第1章 日常

1-1 いつもの事

 11月28日朝。

 

 車両故障による運転見合わせで、家に帰るのが遅くなった――という出来事から数時間。 

 俺は大学へとやってきていた。

 というか、ほとんど寝た気がしない。身体が重い。

 昨日というか。もう今日か。駅近くで一心と別れたあと、俺は『眠い――早く横になりたい。座りっぱなしは疲れた――』などなど思いつつ。現在1人暮らしをしているアパートへ帰ってそのままベッドにぶっ倒れ。というか。運転見合わせで車内に缶詰の疲れより。一心の相手をしていた疲れがあり。何もしないで寝た――と、思ったらアラームが鳴った。

 一応1人暮らしを始めて2年目の俺。あっ、ちなみに俺大学2年生ね。1人暮らしを始めてからだらしない生活はしないように――と、基本毎日決まった時間に起きれるようにアラームをかけていた。

 かけていたがために、夢の中――へと入る前にとっととまた起こされた俺だった。まあ起きないと今日の大学の1限に間に合わなかったんだがな。って、習慣ってすごいってか。なんとなくいつも通り起きれるもんだね。疲れていても。

 ということで、アラームにより。睡眠時間は少なかったが起きたことにより俺はさっとシャワーを浴びてから大学へと向かい。大学の講義室に入ったところで先ほどコンビニでゲットしたパンをかじりつつ。講義の開始を待っているところだ。


 カシャ。


 すると、急に近くからカメラのシャッター音が聞こえた。パンをかじったままの俺は音の方を見ると――。


「おはよう。由悠」

 

 何故か俺の方に携帯に付いているレンズを向けている友人が居た。


「――っん。って、柊花しゅうかよ。朝から何をしているか。ってか、したか」

「間抜けな顔の由悠もおもしろいなって」


 食べていたパンを飲み込んだ後。俺が返事をすると何事もなかったように携帯を片付ける友人。そして本当に何もなかったように俺の座っていた席の隣に荷物を置いた。って、朝から失礼な事言われたよな?


「今撮った写真消せ」

「あっ、写メ送ってほしい?」


 先ほどのシャッター音は確実に何か撮っている。そのため俺が消すように催促しても、何故か笑顔の友人。

 ちょっと情報をプラスしておくと。俺の隣に座ったのは、神明しんめい柊花柊花。同級生。腰まである長いまっすぐの髪が特徴で、雰囲気は大人の女性とでもいうか。何も言わず。せずに座っていれば本当に大人の女性。どっかの仕事ができる?秘書みたいな奴なのだが。俺とは高校から同じということもあってか。仲が良いというのか俺の前では基本いたずらっ子?普段大人しい雰囲気の反動みたいな姿をちょくちょく見せてくる友人だ。


「いるか。削除だ削除」

「ってか、由悠も夜更かししてた?」

「えっ?」

「めっちゃ眠そうだねー。昨日は由悠バイトじゃない言ってなかった?」


 写真を消す気がないのか――などと俺が思っていると、柊花が俺の顔を覗き込んできた。

 ちなみにもし柊花のことを知らない男がこんなことをされたら一目惚れ――なのかは知らんが。ドキッとするかもしれないが。いや、綺麗な整った顔が目の前だからな。でも俺にはそんなのもう通用しない。慣れた。って、今なんかひっかかる言い方ってか――あっ、そうか。


「昨日いろいろあってね。って、俺?柊花も夜更かしか?バイト?」

「まあヘルプがあったのはあったんだけどね。そのあとまるで由悠と一緒にいる時みたいにちょっとあって」

「俺といる時ってなんだよ」

「そりゃもちろん。横山由悠が歩けばトラブルまつりだろ」


 本当は柊花に何があったのか聞きたかったが。ここでうるさい声が乱入してきた。

 誰とは本当は説明したくないが。一心だ。そりゃ同じ大学同じ学年同じ学科なんでね。基本講義が重なることは多いので会う確率は高い。仕方のないことだ。


「おはよ。一心は今日も元気だね」


 柊花は少し呆れつつと言った表情で一心に挨拶をする。


「おう。っか、なんで由悠と柊花が一緒に居るのに俺は呼ばれてないんだよ。おかしいだろ?」

「いや」

「特におかしくはないと思うよ?」

「2人が酷い!」


 1人でなんか叫んでいる一心。周りから不思議そうな視線を感じるが――俺は知らん。ちなみに柊花は俺と高校から同じということは、小学校からずっと同じ一心とも高校からの接点があるということで――まあ俺に接するときと同じような感じで話している。

 一心がオーバーリアクションなのは、多分柊花の気をひきたいのだろうが――まあ上手くいくことはないだろう。いつも軽くあしらわれているので。


「っか、そうだよ。横山由悠が歩けばトラブルまつり」

「なんで再度変な事言うかね?」

「いや、今柊花が言っていたじゃないか。聞こえてたぞ」

「どんだけ耳いいんだか。っかいつから来ていた――」


 俺としてはその話知っているというか。一心がよくよく話してくるので、もううんざりなのだが――一心が話し出すと止まらないのでもうあきらめかけていると。


「由悠と言えば、あれは――小学校の時か」


 なんか始まった。


「いや、そんな話急に要らん」

「夏休みの宿題で賞をとった由悠。体育館で壇上に上がると――」

「上がると?」

「柊花も興味を持つな」

「いや、小学校とかの由悠ってあまり知らないし」

「――もういいわ」


 これは講義が始まるまで続くか――と、本当に俺が諦めると、一心が何故か得意げに話し出した。というか――俺としてはマジで話さなくていいことなんだが――。


「壇上の上にある幕が落ちてくる」

「えっ、それ由悠大丈夫だったの?」


 無事でした。というかマジで一心の話は事実というね。


「ギリだな。壇上の机の前に落ちてステージに穴開けたんよ」


 そうそうマジで目の前にガッシャン。あれは――ガチで怖かったな。ちなみにそんな事故?があったため。俺の表彰式?まあうやむやで消えました。


「さらにさらに、同じ日だったな。日直だった悠宇が帰りの会のあと、黒板を消していると――」

「黒板が落ちたとか?」


 柊花よ。それは俺多分マジで怪我してる――って、まあでも怪我しそうなことがあったんだが。


「違うんだな。黒板消して。黒板消しのスイッチ入れたら爆発よ」

「えっ?なんで?」

「わからん。でも爆発。由悠真っ白で爆笑よ」


 あれ絶対人体に害がない――と言っていた気がするが。大量に吸ったらどうなんだろうね?っか害あるんじゃね?って、ちなみにマジで爆発。原因は多分だが劣化というべきか。電源のコードがショート?何かに踏まれて切れたのか。またはねじれていたまま長期間――とかでとにかく断線?まあそしたらたまたま派手にぶっ飛んだと。


「由悠。毎日なんかしてたの?」

「俺は知らん。というか被害者」


 そう、マジでいろいろ起こることはあるが――俺が原因。なんかミスったってないんだよ。多分。


「あとは、社会見学でもだったな」

「何あったの?」

「由悠が移動の時バス乗ったらいきなりタイヤパンク」


 いやいやそんな事ないだろうと思うが。実際パンクしてそのあとの予定が全部消えた。っか、パンクは俺絶対関係ない。たまたま俺がバス。観光バスな。に、乗ろうと手すり持って足を一歩――って時にいきなりパン!だからな。俺の左側でなんかはじけましてよ。バスがゆっくり傾くわけ。そしてあっという間にタイヤぺっちゃんこ。そんなことあるか!?だったな。って、これはマジで俺関係ない。たまたま俺が乗るときだっただけ。


「悠宇。実はタイヤ蹴った?」

「そんな事するわけないし。そんなことでパンクしたらあちらこちらで日々パンクしてるわ」


 話を聞いていた柊花が楽しそうに俺に聞いてくる――って、この時間なんだよ。マジでと、俺が思っている間も一心はまだ話していた。


「まだまだあるぞ。ネタに困らないレベルでな。あっ、あと小学校と言えば5年の時か。由悠がクラスの女子生徒ずぶ濡れにする事件もあったな」

「ちょっと、由悠。そんな悪ガキだったの?ってか、酷いことしてたんだ。意外」

「いやいや、待て。俺は悪くない」

「あれはプール掃除の時だった。プールの中やプール再度とかをみんなで掃除をしていた時。由悠は先生に言われ。プールに水を入れるところを掃除していた」


 ――そうそう、していた。みんながワイワイブラシとかでプールを掃除している時。ブラシの数が足らなくて、俺が余っていると担任の先生が。水が出るところも綺麗に磨いておくか。的な事言い出して、俺と先生がそこの掃除を開始。まあ簡単に言えば大きな水道の蛇口?みたいな形をしていたところを拭いていると――。


「そしたらだ。ドドドドド。と、かいきなり言い出してよ。水がブシャー!よ、そしてプール内で掃除していたやつらのほとんどがたまたまその近くにいて全員全身ずぶ濡れ。泣く子も出るわで大騒ぎー」

「由悠――そんな事しちゃダメでしょ」

「いや待て、俺は拭いていただけだし。ちなみ水が噴き出したのにも理由がある。プール掃除を俺たちがしている時。他の先生がちゃんと水が出るかの確認をしていて、その際シャワーのところの水を試すはずが。間違えてプールの方を全開にしたから――ってわかってるからな」


 そう、ガチで俺は拭いていただけ。そしたら急に音がしてきて水が噴き出し――である。俺も驚いたよ。いきなりなんか小刻みに――からの水がドバーだし。ちなみに一心は女子――とか言ってるが男女関係なく近くに居た奴が濡れたである。


「小学生のガキの頃からやらかしている由悠だな。ちなみに中学ではパワーアップするぞ」


 ――まあ中学でもなぜか知らないが。いろいろあったな。そういや防犯教室で、生徒代表に選ばれて自転車の正しい乗りかた――みたいなのを警察の人に教えてもらいながら単に体育館の中で自転車に乗る――っていうのがあったが。 

 俺が警察の人から借りた自転車。俺が言われた通り漕ぎ出して――ブレーキを言われたところでかけるだけだったのに、何故かブレーキかけたらブレーキがぶっ壊れてそのまま体育館の入り口のドアに突っ込んでガラス粉々にしたな――と。って、あれは整備不良というかなんというか。俺が乗る前までは別の生徒が乗っていたのに、俺が乗ったら突然だったからな。まああれはあれで騒ぎになったな。交通安全の教室で自転車暴走。生徒怪我だし。うん。さすがにガラスに突っ込んだら切り傷くらいあったわ。って、それで済んだんだが――まあのときは周りがドタバタだったな。って、俺はなんでこんなどうでもいいことを思い出しているのか。とりあえず一心が悪いな。一心が話し出したからだ、っか、今もなんか柊花にまだ昔の事話してるし。っか、これいつまで続くの?と、思ったところでやっと予鈴がなり。担当の先生が入って来るのが見えたため。一心の昔話?は終わったのだった。

 っか、今までの一心の話が全部ガチでホントであり。こんな出来事話し出したらもうそれはそれはまだまだあるというね。って、ホント俺の周りなんかいろいろあるんだよな。今もだが。

 ――今日は平和。平凡であってほしいよ。


 あれ?そういえば俺の昔話になったが――一心が話に入って来る前何話していた?なんか――柊花と話して――ダメだ。眠い。睡魔が勝つ。思い出せないし。まあいいや。

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