第2話 二人の運命の再開

合格発表の日から数週間。今日はクラス発表と初顔合わせの日です。

あれから制服の採寸をしたり、学費の納入が上手くいったか謎にドキドキしたり。いろいろありましたが、僕は元気です。


クラス表前は混みあっていてなかなか見れません・・・暫く待って空いてきたところを狙ってなんとかクラスを見ることができました。

くっ、こんなところでも低身長の報いを受けることになるとは・・・!


あ、ちなみに僕はC組でした。



ザワザワザワザワ・・・


クラスの人たちはワイワイしている中、1人場違いなほどドキドキしながらC組の教室に入ります。

なぜならこのタイミングで目を付けられてしまったらずっと絡まれる可能性があるのは中学3年間で経験済みです・・・!


な、なんとか目立たないようにしないと・・・!


何とか自分の席に着きました。

幸い今のところ注目されてはいません。よし。


さて、前の人は・・・いませんね。えっと・・・確か名前は神林 蘭さん、だったはずです。

うっとうしく纏わりついてくる人じゃないといいのですが・・・


「・・・っかー。いる可能性もあるもんね。」

「・・・会えるといいわね、その子に。」

「・・・ああ。神様お願いします。」


向こうから綺麗な女子のグループが!・・・・・・あれ?あの背が高い人、どこかで見たことが・・・もしかしてあのぶつかった人!?うそお!?


いやあ、なんというか・・・運命ってあるんですね。


この時の僕は、ぶつかった人にもう一度会ったという事実に驚きすぎたせいで気づかれることを考えていなかった。


それ故に―――


「ん?」


相手に気づかれるまで思いっきりガン見してしまった。

ガン見してしまったそのお相手は・・・同じくこちらをガン見したまま固まっていた。


「・・・おーい?蘭ー?どしたの?」

「・・・いた。」

「いた、って・・・もしかしてあの子が蘭の言ってた?」

「・・・ああ。その子だ。」

「おー、よかったじゃん。」

「お話してみたら?」

「で、でもなんて話しかければ・・・!」


あの~~・・・

目の前で内緒話は気まずいんですけどぉぉぉぉぉ・・・!


「というかもしかして蘭と前後じゃね?座って話したら?」

「え?・・・・・・!!!!!!??????」

「うおあどうしたん。」

「い、今まで気づかなかった・・・!」


恐る恐る、といった様子で僕の一つ前に座る背の高い人。

つまりこの人が・・・神林蘭さん、ってことか。


・・・

・・・・・・


・・・そんなことある!!!!????

なかなかないよ!?たまたまぶつかった人と席前後なんて!


な、何か話しかけないと・・・!


「あ、あの~・・・」

「はいっ!?」

「!?」


気まずい空気が流れる。

び、びっくりした・・・いきなりの大声はやめてほしいです。


「え、ええっと、あの時はすぐ帰っちゃってすみません・・・」

「え?ああいや、気にしないで。固まってた私も悪いから。」


うわぁぁ・・・低くて落ち着いたきれいな声だなぁ。


「それにしても・・・ぶつかった人と席が前後なんてすごい偶然だね。」

「ほんとにそうですよね!僕もびっくりしました!」


僕ももしこれが人から聞いた話だったら『うそだぁ』とか思ってました。

でも・・・本当にあるものなんですね。


「ちなみにさ。君の名字、なんて読むの?かんべ?こうべ?」

「あ、かんべ、です。」

「なるほど。神戸かんべ君ね。わかった。えっと・・・下の名前は?」

「下の名前はひなた、です。」


読みにくいですよね僕の名前。

先生にも何度かこうべくん、って呼ばれるし、陽葵は初見で読んでくれる人会ったことないし。慣れっこです。


陽葵ひなた・・・ありがとう!私は神林蘭。よろしく。」

「神林さんですね。よろしくお願いします!」

「・・・蘭でいいんだぞ?」

「え?」


え?い、いきなり僕だけ名前呼び?そ、それはハードルが・・・!


「・・・いやいや、じゃあ神林さんも陽葵で大丈夫ですよ?」

「え?」


な、なんか変なこと口走っちゃったぁぁぁぁ!


「・・・じゃ、じゃじゃじゃあ、陽葵君で・・・」

「じゃ、じゃあ僕も、蘭さんで・・・」

「「・・・・・・//////」」


な、なにも変なことしてないのに、なんか気まずいです・・・


・・・・・・


まあでも、初めての友達ができて良かったです。

変な人ではなさそうですし。


――――――――――――――――――――――――――――――――


う~ん、いないなぁ・・・


「見当たらないの?」

「ああ。今のところ見つからない。」

「ま、この人数だしそうそう見つかるものでもなさそうだけどね~。」


やっぱりいない・・・落ちちゃったのかなぁ・・・


収穫ゼロで教室に戻る。・・・ん?


「・・・いや待てよ。ここまで見てもいないってことは、もしかして教室にいる可能性もある。」


私たちが教室から出てもう10分以上たっている。この間に教室に来た可能性もあるのでは・・・!?まあ、同じことが他の教室で起きてる可能性もあるわけだけど。


「確かに時間たってるしね。そっかー。いる可能性もあるもんね。」

「もしそうなら運命ね・・・会えるといいわね、その子に。」

「運命か・・・ああ、神様お願いします。」


ああ、神様仏様おばあ様。どうか私に、あの子と過ごす運命を・・・!


と、その時ふと視線を感じた。


「ん?」


見るとそこには、私が一番会いたかった人が、じっとこちらを見ていた。

・・・いた。・・・いた!・・・いたあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


「・・・おーい。蘭?どしたの?」

「・・・いた。」

「いた、って・・・もしかしてあの子が蘭の言ってた?」

「・・・ああ。その子だ。」


・・・・・・これは、やはり運命の相手なのではないか・・・!?


「おー、よかったじゃん。」

「お話してみたら?」


簡単に言いやがって!こちとら初恋の相手だぞ!?そう簡単に話しかけに行けるわけないでしょうが!!

うううううぅぅぅうぅぅ・・・男子への興味のなさがここにきて仇になるとは・・・


「で、でもなんて話しかければ・・・!」


「(正味テキトーっしょ)」

「(自分で考えて)」


二人ともおおおおおおおおおおおおおお・・・!!!


ここで華恋がさらに(私にとっての)特大爆弾発言を炸裂させた。


「というかもしかして蘭と前後じゃね?座って話したら?」


え?マジで?うそお。

えっと、私の席がそこだから、今彼が座っているのは・・・私の1つ後ろだ。

え!?マジじゃん!席前後じゃん!!!!!!??????


「え?・・・・・・!!!!!!??????」

「うおあどうしたん。」

「い、今まで気づかなかった・・・!」


こんなことを失念するとは動揺しすぎだぞ神林蘭!!

いや動揺しない方がおかしいけど!!


恐る恐る陽葵の前に座る。


・・・・・・


な、何かしゃべらないと・・・!!

話題、話題はないのか・・・!?


「あ、あの~・・・」

「はいっ!?」

「!?」


びっくりして変な声出ちゃったあああああああああああああああああああ!!!

あああああああ・・・絶対変な人って思われたああぁぁぁ・・・・・・死にたい。


「え、ええっと、あの時はすぐ帰っちゃってすみません・・・」

「え?ああいや、気にしないで。固まってた私も悪いから。」


そんな謝らないでほしい。これに関しては彼は何も悪くない。

というか勝手に固まって返事すらしなかった私が全面的に悪い!

というか何とか話をそらしたい・・・


「それにしても・・・ぶつかった人と席が前後なんてすごい偶然だね。」

「ほんとにそうですよね!僕もびっくりしました!」


キラキラ純粋オーラが眩しい!

しかも声めっちゃ可愛い。今のテンション高い声とか萌えすぎてヤバイ。


それにしても口調が丁寧だな。私は全然タメ語でいいのに・・・

あ、でも素で敬語なのか?


あと、さっきから気になっていたのだが・・・この子の名前なんて読むんだ?

かんべ?こうべ?下の名前なんてさっぱりわからん。でもあてずっぽうで呼ぶのもなぁ・・・


ん?話題あるじゃん。名前聞けばいいんだ。


「ちなみにさ。君の名字、なんて読むの?かんべ?こうべ?」

「あ、かんべ、です。」

「なるほど。神戸かんべ君ね。わかった。えっと・・・下の名前は?」

「下の名前はひなた、です。」


フムフム、かんべひなた君・・・っと。よし!覚えた。

これは大きな収穫だ!


陽葵ひなた・・・ありがとう!私は神林蘭。よろしく。」

「神林さんですね。よろしくお願いします!」


神林さん・・・か。言われ慣れないなぁ。なぜか知らないけど私ずっと蘭って呼ばれてきたからなぁ・・・あと距離がある気がしてなんかイヤ。


「・・・蘭でいいんだぞ?」

「え?」


しまった!!つ、つい本音が!

ほぼ初対面の相手に下の名前で呼んでいいよはさすがに踏み込みすぎでは・・・!?


「・・・いやいや、じゃあ神林さんも陽葵で大丈夫ですよ?」


え?


「え?」


・・・マジ!?まさかの名前呼び許可出たの!?やったーーーーーーーーー!!!

え、マジでうれしいんだけど!!めっちゃ距離縮まった気がする!!

へへへ・・・やった・・・やった~~~。


「・・・じゃ、じゃじゃじゃあ、陽葵君で・・・」

「じゃ、じゃあ僕も、蘭さんで・・・」


うわ~~、流石に名前呼ばれると照れる~~。


「「・・・・・・//////」」


って陽葵君も照れてる!!??


・・・・・・


・・・・・・えっヤバ。心臓止まるかと思った。



――――――――――――――――――――――――――――――――

この時蘭は連絡先を聞きそびれたことを帰ってきてから気づくのですが、そのお話はまた次回にでも。


応援よろしくお願いします!!

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