5-3 ぐちゃぐちゃだ

「――くっ。あ、穴川!!」


 まぶしさで目が開けられなかったが。何かをされたことは確実だったので、俺はとりあえず叫んだ。

 が、穴川の声がすることはなかった。

 そして不思議なことに先ほどまで外に居たはずなのに急に周りの感じというのだろうか?直感というべきかもしれないが。自分の居る周りで何かが変わった気がして恐る恐る俺は目を開けてみた。


「――どうなっているんだ?」


 目を開けた俺の視線に飛び込んできたのは――ガラスに映る自分の驚いた表情だった。

 正確に言うと、ここは――。


「なんで俺電車の中に居るんだ?」


 確かに先ほどまで俺は外に居た。と、ともに一緒に外に居たら。穴川とか言う自称天才?とにかく怪しい奴に話しかけられて、やよっちが急に消えて、俺が穴川に問いただそうとしたらまぶしくて――考えれば先ほどまでのこと。記憶はちゃんとある。

 しかし今は電車の中。

 そしてふと正面を見て気が付いたが時間もおかしい。先ほどは昼間だったというのに今は真っ暗の様だ。電車の窓の外が真っ暗だか――いや、これはトンネルの中か?

 未だに頭の中が混乱している俺は一歩二歩とガラスの方に近寄る。

 そしてガラスに張り付くように外の様子を見ると――コンクリート?の壁と蛍光管の明かりが少し先に見えた。

 つまりここは電車の中。そしてトンネルの中で、電車が止まっているらしい。

 何故トンネルの中に電車が止まっているのかはわからないが。とりあえず俺は電車がトンネル内に居ることはわかった。

 そして俺は今更ながらあたりを見回す。

 ちなみに誰かが居ればすでに俺が先ほど挙げた声などで反応している人が居るだろうが。それがなかったことからもこの車両には俺1人しかいないと思っていたが。改めて見ると本当に俺一人しかいなかったが。見渡すと何やら見覚えがある気がしてきた。


「この電車。いつも乗っている電車?だよな。って、待てよ。この感じなんか最近あった気がするぞ?」


 車内を見つつ俺は記憶の整理をする。

 

「――そうだ。そうだよ。確か一心と一緒に最終電車乗った時。ってまだ数日前の事か」


 そして俺はつい最近同じようなことを経験した。と、気が付いた時だった。


 ガシャン。ガシャン。


 急に車両間を移動するためのドアが乱暴に開けられる音がした。


 ◆


『ぬわっ。なんだ』

『きゃあっ』

『まぶしい――』

『――』


 それは一瞬の事だった。足が死ぬほど痛かったが。それどころではなく必死に俺は柊花たちを探し大学内から脱出。

 そしてなんか人とあまりすれ違わなかったがそれが幸いしてか。勘で駅へと向かった俺は柊花たちと合流することができた。


『しまった。こいつもだったか。巻き込まれた人間はこの空間に勝手に入ることができるのか――あー、ホント面倒なことに』


 その場には何故か知らない白衣の男もいたが。そんな事は関係なく。また何か意味の分からないことを言っていたが。そんな事も無視して、俺は先ほど思い出したこと。のことを柊花に告げようと必死に叫んだ。

 すると柊花の表情が変わり。多分俺と同じくなんで忘れていたのか。とかいう感じがあったが。そんな柊花の表情を見つつ走っている間に俺は柊花と杏奈。あと舞悠と合流――だったのが。その瞬間急にまぶしくなった――と、思ったら今だった。

 

「なんだ。どうなっている?」


 つい先ほどまで俺は駅に居たはずなのに今は電車の中に居る。

 なお、足は痛いが――そんなのどうでもいい。痛みよりなんか身体が動けと言っている気がする。痛いが――。

 っか、せっかく柊花と杏奈――うん?誰かもう1人――って、そうだ。由悠と合流――いや、由悠が居ないことを思い出して、柊花と杏奈と合流したところで急にまぶしくて――などと先ほどまでのことは覚えているが。俺が近くを見回しても誰もいない。というか俺が今いる電車の中。誰もいない。俺1人しかいない。

 そして何故か電車が止まってるらしく。無駄に静かだ。

 

 俺は慌てて電車の連結部分の方に走り車両間の連絡通路。ドアを乱暴に開けた。


 ガシャン。ガシャン。


「「「きゃあああああ」」」

「ぬわあっ」


 すると、車両間を移動する際には2枚ドアがあるのだが。2枚目のドアを開けると、いきなり悲鳴がいくつか聞こえた――が。


「――って一心」

「最低。何よ驚かせないでよ」


 次の瞬間には冷たい雰囲気が俺に刺さった。


「――」

「――なんだ。磯部か。驚かすな」

「――えっと――うん?どういう組み合わせだ?」


 隣の車両へと移動した俺が見たのは、柊花と杏奈。2人が抱き合っていた。まあ、ここまではいい。だって先ほどまで一緒に居たはずなんだから。それが合流しただけ。

 なのだが――柊花と杏奈以外にまだ2居た。

 1人は栗色のボブカット姿の女子。身長は低め。かわいい子だが。俺は始めましてか。こんなかわいい子いるとか――って、それは今はちょっと置いておき。

 柊花たちと知らない女子と、もう1人。男が居た。

 ちなみにその男――というとだが。先輩は俺の知ってる人物だった。


「――なんで高田たかだ先輩もいるんですか?」


 高田たかだ太一たいち。俺たちの通う大学の先輩。丸メガネをいつも愛用している現在大学3年生――だと思う人。いや、なんかずっと大学居る先輩でよ。まあ今は割愛するが。多分留年しまくっている先輩だ。ちなみに物知りなのは物知りな先輩で多分それは長年大学に居る?から知ってる。身に着けたであろう知識がある先輩で試験とかいろいろ俺は利用――いや、助けてもらっている。

 って――あれ?なんでマジで居るんだ?さっきまでいなかったよな。


「いや、たまたま乗っていた電車が異音を感知したとかで止まっていたら――なんか気が付いたらこの女性が居て。って、急に現れた言うか――いや、なんか俺も寝ていたのか何か忘れているというか。寝ぼけていた可能性もあるが。まあとにかく女性が居て、2人しか車内に居なかったからどういうことだ?と思ったら隣の車両からまたこの2人が来て――」


 すると高田先輩が説明を開始してくれて、杏奈の方を見た。そして少し話した後に今度は柊花と――もう1人柊花と一緒に居た女子の方を先輩は見た。


「たまたま電車ですか――って、柊花。俺たち駅に居なかったか?」

「あっ、やっぱそうだよね?」


 いまいちなんで俺が電車に乗っているのか。また柊花と杏奈とバラバラになったのか。わからないことが多いが。今はとにかく柊花と杏奈とは会えたので、俺は確認のため柊花の方を見て聞いた。

 すると柊花もだよね。だよね。といった感じで俺の話に食いついてきた。

 杏奈はいつも通り不機嫌そうに俺を見ているが――今はそれどころじゃないので俺は話を続けた。


「居たよな?そしたら――ここ?」

「そうそう、この電車の中。ちなみに私と――この子。えっと――舞悠?ちゃんだっけ?」


 俺と柊花が話していると。先ほどから一緒に居た女子が慌てながら頭を下げてきた。


「えっ、あっ。はい。えっと、松山まつやま舞悠まゆです。なんか私も気が付いたら電車に――」

「ちなみに私たちはもう一つ隣の車両に居て、さっきこっちに来たの」


 舞悠というやつが、手短に自己紹介をした後自分の状況も簡単に話すとすぐに柊花が話を続けた。するとめんどくさそうに杏奈も口を挟んできた。


「私とこの人がこの車両に居たの」

 

 杏奈が話ながら高田先輩の方を見た。というか。杏奈かなり先輩の方を怪しそうに見ているが――まあ高田先輩だからな。知っている人は知っている博士。ってか、まあ見た目が怪しいちゃ怪しいか。だが、それは今はいいとして。とか思っていると、杏奈がさらに話を続けた。


「柊花がこの子連れて来て――少し話したらキモイのが行きなり入って来たわけ」

「俺の名前がおかしい!って、それは今はいいか。って、えっと、そうじゃ無くてだな。柊花。由悠は?」


 杏奈の言葉に対して言いたい事が――だったが。それより俺は頭の中に強く――とでもいうのか。絶対確認しなければいけないと思っていたことを柊花に問いかけた。


「いない。ってか、とりあえず杏奈ちゃんと一心と合流できたのは良いことかな?って、なんでさっき駅に居たはずなのに――いつの間に?ってか、この電車止まってるよね?」


 由悠はここに居ないのか――と、思いつつつもどうもおかしな状況らしいので俺は自分の知っていることは先に話すことにした。


「多分トンネルの中だ。さっき窓から見た」

「あー、なるほど、確かに言われればトンネルか」


 俺が言うと高田先輩がそう呟きながら窓ガラスの方に移動して自分の目で確認していた。

 

「ってかさ。なんで私たちしかいないわけ?っか由悠?」


 すると、杏奈があたりを見ながら俺たちに問いかけてきた。って、あれ?杏奈は由悠の事知らないんだっけか?あれ――そうか。接点ないのか?いや、あれ?あったような――いや、今はいいか。と、いろいろ違和感があった気がするがその時だった。

 

『――くっ。あ、穴川!!』


 俺が先ほど気が付いた車両。やって来た方で声が聞こえた。それも――知ってる声が。

 

「――うん?なあ今なんか――由悠?の声が――」

「うん。今の声。由悠だと思う」


 俺が声の聞こえた車両の方を見つつつぶやくと隣に居た柊花が反応し。俺と同じ方向。確か先ほどまでは誰もいなかった車両の方を見ていた。

 でもおかしな気もする。

 さっき俺は声の聞こえた方の車両から来た。

 その際は俺1人しかいなかったのに――何故今由悠の声が?

 なんかおかしなことが起きているというか――。


「もしかしてまたいつもの由悠のトラブルメーカーに俺たち巻き込まれているか?今回は――こういうのなんだ?神隠しか?って、とにかく行くぞ」


 一瞬だけいつもの感じ。由悠と居るとなんにか起こるということをふと思い出い出した俺だったが。今は由悠かどうか確認する方が先かと、自分で余計なことを口にした後。特に誰かの返事を待つことなく。足を動かしだす。

 ってか――やっぱり足痛いかも――でも今ここで足が!って叫んでも柊花にも杏奈にも相手にされない――って、杏奈にはいつも相手にされてないか。まあ無駄な時間になりそうだったので特に何も言わず動き出す。


「みんなも行こう。なんか一緒に動いた方がいい気がする」


 すると、俺に続くように。しかしいつも以上に緊張感?を持った感じの柊花の声が後ろで聞こえて来てから。


「えっ、ああ。とりあえず行くか」

「わかりました」

「あー、バタバタね」


 高田先輩。あと――舞悠?だったか。それと杏奈の声も聞こえ俺の後ろをみんなが付いてくる感じになった。

 そしてそのまま俺は先ほども開けた連結部分のドアを開ける。

 

 ガシャン。ガシャン。


 すると先ほどまで俺の居た車両には何故か――由悠が少し混乱?困惑?した様子で立って、ちょうどこちらを見たところだった。

 いろいろあったがとりあえず由悠の姿を確認できた俺だった。


 ◆

 

 電車が動き出したわけではなく。

 急に車両の連結部分にあるドアが乱暴に開けられる音がして俺がそちらを見ると――まず一心の姿。そしてその後ろから柊花。そして赤崎さん。さらには何故か高田先輩。一心の知り合いの先輩でなんか気が付くと俺もちょくちょく会うことがある先輩がいて――さらにさらにその後ろからはまで付いてきた。

 どんなメンバーだ?この組み合わせが居るのは初めて見た気がする――などと思っているうちに一心が俺のところまで来た。


「由悠。無事か」

「ああ。っかこれどういう状況だ?」

「わからん」

「――マジか」


 何か知っているかも――という俺の期待はあっさり切られた。

 まあ一心だから期待はしていなかったが。などと思っていると柊花と赤崎さんもやって来た。


「由悠。何が起きたの?」

「あー、いや、俺も何がなんやら――でも柊花とも無事みたいでよかった」

「――うん?あれ?私の事知ってるの?どっかで話した?」

「えっ?」


 柊花に声をかけてから、赤崎さんにも声をかけると、つい最近知り合ったばかりのはずなのに何故か赤崎さんから初対面?の様は反応をされたので俺は一瞬惑う。


「柊花とこのキモイのは知ってるけど――あんたが2人が言っていた由悠?」

「えっと――うん。確か数日前に――話さなかった?」

「そうだった?ごめん忘れた」


 赤崎さんは嘘を言っている雰囲気はなかった。もしかして先ほどからの変なことで少し混乱している?などと俺は思ったが。


「あー、うん、まあ今はいいか」


 どうやら俺の存在はあまり濃くないので忘れられたようだ。ということにして赤崎さんは軽く流し。何故ここに居るのかちょっと俺は混乱しつつも。でも何か知ってるかもしれないと思い。高田先輩の方を次は見た。


「高田先輩。今がどういう状況かわかっていたり――しますか?」

「全くわからないね。というか。ちょっとうとうとしていたのか。さっき俺――何してたんだったか。なんかあった気がするが。気が付いたら、こいつが覗き込んできてたんだよ」

「――こいつ?」


 高田先輩は赤崎さんの方を見つつ言う。

 赤崎さんの方は迷惑そうに高田先輩を見ている。なお、今下手なことを赤崎さんに言うとキレられそうな気がする。というかそんな雰囲気があるので赤崎さんには触れずに話を続けた。


「えっと、まあつまり高田先輩も何が何だか――ですか」

「だな。っか、なんで電車止まってるんだ?」

「えっと――なんでというか。多分何かあったというか。なあ一心」

「うん?」

「今状況少し前にあったよな?まあみんなはいなかったが」

「少し前?」

「いやだから――3日くらい前?ほら、一心と出かけた日だから――27日か?だな、11月27日」

「うーん……あ、あー、そうか。あれ?なんで忘れていた――ってか。あー、急に脳内がすっきりした気がする」


 俺が一心に確認するとどうやら一心は少し忘れていた?まだ数日前なんだがな。でも少し考えたら思い出したのか。頷きながら返事をした。ってかまるで何かに目覚めたように頷いているが。単に数日前の事なんだがな。


「そうだよ。なんで忘れていたってか。この感じ。電車がトンネル内ってあの時と同じじゃねえか。っか、柊花。お前もいたんじゃなかったか?」

「えっ?何のこと?」


 おいおい、ここに居るのは皆大学生のはず。なんでみんな数日前の記憶がないんだよ。などと俺が思っていると。一心が何冗談言ってるんだ。みたいな感じでさらに柊花に確認をした。


「いやだから――俺と由悠が乗っていた電車が止まった――とか次の日話したら柊花も乗ってた言ってただろうが」

「そんな事――うん?あれ?あー!あれ?あったね。そういえばあれ?なんですっかり忘れて――」


 一心が熱心?に柊花に確認すると。不思議なことに――ではないが。急に柊花も何か気が付いたかのように。少し驚いた感じで一心に返事をしていた。

 ってか、なんで忘れている――というのもあるが。でも今はそれはいいとして。とにかくなんか似た状況――って、電車が止まってるのもだが。俺たちしかいないってのがおかしくないか?などと思っていると――高田先輩が俺たちの会話に入って来た。


「おーい。3人。ちなみにだけど――今日11月27日――あっ、もう28日か。うん28日だけど?」

「「「――えっ?」」」


 高田先輩がスマホの画面を俺たちに見せてくる。

 そこには11月28日の表示と深夜2時――の表示が出ていた。


「――うん?」

「あれ?なんでだ?」

「どういうこと?」


 高田先輩に言われて俺たち3人が混乱する。


「杏奈ちゃん今日28日?」


 すぐに柊花は赤崎さんにも確認していたが。どうやら赤崎さんも高田先輩と同じ認識らしく。

 

「柊花この人の言う通り今は28だよ?」


 すぐに返事をしていた。

 

 何がどうなっておるのか。どうしてここにいるのかもだが。先ほどまで――って、一心たちに会えたから忘れかけていたが。他にも大事なことあるじゃないか。


 一瞬高田先輩の言葉で日にちがおかしいと思ったが。 

 それよりおかしいこと。そうだよ。俺はあの白衣の男性。穴川とか言うやつに――と、いうことを思い出した。


「そうだよ!」

「な、なんだよ。由悠急に大声出して」

「や、一心たち白衣の男。見なかったか?穴川ってやつなんだけど」

「いや、ここに居るやつら以外この電車は誰もいなくねえか?」

「柊花たちも?」

「えっ?白衣?うーん一心の言うように見なかったけど――」

「あれ?ついさっきまで――ってか、そうだ。は?」


 穴川のインパクトが強すぎてこちらも忘れかけていた。

 少し前に急に姿を消したやよっちのこともみんなに確認するが――。


「やよっち?誰だそれ?」

「やよっち――由悠の友達?初めて聞く名前だけど」

「えっ?あれ?そういえば――」


 俺がやよっちのことを聞くとすぐに一心と柊花が反応してくれたが。2人は誰のことを言っているのかわからない様子だったが――。

 2人の様子を見ていると急に俺の頭の中も変な感じがした。


 やよっちと一心、柊花が一緒に居た感じがなかったのだ。

 同じ大学――と、そこまで考えた時。何故か急に俺の記憶がおかしくなったとでもいうのか。何故かやよっちとの記憶が1ことに気が付いた。

 そんなはずはない。ついさっきまで――と、俺が記憶を思い出そうとしたとき。


「――やよっち――やよっち――うん?あれ?」


 この場に来てからほとんど声を出さすに俺たちのやり取りを見ていた松山さんが急に何かぶつぶつ言い出した。


「――松山さん?もしかしてやよっち知ってる?」


 なので俺が松山さんに声をかけると――何故か一心と柊花が少し驚いた感じで俺に話しかけてきた。


「うん?あれ?由悠、舞悠と知り合いだったのか?」

「あー、そうだったの?知らなかった」

「うん?」


 いやいや、なんでそうなる?松山さんとは知り合ったばかりだが。2人知ってるだろなどと俺が言おうとすると――。


「あ!そうだ!やよっち。そうだ。なんで私やよっちの事忘れて――えっ?あれ?」

「えっ、松山さん?大丈夫?」


 急に松山さんが頭を抱えるようにその場にしゃがみこんだので俺はとっさに松山さんの隣にしゃがむ。

 それに続くように柊花がしゃがんできた。

 一心と赤崎さん。高田先輩もこちらの様子を見ている。


「だ。大丈夫です――でもなんか。記憶がおかしいと言いますか――うまく思い出せない――」


 松山さんはしゃがみこんだまま何かを必死に思い出そう?としている感じだった。

 松山さんに何があったのかはわからないが。でもに反応した?と、俺が思っていると――。


「――お前ら。面白すぎるだろ」


 急に新しい声が俺たちの会話に入って来たが。俺はその声を知っていた。

 そのため俺はまだ姿は見ていなかったが。すぐに声の方に反応できた。

 振り向くと同時に予想通りの人物が立っていた。


「お前――穴川!」

「やっぱり横山君は覚えてるかー拍手拍手」


 白衣の男性。 

 少し前に俺とやよっちの前にやって来て急にやよっちを消したと思われるやつ。

 明らかに――敵と、俺は思いつつ穴川を睨んだ。

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