5-2 マジック――?
『あー、もうめちゃくちゃになっているじゃねえか』
やよっちと大学の空き時間を使いお昼ご飯を食べに来たら。やって来たお店がつぶれていた。
まあつぶれていただけなら、突然何かあったということも考えらるが。今回はちょっと違った。お店の中はまるで営業している様子があるなどいろいろとおかしい――と、いうところでお店にも入ることが出来ず。俺とやよっちとが言い合いをしていると突然白衣を着た男性が現れた。
「ひっ!?」
「誰だ」
とっさに声のした方を俺が見ると、だらしない?姿の白衣を着た男性が立っていた。
そして突然現れた男に驚いたのだろう。
やよっちは俺の後ろへとすぐに隠れた。
ちなみに見覚えは――あれ?ある気がする。
「――白衣の男――?どこだ?どこかで見た気がする……」
白衣と聞くと病院のイメージが俺にはあったが。特にここ最近病院に行った記憶はない。けれど、この男どこかで見た気がする――誰かが何か――いや、そんなことはなかったと思うが――でも何故か見覚えがある気がする。
「いきなりなんなんですかね」
俺が考え事を見つつ白衣の男性を注目していると、軽く俺の服を引っ張りつつ後ろに隠れていたやよっちが小声で俺に話しかけてきた。
「わからん」
「――関わらない方が良くないですか」
「確かにそうだな。でも――白衣?どこかで――」
やよっちの言う通り関わって良いことがある雰囲気はない。何なら何も考えることなく立ち去るのがベスト。などと思っていると、白衣の男性が呆れつつ?も俺たちの方を見て何故か笑みをこぼした。
「ほー、お前は何か耐性がありそうだな」
「えっ?」
そして白衣の男性が俺の方を見てそんなことを言い出した。
「普通なら俺のことは覚えていてもらっては困る。現にあいつらの中には俺のことを覚えている奴はいなかった」
「――あいつら?」
「それはわからんか。まあでもそれを覚えていたら今のお前はこんな普通に生活しているわけないわな。俺が作った世界で」
「「へっ?」」
唐突になんか飛んでもないことを言い出した白衣の男性。もちろんの事ながら頭の中の整理が追いつかない。俺の作った世界?
「まあお前たちには理解できないことだ。あー、そこの女は特にわからないだろうな」
「――私?」
白衣の男性は少し首を動かし俺の後ろを見る仕草。覗く仕草をした。
つまりやよっちに向かって話しているらしいので、自然と俺は後ろに居るやよっちを見るが――。
「――何言ってんのこの人」
やよっちの方は困惑。何を言っているのか意味が分からない様子だ。
「まあもうすぐ忘れるだろうし。こっちは2人しかいないから。向こうほどややこしくならないだろうし。せっかくだから話してやろうか。向こうは騒がしいのが居たからな。とりあえず戻しただけでなんの自慢もできなかったからな」
「――ホントあの人何言ってるの?」
「――俺に聞かれてもわからん。怪しさしかないが――何かしてくる様子もないし――謎だ」
すると白衣の男性は何故か勝手に話を始めた。
特に俺とやよっちが聞いているかの確認はせず勝手に話している見たいだったからか。すぐにやよっちが小声で俺に再度話しかけてきた。
「そうそう、一応お前はなんか面白そうだし。もう少し情報を与えて様子を見させてもらうか――横山由悠」
「!?」
すると、急に白衣の男性が俺の名前を言ってきた。
というか何故知っている。
「何故知っているかって?まあちょっとミスでいろいろあった中であいつらが名前だけは何故か思い出していたからな。ちょっと気になって調べたからね。あ―別に何か他の事。僕の実験以外は利用しないから安心してくれ」
「――」
全く安心できない。
というか。先ほどから出てくるあいつらとかがわからない。あの白衣の男性はまるで知り合い。それも俺の知り合い?みたいな雰囲気で話している気がするが。俺に心当たりがある人はいない。
勝手にこちらを困惑させるために話していると思うが――でも何故か本当のことを話しているように聞こえてしまう。
「さっきも言ったけど、君は何か面白そうな耐性があるね。間違いなく。まあ特に脅威とかではないと思うけど。でも何故か君の周りだけ。いや、これは――君にかかわりが深くある人もその影響を少なからず受けているのかもしれないけど――まあとにかく。君は何かある。心当たりはあるか?」
「――」
「まあないだろうけどね。あったらもっと何か行動を君が起こしているだろう。まあ何もせずに普通に過ごしていてくれて助かったよ。すぐに見つけれたし。というか。こっちならまあ見つけやすいか。まだ人は少ないし――どうやら特に気にしてないか。というか興味なさそうだな」
質問されても俺が答えることなく。白衣の男性が勝手に決めつけていき話が進むため。俺とやよっちは白衣の男性の話を一応聞きつつも――いつでも逃げれるようにあたりを確認していた。
そのため。今白衣の男が言った言葉に俺とやよっちは反応できなかった。そして反応しなかった俺たちに白衣の男性も気が付いた様子だった。
そしてやれやれといった仕草をした後。
「まあいいや、やっぱ話すの面倒だし。とりあえずとっとと返すか。おい。そこの女。横山君から離れてくれ。早く終わらしたいから」
「な、なんでよ」
急にやよっちに対して俺から離れるように指示してきたため。俺も再度白衣の男性の方を見た。
ちなみにやよっちは離れる素振りはなく。俺の服をしっかり握りしめている。
「いや、頼むから面倒な事これ以上増やさないでくれ。じゃなくてもまだいろいろ確認が居るんだからな」
「――さっきから何言ってるんだよ」
「まあまあそんな睨まなくてもいいだろ。君は皆のところに帰るだけだ」
「――みんなのところ?」
勝手なことばかり言ってくる白衣の男性に対して俺が少しイライラしつつ聞き返す。すると、白衣の男性は胸ポケットから――カメラ?インスタントカメラの上部に何か追加のライト?みたいなものが付いた物を取り出しつつ話を続けた。
っか何するつもりだよ。などと俺は思いつつ。少し白衣の男性の警戒レベルを上げるが。特にこちらに攻撃をしてくる素振りはなく。その取り出したカメラを触りつつ。俺たちの方は見ず。白衣の男性は話を続けた。
「結局話すことになってるよって、まあいいか。とりあえず横山由悠。君はこの世界。僕の作った世界にはいない存在だ。君らはたまたま僕の実験に巻き込まれた。というか。こちらが先に準備していたところで、電車が止まっているとか聞いてないんだけど?」
「――電車?」
白衣の男はこちらを見ずに話している為。俺のつぶやきはスルーされる。
「本来なら僕は全く関係ないけど、ちょっとしたズレで僕の世界に横山君が来ちゃうし。残りは残りでちょっとイレギュラーな空間に行っちゃうし。まあ例えるなら。Aの世界の居た君たちが勝手に僕の実験中にその場に居て、僕の世界に来ちゃって。そのあとちゃんと僕が君たちを戻してあげようとしたら、何故か君だけこっちに残っているし。多分向こうは向こうで何らかのズレ。まあ君が変な耐性あるみたいだからその影響を受けたのか。元のA世界に近いA´みたいな世界に行っちゃうし。まあそれはそれで。新しいことができることがわかって僕は嬉しかったけど。って、まあとにかく、横山君はこのままここに居てもいいけど。ここは僕の世界。そのうち不都合が起きて、消えちゃうかもね」
「――消える?」
「そうそう、消えるの」
今度は俺のつぶやきに白衣の男性が反応した。そしてこちら。俺たちを見た。
「ちなみに、横山君の後ろに居る女。君は――僕が作った物だからそのうち完全に存在が消えるから安心して」
「――へっ?」
「おい。お前」
「お前って酷いな。横山君を戻してあげるために動いているのに――って、自己紹介してなかったか。まあしても次の瞬間には忘れるだろうけど。いいか。自己紹介しよう。僕は
「「……」」
自己紹介を今更し出した――と、思ったが。いきなりかっこつけるだけの変人だったので、俺とやよっちはそれぞれ男の方へと冷たい視線を気が付いたら送っていた。
本来なら、先ほどやよっちに対して、俺が作った物とかいう意味の分からないことをっていたので、そのことに対して聞こうと思っていたが。そのことを忘れそうになるくらい――なんだこの変人。と俺は改めて思っていた。
すると、穴川という男はこちらの事には気が付かなかったのか。特に何も思っていない様子で話を続けていた。
「で、ちょっと僕の実験に横山君は巻き込まれた。だから元のところに返してあげるOK?」
「いや――何を言って――」
「だから、そこの女は横山君の居たところでは存在してないわけ。そこの女はちょっと僕の世界を作るときにまあ誰もいないと――だから作った飾りの一部」
「お前。さっきから適当なことばかり言って――」
「だから穴川。それにこれは本当の事。じゃあ今消してあげようか?その女を。ちょうど君たちが巻き込まれたせいでいろいろおかしくなったから。僕の世界の方の物をリセットして作り直した方がいいかと思っていたから。それを先にしておこうかな。証明にもなるだろうし。僕が天才って」
「なんだと?」
「――」
穴川という男は急にそんなことを言うと、何故か明後日の方向を――と、俺が思いつつ穴川を見ていると、少し俺が瞬きをした瞬間だったかもしれない。
一瞬だけ穴川の姿が消えた気がした――と、思った時だった。
「――うん――なっ!?どうなって……」
先ほどまで確かに俺の服を掴んでいたはずのその力がなくなった。そして――確かに俺の背中にあったはずの人のぬくもりが消えた気がして、俺は慌てて後ろを見ると――誰もいなくなっていた。
先ほどまで一緒にいたやよっちの姿がなくなった。
「ほら?」
穴川の声がすると俺は一度穴川の方を見た。
「おい、何をした」
「大丈夫大丈夫。各種調整にすこしラグはあると思うけど、そのうち何もかも忘れるから。じゃあ戻ろうか。もうこの世界には横山君と僕しかいない。これじゃあね。何の面白さもないから」
「おい、答えろ。やよっちをどうした!」
「へー、まだ覚えてられるか――でもまあ。もう忘れるだろうし。じゃあ横山君。ハイポーズ」
バシュッ。
すると、穴川はいきなり手に持ったままだったインスタントカメラを俺の方に向けてきた――と、俺が思った瞬間にはまぶしい光が俺を包んでいた。
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