本編 1章 高校1年生 皐月
第13話 甘々登校風景とGWの予定
4月最後の日。もうすぐ大型連休だと思う人もいれば、花粉症に阿鼻叫喚の様相を呈している人もいるでしょう。
僕らの町も本格的に暖かくなってきて、夏服の人もちらほら見かけるようになりました。
・・・まあ僕は冷え性なのでギリギリまで夏服にしないんですけどね。
そして、僕の私生活にもある変化がありました。
それは・・・
「陽葵くん!お待たせ!」
「あ、蘭さん!」
そう、蘭さんと一緒に登下校するようになりました。
おやすみ電話の次の日の早朝、蘭さんから『明日一緒に行かない?』というお誘いのメッセージがあったので、お言葉に甘えて一緒に行きました。
それがきっかけで、お互い無理のない範囲で登下校の時間を合わせるようになったんです。といっても2人ともクラブに入ってないですし、委員会も同じなので時間が合わないことの方が珍しいんですけどね。
「あ、そうそう。昨日陽葵くんに勧められた小説。すごくよかったよ。」
「そうですか!それは良かったです!」
「面白すぎて3巻まで読み切ってしまった。」
「3巻まで!?え、あれ一巻一巻まあまあ長いですよ?寝れました?」
あれ割と話重いですし、内容も濃いのでそんな早く読めないはずです。
僕も1日使ってやっと1巻読めるくらいなのに・・・
「安心してくれ。見事寝不足だ。」
「どこをどう安心できるんですか!やっぱり一回に全部貸すのは多かったんですって!」
「アハハ、冗談だって。大丈夫だよ。ちゃんと7時間寝たから。」
「7時間・・・?ま、まあそれくらいなら・・・」
「だから寝坊して実は今日待ち合わせに遅れかけたんだよね。」
「やっぱりダメじゃないですか!!」
前言撤回。やはり一回に貸す量を減らします!
「まあまあ落ち着いて。私、一冊を何回も読み返すタイプだからさ。最初はあんまりしっかり読まないんだよ。あらすじを追うだけ、というか。」
「あ、そうなんですね?」
「そう。だから睡眠時間は削ってないよ。今のところは。」
「・・・今のところは?」
「正直割と睡眠時間削りたくなるくらい沼ってる。もし体調が悪く見えたら教えてくれ。」
「ええ・・・」
ここまでハマってくれるのは嬉しいんですけど・・・なんというか、ハマりすぎでは・・・?
閑話休題
僕らは快速に乗って学校へ行きます。
僕は蘭さんの乗っている普通に合わせると言ったんですが、蘭さんは『ただでさえ弁当を作っている陽葵をこれ以上早起きさせるわけにはいかない!』とのことで、僕の時間に合わせてくれています。
なんですけど、実は1つ嬉しいんだけど困ったことがありまして。
前提として、快速は混みます。そして僕らは一緒に乗るので、基本隣同士になります。するとどういったことが起こるかというと・・・
むぎゅう
「・・・大丈夫?息、苦しくない?」
「だ、大丈夫ですぅ・・・」
そう。蘭さんとくっついてしまうのです。しかも蘭さんも蘭さんで嫌がってなくて、むしろウェルカムらしいんですよね・・・
最初は恥ずかしくて離れてたんですけど・・・最近蘭さんが嫌がってるわけじゃないし、と思って諦めてますね。なんだかんだ、最近は一緒に登校するたびにくっついています。帰りは混んでないのでくっつきませんけど。
あ、決してくっつくのが嫌なわけじゃないんですよ?そ、その、僕としても気になってる人というのもあるのでっていう感じなんですけど・・・
そのくっつき方とか場所が、多少問題で。
その・・・僕と蘭さんはだいたい25㎝くらい身長差がありまして。
つまり、蘭さんの顔から25㎝下に僕の顔があるわけで。
だから何だと思われるかもしれませんがその・・・僕の顔の位置がですね。
むにゅん
蘭さんの胸とちょうど同じなんですよねぇ・・・!!
しかもちょうど柔らかいところが当たってしまうんですよぉ・・・!!
嬉しいのやら恥ずかしいのやら気まずいのやら申し訳ないやらで初めての時はもう情緒がぐっちゃぐちゃになりましたね。ええ。
ぐっちゃぐちゃになりましたね!!ええ!!
しかも蘭さんが嫌がってないというのもなかなかかき乱してくるというか。
できれば気にしないことで事なきを得たいのですが、ちょっとぼくのキャパを大幅にオーバーしてるのでなかなかできないというか。
気分は魔〇精兵のスレ〇ブで初めてご褒美をもらった主人公の様・・・
よりもう気まずい気持ちが大きいかもしれません。
あと、くっついたときに決まって蘭さんがすることがありまして。何をされるかというとですね・・・
ぽん
なでなで・・・なでなで・・・
え~、頭を撫でられます。
なんですか?これ。おじすか?
プライベートな空間ではまだしも、公共の場でなでなでというのは公開処刑の意で間違いないでしょうか。(いや間違いであるはずがない。)
殊何かの事情でくっついた時なんかは、頭を撫でてきたりほっぺをむにむにしてきたりと必ずと言っていいほど何かしてきます。
まあ嫌じゃないですよ?複雑ですけど。
「大丈夫?暑くない?ごめんね。もう少しだけ我慢しててね。」
「いえ、全然暑くないですよ。僕、割と冷え性なので・・・」
「そうなのか?じゃあ・・・もう少しだけ、くっついていい?」
「へ?ま、まあ、大丈夫ですけど・・・なんd――」
「やった♡ちょっとぎゅーってするね♡」
蘭さんの腕がするっ、と僕の背中に回り、
ぎゅ~~
同い年なのに!!
顔を上げると蘭さんの端正でイケメンな微笑みが目の前に。
むむむ、やっぱりイケメンはずるいです。言い返したいのに顔をみるだけで言い返せなくなってしまいます。
「フフッ、かわいい」
むにゅ~
「・・・・・・//////」
うううう柔らかい~温かい~なんですかこの天国とも地獄ともいえない時間は~・・・
抱き締められること数分。
『まもなく、朝日ヶ丘~朝日ヶ丘~』
はあぁぁぁ・・・やっとこの嬉し恥ずかしい空間から解放されます・・・
「どこか痛いところはないか?」
「は、はい。大丈夫です。」
「そうか。・・・柔らかかった?」
「!!?もう!意地悪を言う蘭さんは嫌いです!」
「ごめんごめん。もうしないからから嫌いにならないで~」
ニコニコ笑いながら謝ってくる蘭さん
全く。調子が良いんですから・・・
・・・・・・・・・・・・
その日の帰り道。
「そういえばさ。陽葵くんはGWの予定って何かある?」
「GWの予定、ですか?ちょっと待ってくださいね。えっと・・・」
確か1日用事で潰れる日があるんですよね。
2日目だったような・・・あ3日目だった。
「3日目以外は空いてます。」
「!そうか。じゃあ、陽葵くんさえ良ければなんだけど・・・2日目にさ、お出掛けしないか?出来れば、その・・・二人で。」
「僕と蘭さんでお出掛けですか?いいですね!行きます!」
初めてお友達とお出掛け・・・!
どこに行きましょうか・・・!映画館も良いですし、カラオケとかボウリングも定番って言ってたような・・・?
あああ魅力的なことろが多すぎて迷ってしまいます・・・
「っ!!やった!どこ行く?陽葵くんは行きたいとこある?映画?買い物?あと、スイーツ巡りとか?」
「お、落ち着いてください!まだ何日かあるんですし、ゆっくり決めましょ。ね?」
「!?あ、ああ。そうだな。す、すまない。嬉しくて舞い上がってしまった。」
蘭さんも舞い上がってくれたんだ・・・えへへへ、すっごく嬉しいです。
ならばこちらも真剣に考えなければ無作法というもの・・・!
「僕、コナ○の新作映画が見たいです!」
「お、映画か。いいね。この辺だと・・・ALIMOの映画館かな?」
「そうなると思います。そういえば、蘭さんはありますか?したいこと。」
「私?私は・・・これが良い!って言うのはないけど・・・強いて言うならショッピングがしたいな。夏服がほしい。」
映画とショッピング・・・場所はもう決まったようなものですね。
「じゃあALIMOで決定ですね。」
「そうだな。じゃあまた明日。お出掛け楽しみにしてるね!」
「はい!またあした!」
蘭さんと二人でお出掛け、僕も楽しみです!
・・・ん?
・・・・・・・・・あれ?これってもしかしてデートでは!?
────────────────────
私、神林蘭は現在、
ぎゅ~~
あ~~~幸せ♡好き♡
・・・はっ!?陽葵くんは大丈夫か!?
「・・・大丈夫?息、苦しくない?」
「だ、大丈夫ですぅ・・・」
どうやら息苦しいことはないみたいだ。
ちゃんと顔も横に向いている。
良かった。今日はうまくくっつけたらしい。
実は、初めて一緒に行った日に密着のしかたが悪くて苦しい思いをさせてしまったのだ。
具体的には私の谷間のところにちょうど陽葵くんの鼻なり口なりが来てしまい、満足に呼吸が出来ない状態になったのだ。
陽葵くんは優しすぎるから自分から言ってこなかったけど、顔は赤かったし、呼吸も少し荒かったためすぐに寝ている陽葵くんを甘やかしたときにやりかけた失敗をやってしまったことに気づいた。
要するに私の体と陽葵くんの顔が向かい合ったまま密着してしまったのだ。
一度やりかけて気づいたミスのはずなのに、もう一度同じミスをしかも今度は気付かずにしたのだ。
陽葵くんは優しいから許してくれたが、私は自分を許さないし許せない。だからもしもう一度陽葵くんを不快にさせることをすれば、登下校では陽葵くんを撫でないという罰を作った。
ちなみに私にとって陽葵くんを撫でないのは平日1日の最上級の癒しを失うのと同義である。
この罰を作ったことで、今のところ二度目は起きていない。罰を作らないといけない時点で情けない限りだが。
実は今もなるべく撫でないようにしようとする努力をする意思はないことはない。
しかし少し視線を少し下に向ければ
「・・・・・・」
ぽん
なでなで・・・なでなで・・・
はあぁぁぁぁぁ・・・幸せだぁ・・・
結局我慢できずに頭を撫でてしまう。
今回も、結局欲望には抗えなかったよ・・・いつものことだけど。
このさらさらで触り心地抜群の髪が、最かわかつの好きな子についている。
しかもその子は頭を撫でられても嫌がらないときた。
もうこれは撫でるしかないでしょ!!
なんなら撫でない方が失礼でしょ(?)!!
と、言うことで(?)私は今日も今日とて陽葵くんを撫でるのです。
あ、でもそろそろここも暖かくなってきたもんな・・・私筋肉量多いから体温もちょっと高いし、密着しちゃってるからもしかしたら陽葵くん暑いかも。
でも暑いって言われても私にはどうしようもないな・・・陽葵くんになんとか我慢してもらうしか・・・頑張ってちょっと離れるか?
「大丈夫?暑くない?ごめんね。もう少しだけ我慢しててね。」
「いえ、全然暑くないですよ。僕、割と冷え性なので・・・」
陽葵くんが冷え性・・・?知らなかった。
え、冷え性って人より寒く感じやすいってことだよね?じゃあ・・・もう少しくっつけるってこと?♡♡♡
そうと決まれば!
「そうなのか?じゃあ・・・もう少しだけ、くっついていい?」
「へ?ま、まあ、大丈夫ですけど・・・なんd――」
大丈夫、いただきました!!
「やった♡ちょっとぎゅーってするね♡」
素早く陽葵くんの背中に手を回して、
ぎゅ~~
えへへ♡抱き締めちゃった♡♡♡
ヤバ、これは他の人からみたら完全に付き合ってるよね?
そう見えちゃってるよね?
陽葵くんの顔が赤くなってる・・・これは照れてるね。まあ異性とこんなにくっついちゃってるもんね・・・♡
照れちゃうよね。大丈夫、私も今とんでもなく照れてるから。心臓大暴れしてるから。頑張って顔には出してないけどね。
照れてる陽葵くんもかわいい♡
「フフッ、かわいい」
むにゅ~
私の胸の感覚どう?大きさはまあまあ自信あるんだけど。
「・・・・・・//////」
あはは、照れてる照れてる。
『まもなく、朝日ヶ丘~朝日ヶ丘~』
あ、もう着いちゃった。やっぱり幸せな時間は早いなぁ・・・
「どこか痛いところはないか?」
「は、はい。大丈夫です。」
「そうか。・・・柔らかかった?」
「!!?もう!意地悪を言う蘭さんは嫌いです!」
「ごめんごめん。もうしないからから嫌いにならないで~」
この質問はちょっと意地悪が過ぎたかな?
・・・・・・・・・・・・
その日の帰り道。
私は、あることを実現するために、陽葵くんにGWの予定を訪ねることにした。
「そういえばさ。陽葵くんはGWの予定って何かある?」
頼む・・・!空いててくれ・・・!
「GWの予定、ですか?ちょっと待ってくださいね。えっと・・・3日目以外は空いてます。」
よし!
あとは、私が勇気を振り絞って誘うだけだ!
「!そうか。じゃあ、陽葵くんさえ良ければなんだけど・・・2日目にさ、お出掛けしないか?出来れば、その・・・二人で。」
言えた!
あ、でも陽葵くんOKくれるかな・・・?
流石に最初から2人は攻めすぎかな?
「僕と蘭さんでお出掛けですか?いいですね!行きます!」
!!!!!!
「っ!!やった!どこ行く?陽葵くんは行きたいとこある?映画?買い物?あと、スイーツ巡りとか?」
あとカラオケとかも良いな・・・!!
「お、落ち着いてください!まだ何日かあるんですし、ゆっくり決めましょ。ね?」
「!?あ、ああ。そうだな。す、すまない。嬉しくて舞い上がってしまった。」
やってしまった・・・テンションが上がりすぎた。これは流石に引かれたよね・・・ん?陽葵くんなんか嬉しそうだぞ?
なんでかわからないが・・・命拾いした、ということか?
「僕、コナ○の新作映画が見たいです!」
お!コナ○!私も見たかったんだ!
そういえばホラー苦手なところも同じだし、もしかして私と陽葵くんは好みが似ているのかな?そうだと嬉しいな。
「お、映画か。いいね。この辺だと・・・ALIMOの映画館かな?」
「そうなると思います。そういえば、蘭さんはありますか?したいこと。」
「私?私は・・・これが良い!って言うのはないけど・・・強いて言うならショッピングがしたいな。夏服がほしい。」
あと陽葵くんを着せ替えしたい。
・・・まあこれはあわよくばだけど。
「じゃあALIMOで決定ですね。」
「そうだな。じゃあまた明日!お出掛け楽しみにしてるね!」
「はい!またあした!」
えへへへへへへぇ
陽葵くんとデート!♡陽葵くんとデート!♡
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます