第21話 信じるもの

「お、おい! ちょっと待てよ、アル!!」

 ギルドから出たところでミーニャが追いかけて来た。


「‥‥‥どうした?」

「さっきの‥‥‥、本当なのかよ? ジョブがアルバトロスってのは‥‥‥」


「‥‥‥本当さ」

「じゃあこの間の治療してくれたのは‥‥‥?」


「さぁて‥‥‥ミーニャ、お前はどう思う?」

「‥‥‥ポーションで治したんじゃないと思う。ポーションで濡れた感じはしなかったもん」


 実際に助けられたミーニャですらこんな反応だ。この世ではアルバトロスというだけで罪なんだろうか?


「どう信じるかはミーニャに任せるよ」

「‥‥‥わかった。アタシが命を救われたのは間違いないから。アタシはアルを信じる!」


「おう、そうか。ありがとな」

「で、これからどうするんだ? ダンジョンは閉鎖されてるからレベリングも出来ないぞ」


『足りてない武器でも作ったらどうじゃ? 弓矢と槍がないぞい。どちらかはあった方が良いぞ』

 そうか、じゃあそうしよう。


「弓矢か槍を手に入れて備える」

「は? 弓も槍も使えるのか?」

 ミーニャがすごく驚いている。


「あ‥‥‥、まぁ何とか使える感じ?」

「何で疑問形なんだよ!? アル、お前って何者なんだよ!?」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 先日鍛冶場を借りたブルーノに話をしてまた借りることが出来た。ミーニャもついて来た。


「今度は何を作るんだい?」

「槍だな」


 今回弓は諦めた。槍でなんとかなるだろうとルナに言われた。


「アルは槍も扱えるのかい。すごいんだな!」

 素直に感心してたブルーノにミーニャがツッコむ。

「いや、アンタらの会話おかしいから!! 普通はそんなにいろいろ使えないはずだから!! って言うかそもそも何で槍なんて作れるんだよ!?」


「そりゃアルは旅の鍛冶師見習いだもんな?」

「あぁ、それは嘘だ。申し訳ない」

 そう言えば最初にそう言って借りたんだった。と思い謝った。


「もちろんそんな事わかってるよ。普通の鍛冶師にあんな剣捌き出来るはずないからな」


「もう! わけがわかんないよ!! 回復魔法が使えるのに武器が作れて剣も槍も弓も扱えるの!?」

「‥‥‥まぁな」


 槍は二種類作れた。手に持つ槍【ミスリルスピア】と投げつける槍【ジャベリン】だ。

 俺が作ったのは穂先だけ、口金や柄、石突などはブルーノが手伝ってくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る