第3話 さっそくピンチ
赤い狼にジリジリと袋小路まで追い込まれてしまった。
やっちまった、どうしよう‥‥‥?
赤い狼は俺を喰らおうと大口を開けて飛び掛かってきた。俺は折れた剣を咄嗟に突き出す。
ガキッ!!
狼の牙の間に剣が挟まった。
狼は痛みと違和感で困惑している。
今だ!
俺は狼の鼻先を思い切り蹴り上げる。
「ギャヒィーーン!!!」
犬とかは鼻先が敏感だからコレは効いただろう。怯んだ隙に袋小路から通路側に抜け出す。
トドメを刺せる武器もない。逃げるならこのタイミングしかない。
俺は全力で走り出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そ‥‥‥そんなバカな!!」
先程通ってきた道のはずなのに床に大穴があいていた。何故だ!?
穴は大きくてとても飛び越えられないだろうな。
ヒタッ‥‥‥ヒタッ‥‥‥
考えているうちに後ろから獣が歩くような音が聞こえてきた。
振り返ると怒り狂っているであろう赤い狼がコチラを睨んでいた。
タダでは済まさんぞ‥‥‥と、赤い狼がそう言っているような気がする。
そりゃそうだよな。
どうする? 穴の中に飛び込むか‥‥‥?
飛び込んで助かる保証はないがこのままいたら確実に食い殺されるだろうな‥‥‥。
「ええい!! クソッタレ!!」
俺は穴に飛び込んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここは‥‥‥?」
気がつくと身体は無事だった。あんなに身体が落ちた感覚があったから相当な高さがあったはず‥‥‥。骨の一、二本くらいで済めば儲けものだと思ったが完全に無傷、なんともなかった。
壁‥‥‥というより何か不思議な場所だった。水に墨を落とした時のように背景が歪んでいる。ここは何処だ?
「ほえ? お客かえ?」
「うおっ!?」
ビックリしたぁ!!
不意に声がすると予想以上にビックリする。
「お主はアルバトロスじゃな?」
「な‥‥‥なんでわかるんだ!? お前は誰だ?」
「ここはアルバトロスじゃなきゃ入れない魔法空間だからのぅ。お主、まさか一人でダンジョンに来たのかえ?」
「そ、そうだ!」
「くくく‥‥‥そりゃまた随分と無茶するのが好きみたいじゃの‥‥‥」
この声は一体‥‥‥?
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