3-2 自宅――どうなった?

「いや、どうした親父?朝っぱらから酒でも飲んでるのか?」

「――電話かけ間違えているんじゃないか?ここは横山だぞ?」

「いや、だから由悠。横山由悠」

「――いたずらなら。やめてくれ。これから出かけないとなんだから」

「ちょ、マジで言ってるのか?息子だぞ息子?」

「はっ?俺は今独り身だよ」

「――えっ?」


 少しぶり。多分――夏休みに帰った時以来の親父との会話は会話不成立とでもいうのだろうか?

 いや、完全におかしかったな。

 今はもう親父との通話は切れているというか。いたずら電話と認定されたらしく。切られた。

 えっと――これはどういうことだろうか?マジでわからん。いや、わからんというのはおかしいか。なんかわかったこともあるし。とりあえず俺は俺と親父の電話を聞いた後。固まっている3人に言った。


「――俺横山家に実在していない見たいなんだが?」

「――」

「見たいだったな」

「えーっと……」


 柊花も一心も赤崎さんも不思議な表情のあと、悩んだりなんと声をかけたらいいのかわからないといったような雰囲気だった。

 

「とりあえず何が起こった?俺――どうなってるんだ?親父は独り身?」

「はっきりとはわからないけど――もしかして由悠じゃない誰かが横山家に居る――」

「いや、柊花。それだと。由悠の親父が言っていた独り身がおかしくないか?結婚してないなら。由悠が生まれてくる可能性がなくなるぞ」

「あー、まああとは――由悠。実はご両親離婚してる?」

「いやいや、それはない。というか普通に夏に帰った時2人居たし。っか、携帯電話に繋がらなかったのもおかしんだよな」

「ねえねえ」


 俺と、柊花一心が話していると。さすがに俺の親父というのか俺の家庭のことを知らないため。なかなか口を挟んでこなかった赤崎さんが挙手をしつつ話に入って来た。


「どうぞ」


 俺が赤崎さんの方へ手を出すと。見ると赤崎さんは話しだした。

 

「いや、さっきからってか、昨日から言っているおかしなこと?世界?まあなんでもいいけど。私のところがそうだったように、なんか知らないけど、借金抱えているっていう感じでさ。そっちでもなんか知らないけど――予想できないことが起きてるんじゃないの?実は――ってことじゃないの?」

「いや、でも親父は独り身って――」

「今は。かもじゃん」

「あっ、そうか。結婚したが。離婚して――子供は母親の方か」

「そうそう、だからこの世界には別の由悠が居ると――面白くなってきたじゃん」

「いや、勝手に面白くされても」

「だって私も借金まみれとか。笑えるじゃん。っか、これ本当にどうなってるの?なんで柊花と、キモイのはそのままで」

「おい。杏奈。お前今日も俺への態度おかしいぞ」

「いつもでしょ」

「おかしいだろうが」

「はいはい2人とも余計な話ししない」


 俺が赤崎さんと少し話した後。今日もまた赤崎さんと一心が何やら言い出したが。ここで少しの間考える人になっていた柊花がまた口を開いた。


「とにかくだよ。やっぱり何かがおかしいのはわかったね。ってか。このままだと、由悠消えるかもね」

「俺消えるの?」

「だって、今のままじゃ。由悠は誰から生まれてきたの?」

「……まあだな」

「多分由悠のお母さんは居るんだと思うけど――今の感じだと。別の家庭があってもとか考えた方がいいだろうし――とにかく。私と一心は今のところ何か変わった感じはないけど、由悠と杏奈ちゃんはおかしなことになっているから――とりあえず。私たちで動こうか。

 どうやら柊花は俺たちだけで原因を探すらしいが――そんな事できるのか?と、俺が思った時だった。


「おお、面白そうだな」


 何故か一心もやる気になっていた。

 もしかしてこの2人他人事――と、いうのか自分たちはあまり関わっていないから。気楽なのか?などと俺が思いつつ2人を見ていると――。


「まあ大方何を当たればいいかはわかるよね」

「うん」

「まあ、だよな」

「――えっ?」


 赤崎さんも2人の会話に入ったが――って、なんでこの3人すでに目星が付いているみたいな状況なんだ?

 俺が3人の反応に?マークを浮かべたからだろう。3人が俺の方を見てきた。


「いや、由悠。普通に考えれば。昨日の電車だろ」

「えっ――あー」


 一心になんでわからないんだよ。という感じで言われて俺も気が付く。

 確かにおかしくなった。記憶が2つ――いうのか。カチッと切り替わる――とでもいうのか。2つのことを思い出すたび切れ目。境目になっているのはやはり昨日の夜の電車中くらいだ。つまりあの時に何かあった。


「だから――とりあえず。駅にでも行こうか。それと――もしかしたら」

「どうした柊花?」


 行動開始――となりそうになったが。携帯電話を見た柊花がまた考える人になったので、一心が声をかけた。


「いや、なんか気になるのがね。11月に31日があることなんだよね」

 

 一心に声をかけられると。柊花は携帯電話の画面を一心に見せる。そこにはカレンダーの表示があり。11月が表示されている。


「それって――おかしいのか?」

「普通ならない日だって」

「まあだもこのおかしな世界?だからあるとか?」

「そういうことかもしれないけど――なんか引っかかるんだよね。って、由悠の家に居てもだし。ちょっと駅行ってみようか」

「ああ、大学なんか行っている場合じゃないからな。超面白そうだし」


 いろいろおかしなことがあるのはわかって来たが――すべて気にしていると大変では?などと俺が思ってる間に柊花と一心が立ち上がる。

 ってかマジで一心は楽しんでいるな。俺はさっきから一応会話には入っているが。親父の反応がどうもね――残っていて。俺は一体どうなっているのか。とね。


 と、俺が考えている間に柊花が赤崎さんにも声をかけてみんなが立ち上がったため。俺も立ち上がり。俺たちはとりあえず何かあるかもしれないとということで駅へと向かうことになったのだった。

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