第6話 ジョブマスターの経験

「? どういう事だよ?」

「今の我はスライムに意識を移しただけの精神体じゃ。このスライムの身体がもしその辺のゴブリンにでもやられたら今まで我の培ってきた知識と経験は全て無くなる。流石に我としてもそれは惜しくてのう。誰かに伝えたいんじゃよ」


 ‥‥‥なるほど、その気持ちはよくわかる。俺にしても得する事しかないし、これ以上の話はないだろう。


「お主は誰よりも強くなりたい。我は誰かにこの知識と経験を伝えたい。お互い悪い条件ではないと思うのだが? どうじゃろうか?」


「でもなんで俺に? もっと強い人に授けるとかの方がいいんじゃないか?」

「お主のようにアルバトロスで強くなろうとする者などおらぬ。初期ジョブがアルバトロスで基礎レベルも低いとあらば、お主以上の条件のものはおるまいよ」


 うーむ、確かに‥‥‥。俺もこのままじゃ何も出来ないまま死ぬだけだろうしな。



「‥‥‥わかった。あんたの提案を受け入れる。よろしく頼む」

「うむ‥‥‥、こちらこそよろしくじゃ。では早速始めようかの? 我の身体を両手で掴んで目を閉じるのじゃ」


「これでいいか?」

「うむ、では始めるぞ!!!」

 手の先から何か入ってくるのがよくわかる。肘、上腕、肩、首と伝わってきて頭に入ってきた瞬間、経験した事のない激痛が走る。


!!!!!!!!


「ぎゃあぁぁぁ!!!!!!!!!」

『これ! 騒ぐでないわ。集中出来んじゃろうが‥‥‥』


 頭の中で声がする。

 いや、そんな事言われてもこんな痛み経験した事ない‥‥‥!!

 例えるなら熱したスプーンで目玉をほじくられるような痛みだろうか? 

 もちろんそんなの経験した事ないけど‥‥‥。


『我の知識と経験をタダで貰えるんじゃ。少しの痛みくらい我慢せい』

 いや、痛いものは痛いから! 

 そんで全然『少し』じゃねぇし!!



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 どれくらい続いただろうか? 

 ようやく痛みが引いてきた。


『‥‥‥終わったぞ。どうじゃ、気分は?』

 よくわかんないな? 

 これで全部の特技が使えるようになっているのか?


『ステータス加算ボーナスの部分とジョブ特性の移行が完了したぞ。あまりに痛がるからの。特技についてはその都度我が移行してから教えてやろう。今の強さじゃどうせ使えんしの』

 え? 全部じゃないの? 

 あんなに痛かったのに‥‥‥


『特技まで全て移行してたらお主死んでたかもしれんぞい。我に感謝せぇよ』

 んー、そうなんだ。その時はまた痛くなるのかなぁ?


『今後はそこまで痛くはならんはずじゃがの?』

 まぁ、俺の方でどうにも出来ないしね。まぁお手柔らかにお願いしますわ。

 

『そうじゃな。そして一度ステータスを確認しておけ。自分の強さは常に把握しておくべきじゃぞ』


 さすがベテラン冒険者、そうしよう。

 

「ステータス」


ーーーーーーーーーーーー

アルフレッド

レベル1

【ジョブ】アルバトロス

HP 30/30

MP 10/10

腕力  4

器用  3

素早さ 2

体力  5

魔力  1

【特技】

なし

【特性】

攻撃力上昇【剣聖】

守備力上昇【聖騎士】

魔法ダメージ上昇【大魔導士】

魔法被ダメージ減少【大神官】

警戒【探索者】

隠密&高速移動【忍者】

魅了耐性【踊り子】

無刀取り【侍】

モンスターの知識【召喚士】

ラーニング【魔獣使い】

カウンター【格闘家】

道具の知識【学者】

薬の知識【薬師】

武器の知識【鍛冶師】

結界展開【魔法剣士】

竜語【竜騎士】

命中率上昇【狩人】

無詠唱&並列起動【賢者】

ーーーーーーーーーーーー


「特性多すぎだろ!!!!」

 つい声に出てしまった。

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