第20話 冒険者ギルドでは

 ギルド長直々のテストによりCランクになる事が決定した。


「‥‥‥で、それとはまた別に相談なんだが。異常事態が起きているというのは知ってるな?」

「まぁ、ナンシーさんから聞きました」


「モンスターの大発生【モンスターパレード】が起きる可能性が高いんだ。優秀な冒険者には討伐に参加して欲しくてな。何も対処しなければこの街は蹂躙されてしまう。どうか協力してもらえないだろうか?」


『うおぉ! モンスターパレードか! 滅多にない稼ぎ時じゃぞ!?』

 ほほう、さすが最強冒険者は言う事が違うねぇ。災厄と言ってもいいこの事態を稼ぎ時と言い切るんだからな。


「わかりました。俺もこの街の冒険者です。街を守るために頑張ります」

「ありがとう。そして疑って済まなかった」


「いつ頃からそのモンスターパレードは発生しそうなんですか?」

「大まかにだが一週間以内のどこかだ。しかし明日明後日という可能性は低いと思う。その間に準備を頼む」

「わかりました」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ギルドの受付フロアに戻って来たら冒険者達がザワザワしてる。モンスターパレードとなればまぁ当然だろう。

 他の街からも冒険者が集まっているみたいだな、見かけた事もない冒険者がかなり多い。


「アル、何してるんだ?」

「ミーニャ、モンスターパレードだそうだ。参加するよな?」


「そのつもりさ。アルも参加するんだろ?」

「もちろん」


「しかしアルは治癒師なのに何で剣なんか持ってるんだ?」

「あぁ、それは‥‥‥」

 ミーニャと話していたら見覚えのある奴が話に割り込んできた。

「おい、オオバカトリ! まさかお前も参加するんじゃないだろうな?」


「‥‥‥しちゃ悪いのか?」

 えーっと、名前何だったかな‥‥‥?

 いろいろあって思い出せない。

 まぁ知ってるテイで話するか。


「足手纏いが参加して貴重な回復薬を無駄に使われたら困るんだよぉ!!! オオバカトリの方は参加はご遠慮くださいなぁ!!?」


 そこにミーニャが割り込んで来た。

「おい!! さっきから聞いてりゃなんだお前!? アルは立派な治癒師でアタシの怪我を治してくれたんだよ!! 引っ込んでろ!」


「あ? コイツが治癒師だって?」

「そーだよ、何か文句あんのか?」


「「「ヒャーハハハハ!!!!」」」


 ギルド中が笑い声に包まれた。俺の事を知ってる奴ら全員だ。


「あー、腹いてぇ。おい、オオバカトリ。純真なネコちゃん騙すんじゃねーよ。ネコちゃんよ、コイツはな【アルバトロス】無職の才能に溢れた方なんだよ!!」

 更にギルド内の笑い声が大きくなる。


「あ? ‥‥‥それってどういう事だよ? あとアタシはネコじゃない!!」

「大方その怪我ってのもどうせポーションでもぶっかけただけなんだろうぜ? なぁ、オオバカトリ?」


 こっちに話が戻って来た。

 ふぅ‥‥‥。

 もうこの辺の話はどうでも良いんだけどな。

『相手にするだけ時間の無駄じゃな』

 うん、だよな?


「‥‥‥準備があるのでこれで失礼する」

と言って話を終わらせギルドを出ようとした。

「この街から逃げ出す準備の間違いだろ!?」

 と、奴の言葉でギルドの笑い声が最高潮に達した。




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