれないし。あっ、ちなみに私に触れて絞められてのは目の前に居るキモイ人だけ」
「俺って、レアだったか!って言い方!」
「キモイだけよ」
「同じこと言うな!マジでひどいな!いや、もしかして俺褒められてる?」
「ない」
「酷い!」
一心と赤崎さんはこれが普通?なのかは知らないが。でもまあいいか。俺には関係ないこと。っか皆さん?日付変わるんだが。
「なあ、ところで俺今日眠いから寝たいんだが。いつまでみんな居るんだ?」
「由悠。私泊めて」
「おかしい。っか寝るところないから。床は風邪ひくぞ」
「なら柊花。俺の家来ていいぞ!」
「それなら家帰るから」
「酷いわ!って、そうか。俺もここで寝ればいいのか」
「おい、お前ら。っか、一心も昨日帰ったの遅いだろうが。寝ろよ」
「そうだが。このやり取り重要だろ」
「いやいや」
「っか、昨日も由悠のトラブルでな電車止まるとかないわー。もうあれはいらねえな」
昨日のことを多分思い出しつつ一心が『もう電車止めるなよ』的な視線を俺に向けた時だった。
「あれ?電車?もしかして――悠宇と一心も昨日最終の電車乗ってたの?」
柊花が俺たちの方を見つつ聞いてきた。って、あれ?この雰囲気はもしかして――。
「うん?その感じだと柊花もか?」
「うん。乗ってた。トンネル内で動かなくなったんだよ。めっちゃ長くてさ」
「なんだ居たのか」
一心が確認すると――どうやらあの電車。柊花も居たらしい。まあ他の車両だと気が付かないか。別に車内を歩き回ってはなかったしな。
「はいはい、なんか3人が話している電車の事だけど――私も昨日最終電車乗ってたらさ。2時間くらい動かなくて」
「えっ?杏奈ちゃんも居たの?」
「うん。ぶらっと遊びに行って、そしたら電車ストップ」
「そんな偶然あるのかよ。ここに居る全員昨日捕まっていたとか」
「くそー、由悠となんか話して時間潰すんじゃなくて、車内回ればよかったー」
「――お前途中から寝てたじゃん。あっ、寝てたから、今日も普通なのか」
「まあ見つからなくてよかったー、キモイのに」
「おい、杏奈。さっきから俺の名前間違っているぞ?」
「あってるじゃん。って、そうそう、昨日のその電車なんだけどさ」
「おい、俺を無視するな」
「無視ー」
「おい!」
「でさ、柊花。その昨日の電車でさ。私の前の席にすっごい。丸メガネ大事している男の人居てさ。まるで彼女と接する?じゃないけど。電車止まっている間ずっと眼鏡拭いている人いてさ。なんかね。動画に撮りたくなるような可愛さ?あったんだよ」
「杏奈ちゃんの感覚もなかなかだと思うけどー。て、まあ電車止まって、何も持ってなかったらあるものいじるしかないじゃん」
「まあそうなんだけどさー」
急にみんなが昨日ので電車乗っていたで盛り上がっているが。話を戻そう。
「あのさ。マジで帰って。俺寝た――って、電車の話しているが。なんか重要な事その前に話したような……気のせいか?って、それより。帰ってくれ」
みんなに言いつつ。なんか引っかかることが――と、思った俺だったが。昨日も遅くて今日も遅いのはまた明日辛いということで、頭の中のもやもやは一度停止。そのあとは何とか3人に帰ってもらうことに――。
「うーん。なんか。忘れてるっていうか――おかしい?そうだよね。なんか変?」
成功。とはならなかった。
いい感じに帰る雰囲気にはできたのだが。さあ立ち上がってあとは出て行ってもらうだけ。というときになって、柊花がふと何かに気が付いたらしく。俺の部屋のベッドから動かなくなってしまった。まるで考える人――だったな。
でも一瞬封印したが。俺もなんか頭の中で引っかかることがやっぱりあるんだよな。何かはわからないんだが――。
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