第13話 【別視点】ビーストキラーズの一日

 『ビーストキラーズ』はDランクに昇格したばかりのパーティーだ。

 今までは簡単な討伐や採取依頼ばかりしてたけど今日から少し難易度を上げて行こうと思い草原に向かった。

【剣士】ヘクターと【魔術師】のルビー、【治癒師】のヘーゼル、【探索者】のクロウ。

 バランスの取れたパーティー編成である。

 

 草原に到着し、しばらくしてクロウが呟く。

「この辺り、何も居ないんだけど‥‥‥」


 ルビーが返答する。

「そんなことってあるの? ヘーゼル、どう思う?」

「そうですね。異常事態が起きてるかも知れないから調査するって話、ギルドで噂になってましたよね、ヘクター?」

「そんな話あったな。もしかしたらここも影響しているのかもしれないな。もう少し探ってみてダメだったら森の方に移動してみようか?」


「「「賛成!」」」


 結局モンスターは見つからず、四人は森に移動する事となった。



 四人の平均レベルは15。初心者から中級者へなったばかりのところだ。

 今回はかなり安全策を取って草原で狩りをする事になったが森で行なっても一般的には問題ないため一行は森に移動した。


「うーん、こっちもあまり反応が‥‥‥」

「えぇ? そんな事って‥‥‥」

「やはり異常事態なのかもしれませんね」


「反応が全くないわけじゃないんだけど。でもすぐ居なくなるみたいな感じで‥‥‥」

「そんなの絶対おかしいわよ‥‥‥。ヘクター、どうする?」

「うん、そうだなぁ‥‥‥」


 取れる選択肢としては戻ってギルドに報告するか、ここでさらにモンスターを捜索するか、だ。

「ん!? 待って! 一体見つけた。この先にいる。どうする?」

「‥‥‥行こう。一匹も討伐出来ずにギルドに戻れないよ」

「そうですね。せめて一匹くらいは狩って帰らないと」

「そ、そうね! 大丈夫、私の魔法でぶっ飛ばしてやるわ!!」


 

 しかしそこに現れたのは『ジャイアントオーガ』‥‥‥この森にいるはずのないBランク相当のモンスターだった。


「ウォオオオオ!!」


「なっ‥‥‥、なんでこんなところに!?」

「あ、脚が‥‥‥!!」

 先程の雄叫びで四人とも脚が震えてしまい、逃げようにも逃げられない。このままでは全滅してしまう。

 

 ジャイアントオーガがニタニタしながら近づいてくる。


 どうにかして一人だけでも逃さねば‥‥‥。リーダーのヘクターは自分の判断を悔いていた。あの時撤退していれば‥‥‥と。


「ガァァァァァァァ!!!!!!」


 もうダメか‥‥‥!! 

 と、全員が諦めかけた瞬間‥‥‥


ドッカーーーーーーン!!!!


ジャイアントオーガが爆発四散した。



「「「「????」」」」

 全く事態が把握出来ない四人。

「‥‥‥‥‥‥何が起きたんだ?」


 ジャイアントオーガの巨体が倒れてキラキラと消滅していくとその先に一人の青年が‥‥‥。


 状況を見た青年が助けてくれたに違いない。

 礼を言わなきゃ‥‥‥

「あ、ありが‥‥‥」


「ごめんなさーーーぃ」

 その青年は何故か見た事も無いスピードで走り去ってしまった。


「あ‥‥‥、あれ?」

「‥‥‥行っちゃったわね」


「これ‥‥‥、どうしましょう?」

 Bランクモンスターだけあってアイテムもたくさんドロップした。魔石の大きさは四人は見た事もないくらいの大きさだった。


「これ‥‥‥なんとか持って帰らないといけないよなぁ?」

 ヘクターはため息混じりに呟いた。

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